猫好きにとってはブームであろうがなかろうが、猫は無条件に愛おしい存在。自分の飼い猫はもちろん、よその家の猫や野良猫でも、姿を見ればついカメラを向けてしまう…。そんな猫好きの心をくすぐる一冊が『猫の撮リセツ』。「猫は宇宙一かわいい」がもはや口癖というフォトグラファー、清水奈緒さん初の著書だ。
「世の中にはさまざまな猫の本や写真集があるのに、猫の撮り方のおしゃれな実用書はない。あれば楽しいのに…とずっと思っていたんです」
そんな長年の秘めた思いから生まれた本書のテーマは、“飾りたくなる猫の写真を撮ること”。
「猫って姿もしぐさもすごく絵になるんです(笑)。だから、日々の記録やSNS用にスマホでラフに撮るだけじゃなく、せっかくならちゃんと撮って部屋に飾ってほしいなと」
この本にはそのためのアイデアがぎっしり。雑誌や書籍でおしゃれな猫写真をたくさん撮ってきた清水さんのテクニックを、マニアックなまでに余すところなく紹介している。
「飼い猫を撮るのは基本的には家の中。必ずしも好条件ばかりではありません。でも、おしゃれで片付いた空間じゃなくても、工夫次第でフォトジェニックな写真は撮れます。今回は実例を挙げていろんな提案をしていますが、まずトライしてみてほしいのが、高い場所にいる猫を下から見上げる構図。背景となる天井は白がほとんどですし、情報量を減らせるのですっきりと見せられます。あとは、ペンなどをゆっくり動かして目線をもらうワザもおすすめ。首を傾げたり、いい表情が撮れるはず」
まさに猫を飼っている人はすぐに試したくなるアイデアが満載だが、ページをめくるごとに目に飛び込んでくるのは、思わずキュンとする猫たちの愛らしい姿や表情。猫を飼っていない人にとっても、写真集として十分楽しめる内容に。いや、むしろ愛猫とフォトセッションをするような幸せな暮らしを夢想して、身悶えすることになるかも!?
しみず・なお 写真家。京都市生まれ。同志社大学文学部英文科卒業。シカゴ美術学院で写真の基礎を学び、大阪で内池秀人氏に師事。現在は東京を拠点に雑誌、書籍等で活動。愛猫デコと暮らす。
飾りたくなる猫写真を撮るテクニックを、かわいい実例写真とイラストとともに紹介。猫好きは必見の、おしゃれで使える一冊。エクスナレッジ 1500円
本書の写真から。2枚目・首傾げポーズはペンで興味をひきつつ撮影。3枚目・高い所が好きな猫の習性を生かして下から撮影。覗き込む顔にはドヤ感も。
※『anan』2018年1月3・10日号より。写真・清水奈緒 文・野尻和代
(by anan編集部)