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〈中川政七商店〉初の商業施設が奈良にオープン。未来へと日本の工芸をつなぐ、〈鹿猿狐ビルヂング〉の挑戦。

旅行・おでかけ

【買う】

日本の工芸に根ざした暮らしの日用品をずらりと展開。奈良のお土産になる限定品もいろいろあります。

1.創業300年の歴史を物語る、旗艦店〈中川政七商店 奈良本店〉。

店舗は1階と60坪の2階全面、さらに〈遊 中川 本店〉があった町家にも展開。上・古の趣を感じる町家の店にはおあつらえ処が。左下・

2.奈良の工芸を生かしたかわいいお土産も充実。

1階のミニショップには奈良を訪れた記念になる土産ものや奈良在住作家の作品が並ぶ。

アップデートしながら、残したいものを守る。

奈良の街を盛り上げる一方で、現社長である十四代目・千石あやさんを中心に日本の工芸へのまなざしも絶やさずに持ち続けている。日本のものづくりから学べることはたくさんある、と千石さんは教えてくれる。「いいものを長く大切に、直しながら使って暮らす。それがいいことだというのはきっと誰もがわかっているはずだと思います。しかし、現代社会では、大量生産をして大量消費をするのが当然になってしまっている。簡単に、しかも安価でなんでも手に入れば、それでいいと思ってしまうのも仕方ないこと。だけれど、そうじゃない選択もあることと、そのチョイスの幅を提案できたら」
プラスチックのカップでなく、漆のお椀でお味噌汁を飲む。コンビニの惣菜をそのまま食べるのではなく、お気に入りのお皿に盛り付けてみる。それだけで気づくことがある。「暮らしを豊かにすることってとても楽しい。はじめて自分で買った急須でお茶を淹れてみたら、とてもおいしかった。そんな経験でものを見る目、選ぶポイントが変わるんじゃないかと思います。工芸品は、敷居が高いものと思われがちですが、もとはどれも日本人が普通の暮らしの中で使っていたもの。日本の風土が育んだものなんです。だから、使ってみてしっくりなじむのは当然。ただ、私たちの生活様式は100年前とまったく変わっていますから、それに合わせて使うものもアップデートする必要がある。次の時代にも残るように、時代に合わせて、いい部分を残しながら変えていく。それが私たちの仕事なんです」各地の工芸に触れていると、日本はサステナブルな選択が気質的に得意なのではないかと思う、とも。
「金継ぎや襤褸(ぼろ) 、刺し子なんかの技術は布や器が貴重だった当時、直したり、繕ったりするために生まれたもの。だけど、そこに切羽詰まった切実さを感じないのが日本的だと思います。ただ直すだけ、補強するだけじゃなく美しく金を施したり、文様を一針一針描いたり。使っているものへの慈しみがそこにはあります。もともと日本はそういう豊かさを大事にしてきました。手で一つ一つ作られたものを実際に使ってみれば、その自然のままのよさは必ず伝わる。“サステナブルにしよう”と声高に叫ばずとも大事なものは繋いでいけるんじゃないかなと思うんです」

〈鹿猿狐(しかさるきつね)ビルヂング〉

約126坪の敷地に立つ3階建ての施設を手がけたのは建築家の内藤廣。1階にはスペシャルティコーヒー店〈猿田彦珈琲〉とミシュラン一ツ星のすき焼き店〈㐂つね(きつね)〉がある。
■奈良県奈良市元林院町22
■0742-25-2188
■営業時間は店舗により異なる(HPで確認を)無休

https://www.nakagawa-masashichi.jp/

お話を伺ったのは…

◆十三代 中川政七(なかがわ・まさしち)/2018年3月より〈中川政七商店〉代表取締役会長に就任「N.PARKPROJECT」を進めている。手に載せているのは張子飾りの鹿コロコロ 3,300円。
■千石あや(せんごく・あや)/2011年〈中川政七商店〉に入社。2018年3月に十四代社長就任。持っているのは〈中川政七商店〉の代表作、奈良の工芸であるかや織で作られた花ふきん各770円。

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