星 良孝 <ステラ・メディックス>
睡眠時無呼吸が及ぼす悪影響

日本でも睡眠時無呼吸は身近な問題。日本呼吸器学会によると、成人男性では約3~7%、女性では約2~5%に睡眠時無呼吸が見られると説明しています。病気が起こるのは、呼吸をしたときの空気の通り道となる「上気道」が狭くなるため。症状のひとつとしていびきがあります。いびきをよくかいている人のなかには、睡眠時無呼吸になっている人が存在する可能性も。
このたび韓国の研究グループは、この睡眠時無呼吸が精神面でも影響を及ぼしているのではないかと関連を分析し、国際的な著名医学誌に発表しました。研究グループは国のデータを使って、睡眠時無呼吸の197人とそうではない780人のデータを抽出。睡眠時無呼吸症状と精神的な病気との関連を9年間の情報から分析しました。
女性のほうが影響は現れやすい

ここから判明したのは、睡眠時無呼吸の人は、病的に気分が落ち込んでしまううつ病や病的な不安に悩まされる不安障害などの情動障害になる恐れが大きいということ。こうした精神疾患になる可能性は2.04倍に。さらに、うつ病は2.90倍、不安障害は1.75倍でした。とりわけ女性のほうが、この傾向が強くなることもわかりました。
眠っている間の呼吸困難が何らかの理由によって、精神的な病気と関係しているわけです。因果関係が示されたわけではありませんが、いびきをかいていたり、心の病に悩んでいたりするときには、睡眠の状態にも気を払うとよいのかもしれません。
<参考文献>
日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)」
JAMA Otolaryngol Head Neck Surg. 2019 Sep 12. doi: 10.1001/jamaoto.2019.2435. [Epub ahead of print]
https://jamanetwork.com/journals/jamaotolaryngology/article-abstract/2749521