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学芸員ラジオDJ・AIKO62さんおすすめ。 〜今度はどの美術館へ?アートのいろは〜 吉村芳生「超絶技巧を超えて」

旅行・おでかけ

ラジオ番組で美術展を紹介するうちに美術館巡りの面白さに目覚めたというDJAIKO62さん。コラム連載第10回は、〈東京ステーションギャラリー〉で2019年1月20日まで開催中の吉村芳生展をご紹介します。「写真じゃないの?」と思わず絵に近寄って細部を凝視する人たちが続出、コツコツと積み上げた努力の跡も圧倒的です。

DJAIKO62 / ラジオDJ、ナレーター

東京駅エリアの美術館といえば。

〈三菱一号館美術館〉、現在新築工事中の〈新アーティゾン美術館(ブリヂストン美術館)〉、そしてここ〈東京ステーションギャラリー〉があります。
JR東京駅丸の内北口改札を出るとすぐ右手にエントランス、アクセスも抜群です。

気の遠くなるような作業の積み重ね。

最近は「超絶技巧」と聞けば、細かい描写や難易度の高い作業を経て完成する絵画や工芸のことを言うんだなとパッと思い浮かぶようになりました。私も見るのがとても好きなジャンルです。

17mの金網

吉村芳生「ドローイング 金網」(1977)

全長17m、網目の数18000個という細かさに圧倒される作品「ドローイング金網」。感情を排除して丹念に金網を一つ一つ鉛筆で描き、完成には70日かかっているそうです。シンプルながらもまるで修行のようだなと思いました。

版画家、そして画家へ。

スタートは版画家、画家としては遅咲きだった吉村芳生。注目を浴びたのは自身が57歳の時に森美術館で開催された「六本木クロッシング2007:未来への脈動」でした。ところがその6年後の2013年に急逝してしまいます。今展では62件700点以上の作品を「モノトーンの初期」「カラフルな花を描いた後期」「自画像」と3部構成でたどることができます。

吉村芳生「ジーンズ」(1983)

モノトーンの作品群がまず私たちを迎えます。撮影した写真を引き伸ばして2.5mmのマス目をひき、その一つ一つを模写するという手法をとっています。「ジーンズ」は「ジーンズ下絵(数字)」と並んで展示がありますので見比べてみてください。

後期になるとカラフルな花々を色鉛筆で描くようになります。でもスケールの大きさや緻密さ、作業工程に関しては一貫したものを感じますよね。

絶筆となった「コスモス(絶筆)」

吉村芳生「コスモス(絶筆)」(2013)

作家がどのようにして描き進めていたかがわかる「コスモス(絶筆)」という作品です。プリンターが途中で止まってしまったかのような、そんな印象を受けました。本当に小さなマス目を一つ一つ描き写したものなんだと実感できるはずです。

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