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アラサー女性のファッション問題。良い物を少し?プチプラをたくさん?

ファッション

働き方も、恋愛も、生活様式も、全てのあり方が少し前とは違う令和の今。数えきれない変化の裏にある「新マネーハック」を、さまざまな分野の専門家たちがお悩み回答形式で紹介します。今回の回答者はファッションライターのハシモトミヨコさん。

今回のお悩み「アラサーのファッション、“プチプラをたくさん”or“良い物を少しだけ”どっちが正解?」

アラサーになって、似合う服が今までとは変わってきたように感じています。これまではプチプラの服をシーズンごとに買い替えていましたが、大人なら“良い物を少しだけ”というスタイルにも憧れる……。ファッションにかけられる費用が限られている中、“プチプラをたくさん”と“良い物を少しだけ”のどちらが正解なんでしょうか?

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“スマートな女性になれる買い物”とは?

アラサーにとっての「賢い買い物」は「スマートな女性になれる」買い物です。働く女性にとってファッションは社会とのコミュニケーション。取引先に会う時、休日に食事をする時、どんな人だと思われたいですか? 理想の女性を思い描きながら、その人物像に近づける洋服をゲットしていくことが、賢い買い物かもしれません。

長い目で見るとやはり、プチプラの服を増やすより、価値のある服にお金をかける方が買い物上手。ベーシックでも上質な服を纏って、スマートな存在感を放つ女性には、憧れますよね。

例えば「ほんとうのお洒落とは、ちょっと見には平凡で目立たないくせに、どこか人に違って見える人の事をいうのです」という言葉を残した白洲正子さん、ブラックのミニドレスをさらりと一枚着るだけで洗練されているフランソワーズ・サガン、白シャツにデニムだけで美しいジェーン・バーキン。

シンプルでも垢抜けている彼女たちのファッションは、知性に溢れています。こういう女性たちは品良く見える上質な素材や、体をキレイに見せるデザインを知り尽くした目利きなんでしょう。

素材や縫製やパターンが追求されている洋服はお値段が張るものですが、彼女たちに一歩でも近づけるなら高い買い物じゃないはず。しかも、とびっきり上質かつシンプルなウェアなら、飽きることなくお婆ちゃんになっても着られるでしょう。サスティナブルに向かう令和の時代、これが賢い買い物のはずです。

自分の40歳、50歳を想像しながら、審美眼を養うショッピングができてこそ賢いアラサー女性と言えます。

自分のスタイルへの解像度を上げよう

シンプルで洗練された女性の名を挙げてきましたが、憧れの女性像はもちろん人それぞれでOK。世界最高齢の現役キャリアウーマン、アイリス・アプウェルのように独創的なファッションを楽しんだって良いでしょう。大切なのは「自分の目指す女性像」を確立させて行くこと。自分そのものを映す鏡としてファッションに向き合い、10年後にも同じ洋服を着こなしている姿が想像できるなら、その洋服は「絶対、買い!」ですよ。

なりたい女性像がまだ想像できない人は、自分を知る手始めとしてクローゼットを見返してみましょう。20代の頃から長年、活躍し続けた服があるのでは? そんなスタメン服こそアラサーの買い物の軸にすべき。これまで愛してきた洋服と、似ているものを買い続けるも一つの手なんです。

あ……同じような服ばかり集まっちゃいそうって思いました? 実はそれ、正解です!

例えば、ボーダーのTシャツを長年着ているなら、これからも気に入ったボーダーTには惜しまずお金を使って良いんです。ボートネックにVネックに丸襟、どれが似合うのか。襟の開き具合はどれくらいがいいか。丈夫なヘビーコットンとエレガントなシアー素材のどちらが好みか。どの丈感や身幅が自分の体型を美しく見せるのか……。このように考えていけばボーダーTへの解像度がどんどん細かくなっていき、最も似合う一枚を見極められるようになります。

同じジャンルの服を買い足しては絞り、トライ&エラーを経ることで、審美眼が磨かれます。こうした作業にお金をかけるのは、スマートな女性になるための必要経費だともいえるでしょう。

ここで一つ、美しい佇まいのアラサースタイリストさんの言葉をご紹介。

「私のクローゼットには服がすごく少ない。しかも、似たような服しかない。だって、常に一番好きなスタイルを着ていたいから。毎日が勝負だと思っていますから、勝負服しかいらないの」

自分自身をよく知る人の一言に、目から鱗です。私たちもいつの日か、トレンドにとらわれず、長生きする勝負服だけを買える人になりたいものですね。

令和の時代、スマートなアラサーは本質主義へ

令和の幕開けから約3年たった今、ファッションへの価値観が大きく変化しています。トレンド以上に「ホンモノ」を追い求める時代になりつつあるのです。特に、コロナウイルスの流行以降、全国のセレクトショップやデザイナーズブランドから「人々のファッションへのリテラシーが上がった」という話は頻繁に挙がっています。

ちょっと高くても長く使えるレザーのアイテム、シンプルだけど丁寧にテーラリングされたジャケットなどが売れているそうですよ。社会の人々の内省化に伴い、買い物に対して思慮深い消費者が増えているんですね。大量生産・大量消費される一過性のトレンドを追い求めた服を買うのではなく、生産背景の見える服やデザイナーの哲学を感じられる服が好まれる傾向にあるとか。大人として社会への姿勢が問われている今、洋服を買うにしてもスマート・コンシューマーでありたいところです。

とはいえ、ファッションにかけられるお金は限られているのも現実。上質で本質的な買い物をしたいと考えながらも、流行のアイテムにミーハー心がくすぐられてしまうことだってあるでしょう。もちろん筆者にも、あります。そこで提案したい現実路線は、被服費の予算管理。シーズンごとに前もって、お金をかけるべき服、かけなくてもいい服を決めてみましょう。

賢いお買い物術”4STEP”

それでは、トレンドやセールの誘惑に負けず、上質なワードローブを作り上げていくためのお買い物術を4つのステップで紹介します。

1.「春夏」と「秋冬」の予算を決める

おすすめしたいのが、シーズンごとのまとめ買い。トップスばかり買ってしまったり、必要なシューズを買い漏らしたり……そんなミスをせずに、バランスの良い買い物ができるはずです。日々の仕事終わりにふらりとショップに立ち寄り、ちょこちょこ買い物をする方が、チリも積もって無駄遣いをしてしまうもの。

2.「上質な定番服」と「その他・流行もの」の予算を決める

「上質な定番服」の予算は大胆にとってもOK。「その他・流行もの」は予備の予算としましょう。どうしてもトレンドをゲットしたい衝動が襲ってくる時もあるかもしれませんから(笑)。

3.「上質な定番服」は、お気に入りのお店やブランドで、シーズンごとにまとめ買いをする

大切になるのは、やはり自分が愛せる服を理解しているかどうか。シーズン頭に、好きなブランド・行きつけのショップはすべてWebでチェックしてしまいましょう。休日を当てて、お店巡りをするのも良いですね。下見をし終えてから予算内で何を買うかリストアップすれば、失敗や後悔もしにくいもの。一点の値が張ったとしても、無駄な出費は減るはずです。

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