宿にとことんこだわる、景色や空間を楽しむなど、温泉の楽しみ方は人それぞれ。温泉をこよなく愛する8人に、全国各地の温泉宿、温浴施設からとっておきを聞いてみた。
1.ロロ・ピアーナ マーチャンダイジング ディレクター・楠田法子
「ぬる湯」でずっと浸かっていられる温泉
心身のバランスを整えてくれる温泉は週に 一度は入りたい。疲れや肩凝りが軽減した経験もあって、源泉かけ流しであることが最も重要です。中でも「ぬる湯」は程よい温度で ずっと浸かっていられるからしっかり堪能できるし、何より気持ちがいい!とにかく大好きな温泉に浸かっていたいのです。
山口温泉(山梨県/甲斐市)湯上がりしっとり化粧水いらず。地下930mから湧き出す源泉をそのまま提供する新鮮な湯。37度前後で肌への刺激が少なく、副交感神経に働きかけリラックス。休憩室もあり。「住宅街にある鄙びた建物がいい」。住所:山梨県甲斐市篠原477|〈地図〉TEL:055-279-2611 料金:立ち寄り600円、日帰り1,100円
壁湯天然洞窟温泉 旅館 福元屋(大分県/玖珠郡)300年以上前から自噴する洞窟温泉。岩壁が川にせり出した、野趣あふれる壁湯天 然洞窟温泉は、じっくり堪能できる39度。宿 泊者専用の内湯もあり。「食事も素晴らしい」。住所:大分県玖珠郡九重町大字町田62-1|〈地図〉TEL:09 73-78-8754 室数:全9室 料金:1泊2名1室・1名18, 000円~(2食付き)/入浴料400円
楠田法子 くすだ・のりこ/鎌倉在住。山梨県に畑を持ち、畑へ行くたびに必ず入るほどの温泉好き。旅行先では現地の名湯を制覇するため一日4、5湯入ることも。
2.エッセイスト・柳沢小実
アーチの窓がかわいいお風呂
温泉でひたすらぼーっとして、芯から温まるのが好きです。宿を選ぶときはとにかく温泉が目当てなので、お風呂のビジュアルや泉質が最優先。今回選んだアーチ形の窓のお風呂は、浸かりながらタイムスリップしたような気分に。湯の色が日に7回変化する和歌山県熊野の「つぼ湯」にもう一度入りたい。
法師温泉長寿館( 群馬県/利根郡)鹿鳴館様式の貫禄ある建築。浴槽に敷き詰められた玉石の間からポコポコと湧き出る、足元湧出温泉。写真の「法師乃湯」は約120年前に建築された有形文化財。「天井が高く開放感があります」。住所:群馬県利根郡みなかみ町永井650|〈地図〉TEL:0278-66-0005 室数:全34室料金:1泊2名1室・1名19,950円~
四万温泉 積善館(群馬県/四万 )大正ロマンを感じる意匠。元禄時代に創業した由緒ある木造建築の温泉 宿。写真の「元禄の湯」は、国の有形文化財に 指定されている。住所:群馬県吾妻郡中之条町四万大字四万甲4236|〈地図〉TEL:0279-64-2101室数:全52室料金:1泊2名1室・1名 本館9,900円、山荘26, 400円、佳松亭35,200円(2食付き)
柳沢小実 やなぎさわ・このみ/衣食住・収納・旅・台湾について執筆。自身の暮らしを綴った著書多数。近著に『私らしい暮らしとお金の整え方』(主婦の友社)など。
3.菓子研究家・長田佳子
ごはんがおいしい温泉
季節の変わり目や、気持ちの切り替えに温泉を活用します。泉質や温度、すいている時期かどうかに加えて、ゆっくり過ごすには温泉宿の食事も大切。地元の食材はもちろん、温泉水で調理された料理はほかではいただけない特別なもの。20年前に母と行った〈亀の井別荘〉の食事に感動したのを覚えています。
亀の井別荘(大分県/由布市)旬を庭の風情と共に味わう。由布岳の麓にある幻想的な金鱗湖のほとり、 約1万坪もの敷地に立つ温泉宿。余計な装飾、 余計な味付けをしない、地元の新鮮な食材をいかした料理を味わえる。住所:大分県由布市湯布院町川上2633-1|〈地図〉TEL:0977-84-3166室数:全20室料金:1泊2名1室・1名39,750円~(2食付き)
はやぶさ温泉(山梨県/山梨市)実家のような温かなムード。笛吹川断裂温泉帯特有のアルカリ性単純泉で お肌が滑らかに。そして入浴後は自家製野菜 と温泉水で調理した料理を食べて、内側からも元気になる。「定食の小鉢もおいしい」。 住所:山梨県山梨市牧丘町隼818-1|〈地図〉TEL:0553-35- 2611料金:700円