おなじみの音楽や映像配信を筆頭に、食、ファッション、美容、ホテル、医療…、そして住居やお墓といった驚きのものまで、“サブスク”に。ただ、あまりにも増えている中、とりあえず入会したものの…と悩むケースも増加中。賢い選び方から向き不向きまでプロがアドバイス!
サブスクリプションとは、もともと定期購読や継続購入を意味するビジネス用語。
「サービスが急増して定義が難しくなりましたが、購入や利用に際して毎月定額の支払いが発生するものがサブスクと考えるとわかりやすいと思います」とは、サブスクの紹介サイトを運営する大和貴人さん。ここ数年は大手企業の参入も目立ち、買う以外の新しい選択肢として浸透してきた一方で、「終了するサービスも多い」と話すのは、日本サブスクリプションビジネス振興会の上ノ山慎哉さん。
「当然ですが、ユーザーは月額を払い続けるメリットがないと離れていきます。メリットとは、コスパの良さや利便性に加え、プロの提案やパーソナライズなどの付加価値があること。事業間の競争が激しくなったことで、今後はよりブラッシュアップされたサービスが増えていくはずです」
デメリットには料金体系の複雑さが挙げられる。「サブスク=使い放題、お得」と思いがちだが、必ずしもそうではないという。
「月額以外にかかる送料や各種の手数料、最低契約期間を必ず確認し、サービスの内容や得られる価値と照らし合わせて自分が納得できるか。これがとても大切なことです」(大和さん)
ポイントを掴んで自分に合ったサービスを探そう。
サブスクに向いているのはこんなもの!
失敗したくない高価なもの
大型家具やブランド寝具、家電など、高価で失敗したくないものはサブスクでお試しを。「使用感が重要なもの、すぐ買い替えられないものほどサブスクの利用価値は高いです」(大和さん)
時間をかけたくないもの
レンジアップでOKのフローズンミールのように、時短したいものは定期購入のサブスクが便利。「タイパ重視の流れは今後も続きそうなので、時短を叶えるサービスは進化するはず」(大和さん)
使用期間が限られるもの
通学や転勤期間中のみ使う電動自転車など、使用期間が限られるものは借りる選択肢を検討してみよう。「とくに高額で、使う期間が短いものは借りたほうがお得だと思います」(上ノ山さん)
いろいろ試したいもの
洋服など、ひとつのものを長く使うより、新しいものを楽しみたいなら、買うよりサブスクが◎。「好みやシーン、ライフスタイルの変化に対応しやすいのがサブスクの強みのひとつです」(上ノ山さん)
定期的に必ず買うもの
お米などの食品や日用品など、定期的かつそれなりの量を購入しているものはサブスク向き。「本当に好きで買い続けているものだとコスト面で負担に感じづらいです」(大和さん)
自分に合うものを選んでほしいもの
好みや悩みなどをもとに、プロやAIが化粧品やサプリを選んでくれるサービスが増加中。「継続するほど自分にフィットした提案になります。自分じゃ選べないものとの出合いにも」(上ノ山さん)
選ぶときの注意点!
退会の方法がわかりやすい
「やめたかったのに手続きできずに翌月も料金が発生してしまった」など、退会時のトラブルが多いそう。「退会方法が簡単かつサイトに明示されている、また不要なときにスキップできるサービスは信用できます」(大和さん)
口コミで評価が高い
選ぶ際に参考にしたいのは利用者のリアルな声。「PR記事やサービスのHP内で紹介されている感想コメントではなく、マイナスの声も調べるのがポイント。運営企業のサイトをチェックするとなお良いです」(大和さん)
長く続いているサービス
競争の激しいサブスク業界。ユーザーの満足度が高くなければサービスは続かない。「サービスの質は、継続年数や会員数に比例します。長く続いているか、ユーザーが多いか、これは重要な判断基準になります」(上ノ山さん)
大和貴人さん サブスクの面白さにハマり、紹介サイト「コスパ部」を立ち上げ。300以上のサービスを体験し、長年継続しているのは「ガレイドデンタルメンバー」。メディア出演も多数。https://cospabu.com/
上ノ山慎哉さん サブスク事業者の支援に15年ほど前から関わり、2012年にD2C企業にクラウドサービスを提供するスタークス株式会社を創業。現在は日本サブスクリプションビジネス振興会で理事としても活動。