食いしばりと聞くと上下の歯に力を入れてギューッとかみしめる様子をイメージするかもしれません。でも、それだけではありません。口の中を意識したとき、上下の歯がくっついているなら、それは食いしばりグセがある証拠。アゴの筋肉や咬筋に負担をかけてデカ顔の原因になっているかもしれないのです。そこで、食いしばりグセを解消して小顔になるためのメソッドを歯科医の関有美子さんに聞きました。
関 有美子
デカ顔も肩こりも片頭痛もすべて“食いしばり”のせい!?
まず、口を閉じた正しい状態とは、唇は閉じていても歯と歯の間に1~3mm程度の隙間があり、舌が上あごに軽く添えられている状態のこと。上下の歯が当たっていたり、舌を歯に押し当てたりしているなら、歯科医の間で「TCH(歯列接触癖)」と呼ばれる“食いしばりクセがある人”ということになります。
自覚症状がなくても、かみしめが原因で歯の表面がすり減っていたり、下あごの内側に骨のコブのようなものがあったり、知覚過敏の歯が多かったり、頬の筋肉が張っているような感覚がある人は、食いしばりグセがあると自覚しましょう。
本来、上下の歯が触れるのは、話しているときや食事をしているときなど、1日の中でわずか20分程度が目安。それ以上、歯が接触しているということは、口の中が必要以上に筋トレしされているということ。筋肉が発達・緊張して、エラ張り、顔のむくみを引き起こして顔を大きく見せている可能性が高いのです。
さらに、食いしばりがひどくなっていくと骨格がゆがんだり、歯並びが悪くなったりするだけでなく、顎関節症、肩・首こり、片頭痛の原因になる可能性もあります。健康面でも美容面でも放っておくわけにはいきません!
たった1秒の「口開けメソッド」でフェイスラインが変わる
「TCH」がある場合、これまでの歯科では歯や歯茎を守るためにマウスピースを作る治療やボトックス注射で筋肉の緊張をほぐす治療を行うのが一般的でしたが、これらはあくまで対処療法。根本原因である「TCH」を改善しなければ、食いしばりは治りません。
そこで、現在、歯科医の間で最も効果が期待されている治療法が1~2時間に一度、口を開けて筋肉のストレッチを行う認知行動療法。そこに、美容効果・小顔効果をフォーカスしてアレンジしたのが、今回紹介する「1秒口開けメソッド」です。
<「1秒口開けメソッド」のやり方>
やり方は、とってもカンタン。口を開けて、たった1秒「あーん」の形にするだけ。歯と歯を離すことが大切なので声を出す必要はありません。

オフィスなど周りに人がいて口を開けることができない場合は、唇は閉じたまま口の中で歯と歯を離すだけでも大丈夫ですよ。
【応用編】動かしている筋肉を意識してプラスの効果
筋肉は意識して動かすことで効果が変わります。「1秒口開けメソッド」でも口の周りの筋肉がどう動いているのかを確認しながら行うことで効果への期待もアップします。
例えば、頬には大きな筋肉が2つありますが、下がってくるとたるみの原因になるため、「あーん」をするときに人さし指と中指で頬の下をおさえて、下がってこないように意識します。

また、余計な表情筋が伸びないように両手の親指を左右のあごのエラにあて、手のひらで頬をおおい「あーん」をするのも応用編のひとつ。口を開けたときに動く筋肉を意識しましょう。
家やオフィスにふせんを貼って1日20回を目標に行おう
とてもカンタンな「1秒口開けメソッド」ですが、大切なのは1日に何回も行うことと毎日続けることです。とはいえ、仕事に集中していると、ついメソッドのことは忘れてしまいそうですよね。
そこで、多くの歯科医でも患者さんに提案しているのが、毎日何度も目にする場所にふせんを貼っておき、見たら必ず「1秒口開けメソッド」を行うという環境づくり。例えば、手帳や財布、パスケースなどアイテムに貼るのもいいですし、自宅なら玄関・トイレのドアや電気のスイッチ、鏡などに貼り、オフィスならPCの電源ボタン・デスクトップ、よく使う引き出しを開けたところなどに貼りましょう。1~2時間に1回、1日20回行うことを目標にして達成できるようにふせんを貼りまくって!