暑さによるだるさや体のむくみなど、いわゆる“夏バテ”といわれる症状に悩まされる人は多いもの。そこで、さまざまなトラブルを根本から解決する、お悩み別のヨガポーズをご紹介。
「例えば、下半身の冷えは筋肉量の少なさに原因があるので、下半身を鍛えるポーズが効果的、といった具合に、不調の原因にダイレクトにアプローチすることが肝心です。朝に限らず、調子が悪いと感じたら実践してみるといいでしょう」(ヨガ講師・サントーシマ香さん)
下半身が冷える。
「冷房の効いた室内にいたり、冷たいものを飲んだり…女性を悩ます“冷え”は夏場こそ注意が必要。冷えにくい体をつくるためには、体の中で筋肉量の多い下半身を強化することがマストです。“馬のポーズ”はスクワットの姿勢を保つために、下半身の筋力が必要となるポーズ。脚を大きく開くことで、特に太ももの内側につく内転筋群を鍛えることができます」
【馬のポーズ】
胸の前で手を合わせ、息を吸いながら足を左右に大きく開き、吐きながらつま先を外側に向ける。一度息を吸い、吐きながら膝を曲げて腰を沈める。下がりきったところで呼吸を繰り返す。
冷えて頭痛が…。
「頭痛の原因はいろいろと考えられますが、この季節に多いのが、冷房が直接首まわりにあたることからくる“冷え”と“血流の悪さ”。これは首から背中をしっかりほぐしてあげることで、症状が和らぐこともあります。“鷲のポーズ”は、本来立って行いますが、座位ならより簡単に。首肩の上部僧帽筋などを刺激して血流を活性化し、コリ解消につながります」
【ガルーダアーサナ(鷲のポーズ)】
正座して腕を交差させる。息を吸いながら手のひらを顔の前で合わせ、吐きながら肘を胸の高さまで上げる。この状態で数呼吸。さらに肩甲骨を動かし左右に回す。反対側も同様に。
イライラする。
「原因不明のイライラは、自律神経の乱れから生じている場合も。まずは呼吸を整えて、心身ともにリラックスした状態に導くことが大事です。腹式呼吸を4‐7‐8のリズムで行うと、副交感神経が優位になるので効果的。息を吐く時にお尻の穴を締めながら腹部をへこますと、横隔膜と腹横筋、骨盤底筋が穏やかに刺激され、お腹の内側からぽかぽかと温まるはず」
【4‐7‐8呼吸】
あぐらをかいてお腹に両手をあてる。4カウントで鼻から息を吸う。そのまま7カウント息を止めてから、口から8カウントかけて息を吐ききる。これを気持ちが落ち着くまで繰り返す。
だるさが残っている。
「朝、布団から起き上がれない人に試してもらいたいのが、このポーズ。目覚めのスイッチである背骨を緩やかに伸ばすことで、血流が改善してだるさが和らぎます。また、お腹と太ももが密着する姿勢は、呼吸を深く感じやすいのもポイント。強いコーヒーで覚醒するというよりは、白湯を飲んでじんわりと体がほぐれるような、やさしい目覚めのポーズです」
【子どものポーズ】
正座の姿勢から両膝を腰幅程度に開く。手を床について息を吸って背筋を伸ばし、息を吐きながら体を倒していく。全身の力を抜いてそのまま数分キープ。終わったらゆっくり起き上がる。
暑くて睡眠不足ぎみ。
「熱帯夜が続く真夏は、夜中に目が覚めてしまったり、眠りが浅かったりと、睡眠トラブルが多発。激しい気温差で自律神経が乱れがちになるので、呼吸を深くして気持ちを安定させることが大事です。胸から脇腹にかけて、体の側面を伸ばす“門のポーズ”は、肋間筋に働きかけることで深い呼吸を促し、寝不足ぎみの頭をスッキリ覚醒させるのに効果的。脇腹あたりを意識して行いましょう」
【門のポーズ】
膝立ちから右足を横に向け、息を吸いながら左腕を上げる。息を吐きながら、腕を上げたまま上体を右側に倒して数呼吸。息を吸いながらゆっくりと元の姿勢へ戻し、反対側も同様に。
むくみが取れない。
「血流が悪くなると、リンパが詰まってむくみの原因となります。つまり、むくみを取るには血流を良くしてリンパの詰まりをなくすことが必須。“ランジからのねじり”は、体の中の主要なリンパの節がある太ももの付け根をダイレクトに刺激することで、血行を促すポーズです。ポイントは、前の足をしっかりと踏み込むこと。骨盤底筋をぎゅっと締め上げると、バランスもとりやすいでしょう」
【ランジからのねじり】