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環境の変化や緊張…ストレスが原因でお腹の調子が悪くなる「過敏性腸症候群」とじょうずにつきあうコツ

ライフスタイル

「しかし、この基準を満たさなくても、腸に異常がなく、便通異常と腹痛や腹部不快感があれば、治療の対象となります。下痢や便秘で生活に支障をきたすようなら、過敏性腸症候群にくわしい医師のいる消化器科を受診しましょう。ただし、市販の薬でなんとかしのげていれば、必ずしも病院にかかる必要はありません。過敏性腸症候群は、人口の20%にみられますが、病院で治療を受けるのは、そのうちの5%と考えられています」(松枝先生)

治療は、まず「症状の緩和」を目指す

ストレスに起因する病気であることから、ストレスをコントロールすることが症状をやわらげることに役立ちます。

「過敏性腸症候群の人たちは、もともと感受性が豊かなので、この病気によって学校や会社に行けなくなったり、不安や孤独を感じたりすることも多いです。欧米の調査では、過敏性腸症候群の人たちのQOL(生活の質)は、腎臓病で透析を受けている人よりも低いという結果が出ています。精神的にまいってしまい、うつになることもあります。過敏性腸症候群の改善には、まずどんな病気かを理解して、不安をとり除いていくことが重要です。お腹の調子が悪いことで生活がうまくいかなかったり、精神的な落ち込みを感じたりしたら、過敏性腸症候群にくわしい医師の診察を受けることが大切です。その上で、規則正しい生活、適度な運動でストレスをコントロ-ルしながら、自律神経を整えていきます。食事を工夫して、胃腸の働きを整えていくことも改善のカギです」

必要であれば、薬物療法もとり入れます。
下痢型の治療薬には、松枝先生も開発に携わった「イリボー」があります。
「脳がストレスを感じると、腸からセロトニンという物質が分泌されます。セロトニンが腸内のセロトニンの受容体にくっつくことで、腸は痛みを感じやすくなります。この状態になると、腸のぜん動運動を活性化させるアセチルコリンという物質が活発に分泌されるので、下痢が起こります。イリボーは、セロトニンの受容体にくっつくことで、痛みと腸のぜん動運動を押さえ、下痢を防ぎ腹痛を和らげる効果があります」

一方、便秘型には、便を軟らかくするリンゼスなどの薬剤、そして食物繊維と似た働きをする人工繊維の「ポリカルボフィルカルシウム」などが治療に使われます。
「患者は、完全主義者が多く、症状が完全になくならないと不安になり、それがストレスとなって症状を悪化させることが多くあります。まずは、症状の緩和を目指し、安心することが症状の消失につながります」

市販の下痢止め、便秘薬をのむときの注意

市販薬を使うときは、どのようなことに注意すればいいでしょうか。

「下痢止めは、“レスキューメディスン”として、持ち歩いておくと安心です。大事な仕事や約束があるときに、事前にのんでおくのも、ひとつの方法です。下痢止めの中でも、腸の動きを止める抗コリン作用(ロートエキスなど)のあるものは、尿が出にくくなったり、のどが渇いたりという副作用があります。また、ウイルス性胃腸炎や食あたりによる下痢は、薬で止めてはいけません」

便秘薬も、選び方に注意が必要です。
「センナ、大黄などアントラキノン系の成分を含む便秘薬は、おすすめできません。常用することで、腸の神経細胞が死滅して、腸壁が黒っぽく変色し、ぜん動運動が起こらなくなってしまいます。その結果、服用する量の増加や、下剤乱用のもとになります。欧米では、2週間以上、服用してはいけないことになっています。便秘の解消で服用するなら、酸化マグネシウムなどが成分の塩類系の下剤やビオフェルミンなどの整腸剤を選ぶようにします。そして、薬だけに頼らず、お通じがよくなるように食生活を改善していくことも考えましょう」

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過敏性腸症候群のセルフケアは、自律神経と胃腸の両面からアプローチ

過敏性腸症候群のセルフケアは、ストレスマネジメント、自律神経のバランスを整える、胃腸の働きを整える、の3本柱で行っていきます。

●75点主義で、ストレスをマネジメント

「過敏性腸症候群の人は、感受性が強く、几帳面なところがあります。だからこそ、ストレスがたまりやすいのですが、感受性や几帳面さは、才能のひとつです。それをいい方向に生かすために、完璧主義ではなく、75点主義を目指しましょう」

●規則正しい生活と運動で、自律神経を整える

過敏性腸症候群による便秘、下痢は、ストレスによる自律神経のアンバランスが引き金になります。自律神経のバランスを整えるには、起きる時間や寝る時間、食事の時間を一定にするなど規則正しい生活を送ることが大切です。
「休みの日も、ふだんと同じ時間に起きて、活動的に過ごしましょう。寝だめをしたり、家でだらだら過ごしたりすると、自律神経のバランスが崩れてしまいます。」

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