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不動産会社の経営者が教える! 選んではいけない「NG間取り」のマンション

マンションを購入したいと思ったとき、大まかな予算と立地をもとに、間取りや平米数から物件を探し始める人も多いはず。そこで今回は「単身用マンション」の購入を検討している方に向け、「選んではいけない間取り」のマンションについてご紹介します。どんな間取りを避けて物件を探せばいいのでしょうか。『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)の著書であり、5000人超の女性たちの「幸せになれる家選び」をサポートしてきた「ことり不動産」代表の石岡茜さんにアドバイスしていただきました。ぜひマンション選びの参考にしてください!

1. 1R(ワンルーム)、1Kの物件

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1R(ワンルーム)とは、ひとつの部屋の中にキッチンがある間取りのこと。最もコンパクトな間取りで一人暮らしの方を対象にしたアパートやマンションに多く見られます。細かく壁で区切られた間取りよりも開放感があり、自由に家具をレイアウトできるのがメリットと言えますが、裏を返せば自分自身でレイアウトをカスタマイズしなければならず、ベッドやテーブルなどを「どう配置したらいいかわからない」という理由から敬遠される方もいます。

キッチンと一体化した部屋なので調理中の臭いが充満するほか、ファブリックや壁などに臭いや汚れが付きやすいといったデメリットもあります。また寝食すべてを一部屋で行う1Kも賃貸物件であればいいのですが、長期的な住居として購入を検討されている方にはおすすめできません。

予算との兼ね合いもあると思いますが、オンとオフが切り替えやすい理想的な間取りは1LDKです。広くて開放感のあるリビングと最低限の広さでいいので寝室が区分けされた物件がおすすめです。リビングが広ければ一角にリモートワーク用や趣味のスペースを作ることもでき、さらにオンとオフのメリハリがつけられます。また将来、結婚や転勤、Uターンなどライフスタイルに変化があり、貸し出したり売却することになったりした場合も、1R(ワンルーム)や1Kよりも1LDKの方が借り手・買い手が見つかりやすいです。

ただし1R(ワンルーム)や1Kでも、リノベーションをして間取りを変えることはできます。相場よりも少し安く買えそうな1R(ワンルーム)や1Kがありましたら、それをご自身の好きな間取りに変えてみてもいいと思います。

2. メインの大きな収納がリビングにある物件

収納スペースが少ない間取りは荷物が目につく場所に出てしまい、暮らしていく上で不便さを感じることがあります。十分な広さがある物件で収納が得意な方であれば、家具を配置して収納不足を解消することができます。ですが、単身用のコンパクトなマンションであればそれも難しいかもしれません。

持ち物が多く、片づけが苦手という方は、物の定位置を決めて置けるように、ある程度の容量があるクローゼットや押し入れがついた物件を選ぶのがおすすめです。物が収納スペースの中に収まって、見える範囲をきれいな状態に保てた部屋にいるほうが、気持ちが上がる方も多いと思います。部屋に長くいて居心地がいいと感じられるように、持っている荷物と、それに見合う収納スペースが付いている物件かどうか確認してみましょう。

また、収納スペースの場所も重要なポイントです。たとえば、リビングやキッチンにメインの大型収納があると、ソファやダイニングテーブルなどの置き場に悩んでしまうことがあり、置きたい場所に置けないことで、料理を作る・運ぶ、掃除をするといった家事導線がうまく確保できなくなってしまうことがあります。メインの大きな収納は、寝室側にあるほうが家事導線の邪魔になりにくいです。

ウォークインクローゼットがあり、収納を一か所に集約できるような物件が理想ですが、予算や立地からそれが難しい場合には、なるべく寝室や廊下にメインの収納が備わっている物件を選ぶと使いやすいと思います。

3. 33㎡未満の狭い物件

オンとオフを切り替えた快適な暮らしをするためには、一定の広さは確保するのがおすすめです。広い1R(ワンルーム)の物件を後からカスタマイズするにしても、1LDKを作るためには最低でも35㎡(できれば40㎡)以上の面積があったほうがいいと思います。

狭い物件にありがちな、脱衣所・バスルームとトイレがひとつのドアから入るホテルスタイルの間取りは省スペースになるのですが、おすすめしづらい点も。衛生面の心配や、誰かが遊びに来てトイレを利用していると洗面所が自由に使えずに不便さを感じるといった声もよく聞きます。また、狭いゆえにキッチンに冷蔵庫置き場しかない物件では、炊飯器や電子レンジなど調理家電の置き場に困ってしまい、リビングに置かないといけないことも。家事導線が確保できないばかりか、生活感も出てしまいます。

その他、住宅ローンを組む際の面積制限にも関わってきます。ほとんどの金融機関は、「ワンルームマンション投資」などに住宅ローンが悪用されるのを防ぐ意味もあり、30㎡未満の物件を融資の対象にしていません。なお、住宅ローン申請等でチェックされる際に適応されるのは、パンフレットや広告など販売図面に記載された「壁芯(かべしん)面積」より2~3㎡ぐらい狭い、「内法(うちのり)面積」となるため、販売図面が33㎡未満の物件は住宅ローン申請ができないのです。

4. リビングに履き出し窓のない物件

家にいる時間にリビングに日光が入らないと気が滅入るという方も多く、日当たりは物件選びでも最も重要なポイントのひとつです。一般的に、日当たりは方角で表記されることが多く、日中の日当たりがいい南向き、朝方の日当たりがいい東向き、夕方の日当たりがいい西向き、直射日光が入りづらい北向きの順で人気となります。

とはいえ、タワーマンションなどでは日当たりがよすぎると暑いため、南向きが避けられたり、住宅が密集しているエリアでは方角そのものより、隣家との距離のほうが重視されたりします。バルコニー前に高い建物が隣接していると南向きでも日が入りづらいですし、目の前に隣家のドアや窓などがある物件は、人目が気になるため不人気なのです。

また、できればリビングに「掃き出し窓」が付いている物件がおすすめです。「掃き出し窓」とは、窓の底辺部分が床まである大きな引き戸式の窓のこと。この掃き出し窓がついておらず、「腰高窓(こしだかまど)」(成人が立っている時の腰の高さの位置に設置された窓のこと)しかない場合、たとえ南向きで日当たりがよくても、部屋に日が差し込む範囲が限られてしまいます。「腰高窓」も寝室にある場合は問題ないのですが、日中の大半を過ごすリビングには不向きといえそうです。

他にも、庭やベランダへ出入りしやすいことや、風が通り開放感が得られることなど「掃き出し窓」にはメリットがいっぱい。ぜひ、リビングにどんな窓が付いているのか注目して物件を探してみてください。

なお、すべての希望を叶えることが難しい場合は「起きている時間に長くいる場所」を優先して考えてみてください。たとえば、「リビングにいる時間が長い方は、寝室は本当に最低限の広さでベッドが置ければOK」とか「リビングは広いほうがいい。カウンターキッチンで料理をしながらリビングを眺めたい」など。一番長くいる場所を中心に理想の間取りを思い描いてみると、自分にとって居心地のいい部屋に出合えると思います。

Information

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教えてくれた人
石岡茜さん。2013年に「女性のための不動産会社を作りたい」と、東京・学芸大学に「ことり不動産」を設立。女性ならではの細やかな視点と「幸せな家選び」をモットーに、物件選びをサポートしている。宅地建物取引士。著書に『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)がある。

https://www.cotorire.com/
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取材、文・高倉優子

©Artjafara/Getty Images

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