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「弱音や悩みを人に言いにくい…」人生の悩みに寄り添う本4選。文筆家・木村綾子さんが働く女性に送る人生の処方箋。

生きていれば悩みは尽きないもの。そこで今回は、私たちの誰もが抱える悩みに寄り添ってくれる一冊をご紹介します。文筆家・木村綾子さんがゲストのエピソードに合わせて本を処方していくこちらの連載、木村綾子の『あなたに効く本、処方します。』よりお届けします。

カルチャー

1.「すごい考えちゃったりする」(芸人・小川暖奈さん)/処方した本は…『丸の内魔法少女ミラクリーナ(村田沙耶香)』

小川「私、けっこう悩みがちな性格なんです。「あの時こうすればよかった」とか「こう言えばもっとうまく伝わったんじゃないかなぁ」とか、後になってから考え込んじゃうんです。完璧主義って訳ではないんですけど、”気にしい”と言うか。こんな自分も、どうにか好きになれたらいいんですけど…」

KADOKAWA出版/2020年2月初版刊行

優しさゆえに空回ってしまったり、人が好きなのに人からズレてしまったり…。その性質ゆえに、落ち込んだり生きづらさを感じることもあるかもしれないけど、小川さんは自分の人生を楽しい方向に動かすのが上手な人なんだろうなって思いました。それで浮かんだのがこの小説。世の中からかけ離れた少数派の、でも確かに存在する人間と世界の物語が4編入った短編集です。このお話の主人公は、30代の丸の内OLリナ。日々降り掛かってくる無理難題やピンチを、魔法のコンパクトでミラクリーナに“変身”することで乗り切っていく物語です。大人になっても自分がヒーローになった暗示をかけたり、イマジネーションフレンドと対話したり…、妄想力を駆使して現実を生き抜く力を得ることって、ちっともおかしなことじゃなくて、そうできる人は幸福で強い人だと思うんです。

2.「弱音や悩みを人に言いにくい」(弁護士・菅原草子さん)/処方した本は…『漂うままに島に着き(内澤旬子)』

菅原「昔から自分に自信がもてません。武装のために肩書きをつけようとなんとか現在の職についたのですが、今度は逆に弱みや悩みを人に言いにくくなってしまいました…。」

「いろんな偶然の重なりに身を任せて人生の大きな決断をしてしまえる姿に、さっぱりした気持ちよさを感じる」(木村さん)

著者の内澤さんとは、何度か一緒におしゃべりをしたことがあるんだけど。本当に素敵で、強い芯を持ったしなやかな方なんだよね。でも実はそんなに常に自信持って生きてきたわけじゃないよってことを、この本の刊行イベントのときに話してくれたことがあって。この本には、文筆家・イラストレーターとして東京で生活されていた内澤さんが、乳がん治療と離婚を経験されたのち、40代で単身、小豆島に移住すること決めた顛末が描かれています。資格を取ったり、キャリアを築いたり、年収を上げたり…。努力して得て、磨き続けてきた武器はもちろん自分の強みになるけど、自分がどんな仕事をしていようとどんな過去を持っていようと「ここにいていい」って受け入れてくれる人の存在ほど頼もしいものはないもんね。菅原さんにとってのそういう存在が見えてくる一冊になったらいいな。

3.「人の顔色ばかりを気にしてしまう」(ハナコラボメンバー・北澤宏美さん)処方した本は…『みんなの「わがまま」入門(富永京子)』

北澤「子どもの頃からずっとバレーボールをやってたんだ。しかもそれがプロ志向の強いチームだったから、監督がかなりのスパルタで。機嫌や顔色ばかりをついつい伺ってしまう癖が自然と身に付いてしまったのかも。大人になってからもその癖が抜けなくて、誰かと話していても「ひょっとしたら今、機嫌を悪くさせちゃったかな」とか、つい余計なことまで考えちゃうんだ。」

きっと宏美ちゃんは、「わがまま」を「言う」ことにも「聞く」ことにも、恐怖心や抵抗感が染み付いちゃったんだろうなって思ったの。それでオススメしたいのが、『みんなの「わがまま」入門』。これは、自分の意見を言葉にすることや、行動としてそれを示すことに、どうして人は臆病になってしまうのかを社会学の観点から考えた入門書なんだ。「わがまま」っていう感情を掘り下げていくことで、自分の意見とは異なる他人や社会と共存する方法を、読者に問いかけながら一緒に探っていくの。私たちの生活に落とし込んでくれてて、分かりやすいでしょ!?「社会学」って難しそうに思われがちだけど、人間とか社会とかって曖昧な存在の意味を読み解いて、言葉で説明してくれるって考えたら、有り難い学問だよね。

4.「“自己肯定感”が下がっていた時期に…」(フォトグラファー・川北啓加さん)/処方した本は…『かなわない(植本一子)』

川北「数年前に著しく“自己肯定感”が下がってしまった時期があったんですよ。1年くらいぐずぐずしていたんですけど、古賀史健さんの『嫌われる勇気』をきっかけに立ち直ることができました。それからは周りの人ともフランクに接することができるようになりましたし、無理して他人に同調することもなくなりました。自分がしっかり立っていないと、何かを紹介するお仕事は務まらないですからね」

タバブックス出版/2016年2月初版刊行

“自分がしっかり立っていないと、何かを紹介するお仕事は務まらない”っていう言葉は、写真にも通じますよね。カメラを自分に向ける人に対して安心と信頼がないと、被写体も自分を開放できないと思うんです。でもやっぱり人間だから常に強く、ゆるぎない自分で、なんていられないですよね。それで思い浮かんだのが、写真家の植本一子さんの日記文学シリーズですこのシリーズは『家族最後の日』『降伏の記録』『台風一過』へと続いていくんですが、ぜひ全シリーズ読破してください!形を変えながら絆を強くしていく家族の形、信頼しあう仲間と作り上げる仕事の数々は、まさに彼女にしか歩めない人生を私たちに見せてくれます。もろんのんさんの今後のフォトグラファー人生の、杖のような存在になったらいいなと思います。

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