なんとなく調子が悪い…という人の中でも天気の変化によって症状が現れる人は、「気象病」に注目を。気象病は、近年、広く知られるようになり、その呼び名を聞いたことがある人も多いのでは? どんな気象条件で、どういう症状が現れるのか。また、改善方法など、気になるあれこれを専門家に聞きました。
気圧の低下など急激な気象の変化が体の負担に。
そもそも気象病は何かというと、「気象の変化によって引き起こされる心身の不調のこと」と気象病・天気病外来での診療も行っている内科医の久手堅司先生。とくに「気圧」「気温」「湿度」の3つの気象条件が大きく関わるという。
「なかでも気圧の変化が顕著で、例えば雨が降る前日に気圧が急激に下がるなど、その差が大きいと不調の原因になります。気温に関しても“差”がポイントに。そのため季節の変わり目や、台風の時期に症状が現れやすいのです」
こうした気象の変化により、どんな不調が現れるのだろう。
「一番多いのは頭痛です。あとは倦怠感、首肩の凝り、めまいなど。気象病は女性に多く、貧血や低血圧ぎみの人が多いことや、女性特有のホルモンの変動などが影響していると考えられます」
これらの症状が単独で現れる人もいれば、複合的な人もいるそう。
「症状の強さにも違いがあり、自分では気づいていない人もいます。自分のケースを把握し、日頃のケアで適切に対処しましょう」
CHECK LIST
□天気が悪い時に体調が悪い
□雨が降る前や天候が崩れる時に、その変化がなんとなく予測できる
□頭痛持ち(緊張型頭痛、片頭痛など)だ
□首こり、肩こりがある
□めまいや耳鳴りが起こりやすい
□起床時、日中に倦怠感がある
□低血圧ぎみで、血圧が低いと不調が出る
□姿勢が悪く、猫背や反り腰がある
1、2番目の両方にチェックがついた人は、気象病の可能性がかなり高い。それ以外の項目は、チェックの数が多くなるほど、気象病になるリスクが高くなる。ただし、該当する数が多いからといって、必ず気象病ということではない。
気象病を予測する
気象病かどうかの確認のためにも、また、自分が気象病とわかったら、いつ体調が悪くなりそうなのか予期するためにも、これらを役立てて。
1、天気予報をこまめに確認。
オーソドックスなのは、テレビやネットで天気予報を確認すること。「注目すべきは自分が住んでいる地域よりも西の天気。基本的に天気は西から東へと移動するので、西の天気が崩れ始めたら、そろそろ気象病が現れるかもと心構えができると思います。気象病は季節的なピークはありますが、気圧など気象条件は一年中変化するため、年間通してなり得るもの。天気予報をこまめに見ておくと、大事な予定はずらすなどスケジュールを立てやすくなるはず」
2、アプリ「頭痛ーる」を活用しよう。
気圧の変化による不調を予測するには、「頭痛ーる」というアプリも便利。「自分が住んでいる市区町村を登録すると、気象病で体調不良を起こしやすい日時が、気圧の変化を表すグラフや『警戒』などのマークでわかります。気圧だけでなく、寒暖差の指数もあり。また、痛みを表す記録やメモ機能もあるので、どんな気象条件で体調不良になったのかを残しておけば、自分のパターンがわかり、事前に頭痛薬などを用意しておくこともできるでしょう」
気象病を予防する
気象病は、もともと不調のある人がなるもの。つまり、予防には日頃の不調を改善しておくことが第一。自律神経のケアでベースを整えよう。
1、自律神経を整える呼吸法
「呼吸は、自律神経をコントロールする唯一の方法」とのこと。もともと不調がある人は呼吸が浅くて速くなりがち。それを改善するには、腹式呼吸と胸式呼吸を組み合わせた深い呼吸が有効。ポイントはしっかり吐くこと。
腹式呼吸から。仰向けで、ひざを90度に。両手をお腹に乗せ、お腹を意識しながら、鼻から10秒吸って、口から10秒吐く。
次は胸式呼吸。両手を「Tの字」にして胸骨に乗せる。胸郭が上下するのを意識しながら、鼻から10秒吸い、口から10秒吐く。
これも胸式。両手で包み込むように肋骨に手を添え、10秒ずつ深呼吸。肋骨が左右に広がったり、縮まったりするのを感じる。
2、自律神経を整えるマッサージ
呼吸のほかにも取り入れたいのが首のマッサージ。首の筋肉が緊張していると、交感神経優位になり、肩こりや頭痛、めまいにつながりやすい。緊張を和らげ、副交感神経優位のリラックスモードにして日頃の不調を改善へ。
テニスボールを1個、用意しておく。仰向けに寝たら、ひざを90度に立て、手の平は床に向けて体の横に。これが基本姿勢。
テニスボールを首の後ろのくぼみの真ん中にある太い筋肉に当てる(頭と首の境目あたり)。その状態で20~30秒キープ。
横向きになり、下側の腕を上げる。ひざは90度に。首と肩の間にボールを挟み20~30秒、首の筋肉をほぐす。反対も同様に。