ヴァイオリニストの花井悠希さんがお届けする、新しいカタチのパン連載。1つの駅、1つの街にフォーカスを当て、ここでしか出会えないパン屋さんを見つけていきます。
ヴァイオリニストの花井悠希さんがお届けする、新しいカタチのパン連載。1つの駅、1つの街にフォーカスを当て、ここでしか出会えないパン屋さんを見つけていきます。
今回の街は…「不動前駅」周辺
目黒のおとなり「不動前駅」。〈林試の森公園〉でピクニックしたり、ごはん屋さんへ行くことはあったけど、降り立ったことはなかった「不動前駅」。ついに上陸です(大袈裟)!今回も在住の友達に案内してもらってパン散歩へ。
初めて降り立った不動前駅。
改札の先には左右に商店街が広がっています。
趣のある看板に釘付け!
奥に見えるのがスーパーマーケット〈オオゼキ〉。
改札の先には左右に広がる商店街。多くの人が行き交い活気があります。「ここが地元ですよ」な顔をして(できているかは不明)人の流れに身を委ねていきましょう。
歩みを進めると、昔からずっとこの街を見守ってきたのでは?という老舗な佇まいの個人商店3軒を発見。お向かいにはこれまた歴史を感じる小さな洋服のお直し屋さん。飲食店や商店が並ぶ道に沿って角を曲がれば正面にはスーパー〈オオゼキ〉がどーんと待ち構えていました。はい、住みやすい街決定です(〈オオゼキ〉への贔屓目がすごい)。
1軒目:〈BISTRO BAKERY TATSUMI(ビストロベーカリータツミ)〉
今回のスペシャルゲスト!名前は「クレム」ちゃん。
ポップな壁紙がかわいい店内には、魅力的なお総菜パンがずらり。
中目黒で人気の〈Bistro Tatsumi〉が、人気のジビエや肉料理を活かしたパン屋さんをオープン。駅から続く商店街の中にお店はあります。今年の春にオープンしたばかりですが、平日のお昼時にはお店の前に行列ができており、すでに地元の方々の定番となって愛されているのが伺えます。それもそのはず。ビストロで丁寧に処理されたお肉を使ったサンドイッチやビストロ仕込みのお料理を使ったお惣菜パンなど、このお店ならではの魅力がいっぱいなのです。
「ベーコン&新たまねぎのエピ」
見た目だけでは伝わらない、この子のポテンシャルの高さよ。
まずは、お店の方におすすめしてもらったこちら。“エピ”と聞いて想像するあのベーコンと小麦のカラッと香ばしい味わいからさらに飛躍しています。大きな塊からお店で一つ一つ手切りされたベーコン、その下にはオリーブオイルでアンチョビと一緒にソテーされた玉ねぎが敷かれています。
もっちりと弾力のある生地を噛み締めるほどに、生地が蓄えた玉ねぎの香りとベーコンの燻製の香りが大放出!その香りだけでもご飯何倍もいける勢いなのに(そこはパンでしょ!)、ベーコンと玉ねぎ、どちらも主役級の味わいの強さで両者一歩も譲りません。
玉ねぎの甘みや香りをアンチョビの風味をまとったまろやかな塩気が引き出して、ベーコンの肉の甘みや肉感はダイレクトに届きジューシー。燻製によってさらにギュッと締まり濃縮されてベーコンの旨み全てが炙り出されている様子。お野菜とお肉、そして小麦とそれぞれ異なる甘みの表現を存分に感じることができるここでしか味わうことのできないエピです。
「本格インドカレーパンSUMMER」
そこはもう常夏や、の断面。
季節によって変わるカレーパン。夏バージョンには大きな茄子がトッピングされているではありませんか(茄子大好き)。トマトが効いたスパイシーなカレーと茄子が合わさったらそこはもう常夏や(芸人・永野さんのネタ風に)。ビストロでシェフが手作りしているカレーは、生姜やニンニク、スパイスで作り上げる奥行きのある風味と辛み、ひき肉はほろほろとギュッと濃い肉の味わいをこぼれさせます。平べったく成形された生地はもっちりとした引きがあり、カレーライスのお米のような包容力。周りのパン粉はサクサクでいいグルーブ感を醸し出しておりますよ。