歯みがきなどの「お口のケア」には、虫歯や歯周病予防だけでなく、インフルエンザウイルスなどの感染リスクを下げる効果が!気をつけたいお口のケアのポイントを教えてもらいました。
<教えてくれた人>
歯科医師 加地彰人さん
あき歯科医院理事長。日本老年歯科医学会専門医。医院での診察、訪問診療などで口腔ケアの大切さを普及している。
「お口のケア」はウイルス感染予防の第一歩です!
「口や鼻から入ったウイルスなどの病原菌は、粘膜に付着し、細胞内で増殖して感染します。その際、口の中の細菌がつくり出す酵素が粘膜を破壊するため、ウイルスが侵入しやすくなるのです。感染予防には、口の中の細菌の増殖を抑えるケアが大事!高齢者を対象に、普通に歯みがきをしたグループと歯間ブラシなどを使って念入りにケアをしたグループを比較した研究で、後者のグループではインフルエンザにかかった人が10分の1以下だったという報告も。今まで以上にていねいなケアを習慣化しましょう」。(加地さん)
●感染リスクが減る!
唾液には抗ウイルス作用があるIgA抗体やたんぱく質が含まれています。口の中を常に清潔に保つようにケアすれば、唾液が出やすくなり、感染予防につながります。
●腸の免疫力が上がる!
口の中の細菌を飲食や唾液とともにのみ込むことで、腸内細菌のバランスがくずれて、免疫力が低下。しっかりお口の中をケアしておけば、腸も正常に働きやすくなります。
ウィズコロナ時代こそ実践!5つの新習慣
「新しい生活様式では、食後の歯みがき以外にもお口のケアを心がけることが、感染予防の大切なポイントになります」。(加地さん)
1 朝起きたら、まずうがい
「寝ている間は唾液量が減り、細菌が増殖した状態になっています。朝起きたら、うがい、すすぎをしましょう」。さらに毎食後に加えて、就寝前にも歯みがきをすることで細菌の増殖を抑えられます。
2 ダラダラ食べはしない
食事のときはよくかんで、唾液の分泌を促すことが大事。唾液には、細菌や病原菌を防御し、食後の細菌増殖のリスクを減らしてくれる働きがあります。「ただし、長時間ダラダラ食べ続けていると、唾液の働きが発揮できず、細菌が増えやすい状態に。特に糖分が多いおやつは、ダラダラ食べしないように気をつけましょう」。
3 舌の汚れをブラシで落とす
舌苔(ぜったい)といわれる汚れが多くついていると、ウイルスが体内に侵入しやすくなります。「朝の歯みがき後、舌用ブラシで奥から手前に3回ほどこするだけでキレイになります。毎日行う必要はありませんが、定期的に汚れをチェックしてケアしましょう」。
4 緊急時は、ぬれティッシュで代用ケアを
「家の外でも食後の歯みがきはマストですが、緊急時などで歯みがきできないときも。そんなときは、ぬれティッシュなどで歯の汚れを拭き取って、口の中を清潔に保つようにして」。また、キシリトール配合のガムをかんだり、お茶でうがいをするのも効果があります。