こんにちは、日本唯一の家事シェア研究家の三木智有です。「夫婦で価値観の違いが埋まらない」なんて悩んでいるご夫婦、多いですよね。「家事に関して、綺麗さの感覚が違う」「出かける時の準備のスピード、予定の立て方が違う」「子育てにおいての価値観が違う」日常的な小さな価値観の違いから、家族にとって重要な意思決定に伴う価値観の違いまで。ひとことに価値観の違いといっても、そのグラデーションは様々です。人によって大事にしていることの強弱は違うので、これが原因で残念ながらお別れするということもよく耳にしますよね。
価値観は同じようにはそろわない
違いの大小はあれど、夫婦が心地よく関係を続けていく上で大切なことはなんでしょう。
夫婦といえども他人ですから、価値観の違いは多かれ少なかれ絶対にあります。それをどうとらえるのかについて、一番最初に言いたいことがあります。
それは、価値観の違いは埋めるものではなく、受け入れ合うものだ。ということ。
違いを埋めて、価値観を同じようにそろえていくことはできません。
でも、「夫は、そう考えているんだな」とその価値観を理解することはできます。その意見に対しての賛否や是非はいったん置いておいて、頭ごなしに否定したり理解できないと思うのではなく、1意見として受け入れる。
これが大事だと思うのです。
価値観の違いを感じた時に実際にやってほしいこと
まずは「価値観はそろえられない」と思うことが大事ですが、やはり日常の中で意見の対立はあります。そのときに「この人とはもうやっていけない! 価値観が違いすぎる!」と思わない方法をお伝えします。
これは、僕自身が妻と意見が違ったときによくやる方法です。具体的に説明しますね。
衣類乾燥機について、以前妻と「価値観がずれた」ときの話です。
妻は乾燥機で乾いた衣類をそのままにしておいても、気にならないタイプ。むしろそこから次着る服を取り出せば合理的だよね、と考えます。
一方でぼくは、手間だけど畳んでしまいたいタイプ。
この価値観の違いに、「正しさ」を振りかざして、溝を埋めようとしても意味はまったくありません。どっちが正しいかなんてことは、どうでもいいのです。
昔は、ぼくも自分の方が正しい(畳んでしまった方が心地良いですよね?シワにもならないし)と思い、その価値観を妻にも押し付けていました。
ちなみに、わが家では料理、掃除はぼく担当ですが、洗濯は妻担当の家事です。
でも、妻の価値観は変わりません。そもそも価値観を変えよう、埋めようとぼくが思っていたことが間違いだったのです。
だから、ぼくは「自分の衣類に関しては自分で乾燥機から出して畳んでしまうよ」と話したのです。
妻は快諾。ぼくは少し手間ですが、自分の服だし、とくに文句もなくやっていました。
妻の「畳んでしまうのは面倒くさい」という価値観を否定せず、ぼくの「畳んでしまいたい」という価値観を実現した結果でした。
いまでは、妻はぼくの衣類は畳んで洗濯機横のカゴに入れておいてくれます。
自分の衣類についてはそのままです(笑)
妻が自分の価値観を否定せず、ぼくの価値観を受け入れてくれた結果です。
わが家はそれで、お互いが心地よくやれています。そこには家族の価値観だけを受け入れた結果があり、当然他人の価値観が入り込むことはありませんでした。出典:stock.adobe.com
夫婦の価値観は2人で作るものなのかも
みなさんも、じつは「こうしなきゃ」とか「こうしたい」と思っているその価値観、もしかしたら第三者の「ジョーシキ」に囚われすぎているからかもしれません。
「”普通”はこうしてる」「”他の人”はこうしてる」「”義父母から”こう言われた」
こうした第三者の価値観は、徹底的に排除することをおすすめします。生活をともにしている数名の家族の価値観を受け入れることが何より大事だからです。
出てきた価値観は、ひとつの結論でしかありません。
その価値観に至るまでのプロセスが、何かしらあるはずです。
「なぜそう思うのか」を本人に聞いてみるのもいいし、相手になったつもりで想像してみるのもいいです。そうした価値観までの道筋をたどることで、違いを受け入れやすくなるはずです。
それでも受け入れられない。
そんなときは、そのテーマから一旦距離をとって落ち着きましょう。対話は煮詰まってしまうことがよくあります。
対話を大切にするために、そこから離れる勇気が必要なときもあるのです。