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お気に入りを20年履ける靴に!プロが伝授する正しい靴の磨きかた

気に入って履いている靴、お手入れしたことありますか? スニーカーは汚れたら洗えば良いけれど、革靴は磨いたことがない人もいるかもしれません。そこで、革靴のお手入れの仕方を靴磨き職人・堂薗顕史さんに教えてもらいました。

撮影/田川智彦 取材・文/ロカリ編集部

2018年3月
ライフスタイル

靴のお手入れしてますか?

「お洒落は足元から」。使い古された言葉だけど、靴ってつい目に入るもの。履きつぶされた靴から感じられるのは、その人の愛着か無頓着かはたまた無精か…。本人は「良い味が出てきた」と思っていても、他人からはボロボロだと思われていることも。

「『革の味が出てきた』と言いますが、革の味はお手入れしていないと出てきません」というのは、レザーメンテナンスの専門店「麗靴堂(れいかどう)」の店主を務める堂薗顕史(どうぞのあきひと)さん。人工皮革を履いているとムレますが、本革はムレにくいのは靴が呼吸をしているからなのだとか。つまり、革は保湿したり、栄養をあげる必要があるのです。

靴が傷む原因は?

靴のお手入れの前に、なぜ靴が傷むのかを教えてもらいました。どれもやりがちなことばかりなので、やらないように気をつけましょう。

①雨の日に履いている

靴が傷む一番の原因と言われるのが、雨の日に履くこと。一度雨ジミができてしまい時間が経過すると、元に戻せないこともあるのだとか。「雨の日はレインシューズを履くか、雨の日用の靴を購入するといいですよ。本革でもゴム底で雨の日に履ける靴もあります」。

②同じ靴ばかり履いている

同じ靴ばかり履いていると傷みやすいとよく聞きますよね。その理由は大量の汗をかく割に蒸発しにくいから。汗には水分だけでなく塩分も含まれているので、放っておくと革や布が傷んでしまいます。堂薗さんによると、「1回履いたら1週間は休ませたほうがいい」とのこと。

③1年以上履いていない

毎日履くのもよくないけれど、逆に履かな過ぎるのもNG。乾燥して革が硬くなったり、ヒビ割れたりする原因に。「フルシーズン履けるものは1ヶ月に1回は履いてほしいですね」と堂園さん。サンダルやブーツなど季節性のある靴は、基本のお手入れをすればOK。基本のお手入れについては後述します!

④靴が足に合っていない

意外と多いのが足に合っていない靴を履いていること。特に大きいサイズを履いていると、変なところに力が入ったり、足が靴の中で泳いだりして、革が傷みます。ジャストサイズを選ぶようにしましょう!

お気に入りを長く履きたいならお手入れ必須!

こちらは10年前に購入したビルケンシュトックのパリというモデル。夏は裸足でサンダル的に、冬はタイツに靴下の重ねばきでフルシーズン履いていた時期もあり、つま先のあたりが擦り傷だらけ。最近はあまり履いていませんが、履きつぶしている割にはイマイチ革の風合い、いわゆる“味”が出ていません。

「革は肌と同じように呼吸をしているので、汚れを落としたりクリームで水分や油分を補ってあげたり、お手入れが必要なんです。きちんとお手入れしてあげると10年以上は履けますよ」と堂薗さん。その代わり、お手入れしないと乾燥してひび割れができ、革が硬くなって履き心地が悪くなるそう。

靴のお手入れ基本の道具

①汚れを落とすための靴クリーナー/Boot Black レザーローション(ツヤ革靴専用汚れおとし)
②栄養を与えるためのシュークリーム。堂薗さんは椿油などをブレンドして使用しています。/(右)サフィール ビーズワックスファインクリーム、(左)M.モゥブレィ シュークリームジャー
③ホコリを落とすための馬毛ブラシ
④クリームを伸ばして保湿するための豚毛ブラシ

⑤コットン100%の布
堂薗さんは手を使ってクリームを伸ばすことも多いそうですが、仕立て系のコットン100%のシャツを細く裂いて使っています。指に巻きつけて使うので薄手の生地のほうが良いとのこと。ワックスやクリームの油分は洗濯しても取れないので、1回使ったら捨てます。

