ボーイズグループ発掘オーディション「THE FIRST」を手がけ、アーティストとしてだけでなくプロデューサーとしても活躍中のSKY-HIさん。才能を“選ぶ”立場にいる彼は運の存在をどう捉えているのか。経験から導き出された運を掴むための条件とは。
1. 目標への“純度”が高いこと。
自分のなりたい姿に対して、迷わず突き進むのは実はかなり難しいこと。それでも「その純粋さを持ち続けられるのが運を掴める人だと思う」と分析する。
「“運を掴む人になりたい”ではなく、自分にとって掴みたい運が何を指し示すのか、それがより具体的であるほうが純度は上がりますね。それに対してまっすぐに進める心の純粋性も必要だと思うんです。例えば、ゴール前でどんな人にパスを出したいか考えたとき、とまどいや邪な気持ちでフラついてる人よりも、ひとつのことに対して純粋な人のほうが当然、ボールが回ってくる確率は高いでしょうから。目標への純度や純粋性の高さみたいなものが、運を掴むことに直結していると思います」
2. 後悔よりも方向転換ができる。
「反省は必要ですが、後悔は何の役にも立たない」と断言。後悔は結果的に、不運を招くだけだと言う。
「“後悔先に立たず”といいますが、本当にその通りだと思います。だから後悔しないためにも、やり残しがないように日々取り組んでおくことが大事。ただ、チャンスを掴むために努力した結果、それがうまくいかなかったのだとしたら、そのほうが正解ってこともあるかもしれない。ネジで生まれてるのに、クギになりたがる人生のほうが不運かもしれないから。後悔に囚われることは不運に繋がる。むしろ、自分を見つめ直すいい機会だと思って、方向転換することも必要な気がします」
3. 開き直れる強さ。
邪念や雑念を捨てて、“なるようになる”と開き直れるかどうかが成功のカギだと、自身が主催したオーディション「THE FIRST」を例に挙げて話す。
「本番で成功・失敗を分けるのも、純度の高さだと思うんです。失敗する人の多くは余計なことを考えてしまいがち。“周りはみんな上手い人ばかりで俺なんてダメだ”とか、“やっぱりまだ受けなきゃよかったかなぁ”なんて考えていたらきっと失敗すると思うんですよ。でも、開き直って挑戦できたら、失敗する確率は減り、成功率はUPする。“これをやると決めたからやるんだ”と、雑念なく、純粋に思えた分だけ、成功する確率は上がるでしょうね」
4. ゴールを決めたらひたすらに進む力。
「BE:FIRSTはみんな純度が高い」とSKY-HIさん。目標を設定したら、脇目も振らずに一直線。それも幸運を掴み取る近道だと考える。
「よく“2行で説明できない曲は、商業音楽としてダメだ”みたいなことをいわれるんですが、目標やゴールが明確であることも大事。その点、BE:FIRSTはみんな動物的な直感を信じられるタイプなので、全ての答えがシンプル。なかでも、SOTAとJUNONは決めるまでは迷ったりするけど、決めたことに対しては100%で進む猪突猛進型(笑)。簡単ではないですが、自分を信じて突っ走ることができたら、欲しいものが手に入る確率も上がるはず」
5. 自分が掴みたい運が何かを知っている。
「目指すべきものが明確であればあるほど、余計なものには目がいかなくなる」とも考える。
「何を大切にしているかの純度が高ければ高いほど、それ以外のことはどうでもよくなるので、許容範囲も広がる気がするんです。幹の部分がしっかりしていれば、枝葉がどこに伸びようがわりと大丈夫というか…。不安や焦りがあるときのほうが、他の物事に対して許せない気持ちが強くなったり、何でもかんでも気になってしまうんじゃないかと。逆に、純度の高い目標が1個あって、絶対に譲れないというものを持ってる人ほど、それ以外のことに関しては融通が利くと思う。結果としてブレずに運を掴めるんじゃないかな」
6. 邪念は早期に取り払う。
邪念は誰しも抱いてしまうもの。それに気づいた段階で処理することも運を掴む秘訣であり、SKY-HIさんが心がけていることのひとつ。
「会社のスタッフやBE:FIRSTのメンバーと話していると、時に損得でしか語れない話が出てくることもあって。それを正直に伝えることで信用を得られることもあるし、邪な気持ちを持ってはいけないとなると、プレッシャーにもなってしまう。だから、邪念が生まれたらそれを認めて、早めに片付けることが大切。ごまかさずに一回受け入れて、さすがにエゴがすぎるなと思ったら、それから捨てればいい。邪念に惑わされないというのと、なかったことにするというのは別物」
7. 最後は、運よりも縁。
オーディションで合否を分けるものは、実力や才能、努力以外の要素において「縁が大きく左右する」と、経験から語る。
「『THE FIRST』で合否を分けたものは運ではなく縁。例えば、オーディションの課題曲がその人の得意分野だったとしたら、それも結局は縁。課題として提出しているものは僕が求めているものであり、そこに近い人のほうが輝けるのは至極当然なこと。オーディションに参加してくれた人が人生の中でたまたま求めたものと、僕が思い描く像がマッチした結果なので、出会えたのは縁だと思うし、磁石のN極とS極のように引き寄せられたのだと思います」
スカイハイ 1986年12月12日生まれ、千葉県出身。ラッパー、音楽プロデューサー、経営者。日本テレビとの大型プロジェクト「D.U.N.K. Showcase」がHuluストアで配信決定。東阪アリーナツアー「SKY-HI ARENA TOUR 2023‐BOSSDOM‐」チケットも発売中。
※『anan』2023年3月22日号より。写真・樽木優美子(TRON) ヘア&メイク・椎津 恵 取材、文・関川直子
(by anan編集部)