わかりやすい文章と私たちの感覚にぴったりくる本のセレクトや評論が大人気の文芸評論家・三宅香帆さんに、バイラ世代が今読んでおきたい名作をセレクトし、魅力を語ってもらいました!今回のテーマは「恋愛に新しいヒントをくれる本」。
恋愛に新しいヒントをくれる本
『結婚帝国』
『結婚帝国』
上野千鶴子・信田さよ子著
河出書房新社 902円
社会学者と臨床心理士が結婚を軸に、現代社会、女性の生き方、大人のセクシャリティなどについてトーク。初版は2004年と20年以上も前だが、令和の時代に読んでもうなずける箇所は多い。
『自転しながら公転する』
『自転しながら公転する』
山本文緒著
新潮社 1045円
32歳の都は母親の看病で実家へ戻り、地元のアウトレットで働く。恋人・貫一との将来、職場環境や母親の体調と……戸惑い続ける主人公の心情に、優しいまなざしが注がれる名作長編。
「『結婚帝国』は上野千鶴子さん&信田さよ子さんという、知的かつアクティブな二人の対談を収録した一冊。私は結婚前にこの本を読んで心の中にあるモヤモヤがすっとしました。ただ響く言葉がありすぎるので、心が元気なときに読みたいかな(笑)。『自転しながら公転する』の主人公はアラサー、将来が見えない恋愛をしていて……と、リアルな設定。タイトルに込められた“頑張って生きながら、周りのこともすべて気づかわないといけないの?”という問いはしみます。そして自分の機嫌のとり方を教えてくれる。恋愛で落ち込んだときに読むと心の滋養になってくれます」
自分だけの文芸評論家像を発信することが目標!
「もっといろんな作品を読み、自分の中で感じたことを文章で表現して紹介していきたい。“書く”と同時に”話す”ことでも読書を身近に感じてもらいたいと思っていて、YouTubeなどでも情報を発信中。新しい文芸評論家像をつくりたいと思っています。メイク動画を観てやる気を出すように、私の書いたものやトークで本に親しむモチベを上げてもらえたらいちばん嬉しいですね!」
撮影/天日恵美子(人)、柳 香穂(物) ヘア&メイク/小澤 桜〈MAKEUPBOX〉 取材・原文/石井絵里 ※BAILA2025年6月号掲載