よく売られているネル生地は紳士靴の鏡面磨き(鏡のようにツヤツヤ光らせる磨き)に使われるものなので、一般的なお手入れには向いていません。また、鏡面磨きをするとピカピカになるけれど、上からフィルムをして革の呼吸を止めることになるので靴の寿命は縮まるとのこと。

靴のお手入れの基本

①馬毛ブラシでホコリを落とす

全体的に馬毛ブラシでホコリや汚れを落とします。縫い目やシワなどはホコリが溜まりやすいので念入りに。

②布でクリーナーを塗る

人差し指と中指を揃えて布を巻きつけ、クリーナー(今回はBoot Black レザーローション)を適量つけます。

靴全体に薄く伸ばすように塗ります。汚れだけではなく、前に塗っているシュークリームを落とす意味があります。一気に塗るとシミになることもあるので、足りないときは少しずつ足しましょう。

③靴色のシュークリームを塗る

今回は色アセがあるので、同系色のシュークリームを塗ります。布に少量ずつを取り、少しずつ伸ばすのが塗りムラを作らないコツ。

堂薗さんは指を使って塗ります。布より指のほうが革のコンディションや塗りムラがわかるのだとか。手についた色は石けんで洗えば落ちるとのこと。メイクもスポンジや筆を使うこともありますが、指を使うのが良いと言われますよね。肌にクリームを塗ってあげるのに似ています。
今回は傷みが激しかったので、革が柔らかくしっとりするまでかなり塗り足しました。

シュークリームを塗ったbefore/after

ブラウン系のシュークリームを塗り込んだだけですが、すでにこんなに違いが!ただし、これは塗っただけの状態なのでこのままだと触ると色がつきます。

④水をつけてクリームを伸ばす

布に水をつけて、クリームを伸ばします。「水?」と思うかもしれませんが、油に水をなじませてクリームを伸ばす効果があるのだそう。

⑤豚毛ブラシでよくなじませる

さらに豚毛ブラシでブラッシングしてクリームを完全に伸ばして靴になじませます。このブラッシングでみるみる革にツヤが出てきました。

豚毛ブラシ後のbefore/after

水で伸ばして豚毛ブラシで磨くと、色が落ち着きました。色落ちのない人は③〜⑤は省略してください。

⑥無色のシュークリームを塗る

色を定着させるために、無色(ニュートラル)のシュークリームを指で塗ります。少しずつ手に取り、薄く伸ばしてあげて。

⑦水をつけてクリームを伸ばす

先ほどと同様に、布に少量の水をつけて靴に塗ったクリームを伸ばします。水をつけ過ぎないように注意して。

⑧豚毛ブラシでよくなじませる

豚毛ブラシでクリームを完全に伸ばしてなじませます。豚毛は馬毛よりも硬くてコシがあるのでクリームをよく伸ばしてくれます。

finish!

一目瞭然ですが、左がbeforeで右がafterです。つま先の傷がほとんどわからなくなり、全体の色も新品のように濃く、明るくなりました。心なしか履きジワも目立たなくなった気がします。

両足磨き終わってピカピカに♡

ブラウンの色味がしっかり出ただけでなく、ツヤツヤとした光沢が生まれました。買ったばかりのときよりもピカピカになっている気がします。

革がしっとりとして柔らかくなるので、歩きやすくなりました。「鏡面ポリッシュをしないとそこまで光沢は出ませんが、履き心地が変わるので、みなさん足を入れると『おぉっ!』となりますよ」(堂薗さん)。

スエードなど起毛素材のお手入れ

スエードは革の裏面をサンドペーパーなどで起毛させた素材のこと。起毛しているため汚れやホコリがつきやすく、その汚れにより色がくすんできます。こちらはチエミハラのレースアップシューズ。リボンのような綺麗なネイビーをしていたはずですが、すすけたブルーグレーになっています。

