切っても切れないお金とのおつきあい。一生続くともいえる「お金とのおつきあい」の迷子になっている人はいませんか? 今回のご相談は「食費を減らしても貯金が増えないのはなんで?」というもの。食費を減らすために頑張ったのに、なかなか貯金には結びつかない理由や原因について「家計簿・家計管理アドバイザーのあき」がお答えします。
「食費を減らしても貯金が増えないのはなんで?」
「今月は、食費の節約を頑張った!」と、食費の節約に成功したのに貯金が増えた気がしない…。
せっかく食費を節約したのに、貯金に結びつかなかったら何のための努力だったのかとむなしくなってしまうこともありますよね。今回は、「食費を減らしても貯金が増えない理由」を紹介します。
食費が減ったのに貯金が増えない理由
食費の節約には成功しているのに貯金が増えない理由として、以下の2つが考えられます。
1)食費は減らせているのに他の支出が増えている
2)すでに他の支出が増えすぎてしまい、食費は減らさざるを得ない
以下、それぞれの理由を詳しく解説します。
1)食費は減らせているのに他の支出が増えている理由
食費は減らせているのに他の支出が増えている方に多いのは、「食費以外の節約が下手」というケースです。私はこれまで何件もの家計相談をお引き受けしていますが、お金を貯めるのが苦手な人ほど「食費の節約は上手」であることが多いと感じています。
食費の節約が上手なのだから貯金も上手なのだろうと考えがちなのですが、貯金ができない人のほとんどが食費だけは標準以下の金額でやりくりしており、それ以外の支出はメチャクチャであるケースをよく見受けます。
例えば、日々の食事は節約のためにコンビニなどで最低限に済ませているのに、ショッピングのクレジットカードの支払いには無頓着といった具合です。過去のご相談では、スーパーのレジ袋代はケチケチするのに、支払日に口座から引き落とされず再度支払い請求があった時の手数料はまったく気にしないという方もいました。
過度な食費の節約がストレスになっている場合もあります。食事は毎日のことですから、無理な節約をしようと思うとストレスになり、その反動で他の支出にリバウンドが出てしまうことがあります。
日々100円、200円の支出にも気を配って食費の節約をしているのに、インターネットショッピングで10000円の買い物をしてしまえばあっという間に節約の苦労が水の泡になってしまいますよね。もちろん食費の節約をしたからショッピングができると考えることもできますが、貯金をするために節約しているならしっかりと貯蓄につなげたいもの…。
食費の節約はできているのに、貯金に結びついていないという場合は、このような根本的な収支の考え方に誤りがあるのかもしれません。
2)すでに他の支出が増えすぎてしまい、食費は減らさざるを得ない理由
ごくまれにですが、なかにはすでに食費以外節約できるところがないというほど追い詰められている家計の方もいます。
借金の返済や子どもの教育費の支払いなどですでに生活が苦しく、食費を極端に削ることでなんとか生計を維持しているという方の場合は、増えすぎた他の支出を減らすか、収入を増やすかのどちらかを行わない限り、食費をどれだけ節約できても貯蓄に結びつくことがありません。
食費の節約を継続しつつ、他の支払いを減らす努力や収入を上げる努力を同時に行いましょう。
食費の節約をせざるを得ないのかを見極めて
なかでも私が一番深刻だと思うのは、「食費の節約をせざるを得ない」状況になってしまっている家計の方です。
長年どんぶり勘定をし続けてしまった結果、気づけば教育費などの支払いでいっぱいになってしまい、食費以外削ることところがない、食費を最低限まで削っているのに全く余裕がないという家計になってしまうと、その後の家計改善までに時間がかかってしまいます。ここまで苦しい家計にならないうちに、早めに手を打つことが有効です。
一方、比較的改善が容易なのは「食費以外の節約が下手」という方の家計です。
食費の節約が貯蓄に結びつかないのは、その他の支出の節約が下手なだけですから、訓練次第ではたちまち貯蓄上手に変貌する可能性があります。家計簿をつけるなどして、家計を根本から見つめなおすことができれば、おのずと食費の節約が貯蓄に結びつくようになると思いますよ。
英国の歴史学者で政治学者のシリル・ノースコート・パーキンソンは、パーキンソンの法則として、「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」と提唱しています。
知らず知らずパーキンソンの法則に当てはまってしまわないよう注意していきましょう。
文:あき(家計簿・家計管理アドバイザー)