美腸づくりの基礎は、やっぱり食生活。いまの食べ方をアドバイスに沿って見直せば、毎日の食卓が腸活仕様に変わります。さらに、腸を整えてくれる、おいしい発酵食品の作り方もご紹介。常備しておいて、どんどん料理に取り入れましょう!
腸のベースを整えるために、変えるべきことリスト。
腸の健康を考える上で、まず重要なのが、毎日の食習慣を見直すことだと内科医の関由佳さん。
「乳酸菌やオリゴ糖入りの食品やサプリメントを摂っても、腸のベースが乱れていたら効果は半減。パン食が定番の人は、米食に変える、油の質を見直す、夜遅くに暴飲暴食をしない、など基本の食生活のリセットを。良い菌を吸収しやすい腸に整えることで、効率よく外から与えた菌を活用できるようになります」
さらに、日々の食生活に取り入れたいのが発酵食品。
「スープの味付けに味噌を使ったり、副菜にキムチや漬物を加えるだけでも、善玉菌が活性化します。また同時に、腸をクレンジングし、菌のエサとなる食物繊維も意識して摂ることが大切。野菜や果物のほか、白米や雑穀などもバランスよく食べるようにしましょう」(発酵料理家・真野遥さん)
朝食のパンをご飯に変える
毎日の朝食はパンが定番、という人は多いけれど「その習慣が、便秘の原因になっている場合も」と関さん。「パンに含まれる食物繊維は少量。朝は、アーユルヴェーダでも排泄の時間といわれ、腸内環境を整えるのに最適な時間です。しっかりとご飯を食べることで、食物繊維が腸のぜん動運動を促し、便通をスムーズにします」(関さん)。朝、お通じがないという人は、まずはパン食をやめてご飯にしてみて。
炭水化物の種類と摂り方を変える
食物繊維の恩恵を受けるために工夫したいのが、炭水化物の摂り方。「ご飯を食べるなら、白米にもち麦や雑穀を混ぜるだけで食物繊維の量は10倍以上になります。さらに、含まれるミネラルが、デトックス効果を高め、便の排出を促進させるというメリットも。また、1日1食を、ご飯の代わりにビタミンなど多種の栄養素を含んだ、さつまいもやかぼちゃなどの炭水化物に置き換えるのもオススメです」(関さん)
右から、もち麦と雑穀をまとめて摂れる。ふっくら香ばしいもち麦の入った雑穀ごはん 250g¥470(はくばくTEL:0120・089890) 国内産の5種類の雑穀をブレンド。五種玄氣米 300g¥475(ベストアメニティTEL:0120・580・359) 話題のスーパー大麦を手軽に摂れる。スーパーフード バーリーマックス180g¥1,000(はくばく)
白砂糖ではない甘味料に変える
腸内環境を整えるために、できるだけ控えたい食品のひとつが白砂糖。「精製された白砂糖には栄養がほぼ残っていない上、血糖値を急激に上昇させるほか、腸内の悪玉菌を増殖させます。白砂糖は市販のスイーツにも多く含まれ、摂りすぎには注意を」(関さん)。「甘味料は、メープルシロップや蜂蜜、甘酒などナチュラルなものに置き換えて。煮物などの料理も、みりんだけで自然な甘さを楽しめます」(真野さん)
ベジタブルファーストに変える
同じものを食べるなら、腸が喜ぶ食べ方をしたい。「ぜひ実践してほしい食事の摂り方が、野菜から先に食べるベジタブルファースト。野菜に含まれる食物繊維が糖質の吸収を緩やかにし、血糖値の上昇を抑えて食べすぎや脂肪の蓄積を防ぎます。また、メイン料理でお腹がいっぱいになる前に野菜を食べておくことで、食物繊維の不足を回避することもできます」(関さん)。よく噛んで食べるのもポイント。
料理の油を良質なオイルに変える
ここ近年、オイルブームが続いているけれど、摂る油の種類にも注意が必要。「サラダ油やマーガリンなど、精製された油に含まれるトランス脂肪酸は、腸内の炎症を引き起こす原因になります。そこで、オメガ3系の亜麻仁油やくるみ油、オメガ9系のアボカドオイルやオリーブオイルなど、化学的に精製されていない油に変えて。良質な油は脂質の消化と吸収をスムーズにし、腸内環境を整え便秘を解消します」(関さん)
右から、豊富なビタミンEと不飽和脂肪酸を含有。エミール ノエル オーガニック ヴァージン アボカドオイル226g¥1,800(CHOOSEE TEL:03・5465・2121) 天然のくるみをコールドプレス製法で搾った。くるみ油140g¥2,315(長白工坊TEL:03・5607・5060) オメガ3を特に豊富に含むプレミアムゴールデン種を使用。アマニ油 プレミアムリッチ186g¥1,400(日本製粉TEL:0120・184157)
おやつを旬の果物に変える
口さみしいとき、ついチョコレートやスナック菓子をつまんでしまう、という人は要注意。「市販のお菓子の多くは、腸の炎症のもとになるトランス脂肪酸や酸化した油、白砂糖が含まれています。おやつを食べるなら、果物を。ポイントは、旬のものを選ぶこと。季節の果物は栄養価も高く、その時期の体の不調を整える効果もあります。さらに、日本人が昔から食べ慣れてきた国産のものを選ぶと、なおよし」(関さん)
汁物を味噌汁に変える
発酵食品を摂ろう! と思うと、身構えてしまいがちだけど、最初の一歩として手軽なのが味噌汁。「味噌は、日本で古くから食されてきた発酵食品。私たちが子供の頃から親しんできた味噌汁は、最高の発酵食です。例えば、具だくさんの味噌汁と白いご飯があれば、立派な腸活食に。また、洋風スープも塩の代わりに味噌で味付けしてもおいしい。料理の種類を選ばずに使えるのも味噌の特徴です」(真野さん)
揚げ物に使う油の量と鮮度を変える
油の摂り方で、種類のほかに気をつけたいのが酸化問題。「酸化した油は腸の炎症を引き起こすだけでなく、体の細胞を傷つけ老化の原因になります。時間が経った油は酸化しやすいので、なるべく開封してから2か月以内に使い切るようにしましょう。また、高温加熱も酸化を加速させます。揚げ物をする場合は、たっぷりの油ではなく、できるだけ鍋底から1cmくらいの油で、揚げ焼きにするのがおすすめです」(関さん)
夜の食事量を変える
夜ごはんを食べすぎると、便秘の大きな原因に。「就寝中は副交感神経が優位になっていて、腸の働きが活発になり、便を作り出します。しかし、夜にたくさん食べてしまうと消化・吸収にエネルギーが使われてしまうため、便を作る働きが鈍くなり便秘を引き起こします。夕食は腹八分目を心掛け、胃に負担をかけないようにできるだけ就寝の2時間前までに食べ終わるようにしましょう」(関さん)
発酵食品を取り入れたメニューに変える
おうちごはんでも外食でも、1食に1品は発酵食品を摂ることから始めてみるのも手。「おかずにぬか漬けやキムチ、ピクルスをプラスしたり、おやつをチーズやヨーグルトにするなどの工夫を。また、外食時に和食の定食をオーダーすることで、味噌汁や漬物が摂れますよね。最初はハードルが高いかもしれないけれど、これが習慣になると、摂り方のコツが掴めてくるし、より発酵食品が身近になるはず」(真野さん)
関 由佳さん 内科医、メディカルフード研究家、misoドクター、野菜ソムリエ。医食同源の考えのもと、予防医学、アンチエイジングに役立つ食や生活習慣を提案。