スエード靴のお手入れの基本道具

(右)スエード用のスプレー サフィール スエードスプレー/スエードは起毛しているのでクリームではなくスプレーに。
(中央)馬毛ブラシ
(左)スエード用ブラシ 

①馬毛ブラシでホコリを落とす

スムースレザーの靴と同様に、馬毛ブラシでブラッシングしてホコリや汚れを落とします。

②スエード用のスプレーを吹きかける

スエードにクリームを塗ると起毛部分が寝てしまうので使えません。そこで、スプレータイプを使います。少し離してまんべんなくかけましょう。「保湿効果と防水効果があるので、防水スプレーはしなくて大丈夫ですよ」(堂薗さん)。今回は色褪せが進んでいるので、ネイビーのスプレーを使用。色合わせは難しいので、通常は色のついていないニュートラルがおすすめ。

③スエード用ブラシで毛を立てる

スエードブラシの中央の真鍮部分を使って、スエードの毛を立てながら、スプレーが全体に行きわたるようにブラッシングします。

注意! 「UGGは革が弱いので真鍮の入ったスエードブラシでブラッシングすると破れます。馬毛ブラシで毛を立ててください!」

finish!

これだけでここまできれいによみがえりました!「履いたあとは必ずブラッシングするだけでもずいぶんと変わります。また、お手入れを続けることで、色ももっと入りますよ」(堂薗さん)。

ここがわからない!堂薗さん教えて!

Q1. 靴を長く履くためにどうすればいい?

A1. まめなお手入れが大切です。最低でも1ヶ月に1回は磨きを行うといですよ。

Q2. 靴をおろす前にしたほうがいいことは?

A2. ニュートラル(無色)の靴クリームを塗って保湿すると履きやすくなりますよ。
よく汚れがつかないように防水スプレーをしたほうがいいと言われますが、効果を持続させるなら2〜3週間おきにする必要があり、あまり現実的ではないかもしれません。

Q3.つま先やかかとの半張りはしたほうがいい?

A3. 半張りは補強なのでしたほうが靴が長持ちします。ただ、履く前の新品の靴に半張りをすると馴染みが悪くなるので、2〜3回履いたあとにやるのがおすすめです。

Q4. 雨で濡れてしまったらどうしたらいい?

A4. タオルで水気をしっかり拭いて、風通しの良いところで乾かしてください。場合によっては完全に乾くのに1週間かかることもあります。靴箱には入れずに、玄関に置いておくといいですよ。中に新聞紙を入れるのはあまり意味がないので、やらなくても大丈夫です。

Q5. シューキーパーは使ったほうがいいですか?

A5. シューキーパー(シューツリー)には湿気を取り、形を整える効果があるので使ったほうが良いです。ただし、スプリングタイプのものは逆に型くずれするので使わないほうがいいです。

Q6. ヒールがすぐにダメになります…。

A6. そもそも、ヒールは長距離を歩くのに適した靴ではありません。仕事で歩くなら、少し太めのヒールを選ぶとよいですよ。新品の場合は、まず近くのスーパーやコンビニに行くのに履くくらいにとどめて、慣らしておきましょう。

Q7. スニーカーで気をつけることはありますか。

A7. スニーカーには底の種類に、ナイキ エアマックスなどのウレタンソールとアディダス スタンスミスなどのゴムソールに分けられます。ウレタンソールは経年劣化が避けられず加水分解してしまうので、ひたすら履くのが長持ちのコツです。がっつり履くと7年は保ちます。ゴムソールは加水分解することなく、長く履けます。
また、底が剥がれるとアロンアルファなどの瞬間接着剤を使って貼り直す人もいますが、逆に修理しにくくなります。そのまま持ってきていただけたら、ソールは全部貼り替えられます。
(※写真はナイキエアマックスとナイキブレーザーです。)

教えてくれた人

堂薗顕史(どうぞの・あきひと)●靴磨き、レザーメンテナンスの専門店「麗靴堂(れいかどう)」店長。靴磨きといえば男性サラリーマンの顧客が多いが、女性客が多いのが特徴。

●麗靴堂 住所:東京都荒川区東尾久6-8-9 電話番号:080−6655−1669 営業時間15:00〜20:00(電話は10:00〜)

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