韓国ドラマ大好き! なライターが、ぜひおすすめしたい作品を紹介する連載コラム。
今回は、2022年に韓国でシンドロームを巻き起こした『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』をご紹介。放送から3年が経った現在も続編を望む声が根強く上がる本作のあらすじや見どころをご紹介します。
1.『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』作品概要
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』
全16話
出演:パク・ウンビン、カン・テオ、カン・ギヨンほか
Netflixシリーズ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」独占配信中
【あらすじ】
一流法律事務所で働き始めた新米弁護士のウ・ヨンウ(パク・ウンビン)。自閉スペクトラム症とIQ164の天才的な頭脳を持ち、さまざまな壁に挑みながら一人前の弁護士として成長していく。
2.かわいさに癒され、応援したくなる!
視聴率0.9%からスタートし、最終話で自己最高視聴率17.534%をマークするという驚異的な伸びを記録した『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』(2022)。韓国の映画・ドラマを扱うことから“韓国のゴールデングローブ賞”と称される「第59回百想芸術大賞」で、TVドラマ部門の大賞を受賞した作品です。
最近韓ドラにハマったという方のためにプチ情報を添えさせていただくと、この年はソン・ヘギョが同じくNetflixで配信されている『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』で、TVドラマ部門の女性最優秀演技賞を受賞。人気・功績を二分していたことからも、その話題性の高さがうかがえます。
邦題にもあるように、ウ・ヨンウは天才肌。回転ドアを通り抜けられなかったり、ペットボトルの蓋を開けられなかったり、感覚過敏だったりと苦手なことが多いですが、5歳で刑法を丸暗記し、ロースクールを首席で卒業、司法試験もほぼ満点で合格する天才的な頭脳を持っています。
出勤初日の朝、鏡の前で父がこの日のために用意してくれた新しい服をあてて、感情と表情をまとめた表から「うれしい」を指さしてニッコリと笑顔を浮かべるヨンウ。混雑する通勤電車では防音用のヘッドホンをつけて不安を和らげるヨンウ。「どちらから読んでもウ・ヨンウです。キツツキ、トマト、スイス……」という名前にちなんだ風変わりな自己紹介も。ヨンウのかわいさに癒されると同時に、彼女のマイルールや自閉スペクトラム症を抱えながら生きる努力が伝わってきて、がんばれ! と応援したくなる主人公なんです。
演じるのは、子役出身で『ストーブリーグ』『恋慕』など数多くのドラマで活躍するパク・ウンビン。緻密な役作りと抜群の演技力に定評がある彼女ですが、本作は「自信がない」と何度もオファーを断ったそう。しかし、製作陣は、責任感の強いパク・ウンビンにしか演じられないと待ち続け、最初のオファーから1年後にキャスティングが実現しました。
3.社会問題に切り込んだ見ごたえのあるストーリー
リーガルドラマでもある本作は、ヨンウの能力が最大限に発揮されるお仕事シーンも見どころ。天性の記憶力はもちろんのこと、いわゆる“普通”の弁護士ではないヨンウだからこそ可能な、“当たり前”にとらわれない着眼点で案件の本質を見抜き、依頼人たちを救っていきます。
でも、ただ無双するだけじゃないんです。ヨンウが活躍できるのは、“ほどよいところで折り合いをつければいいだろう”という妥協を一切しないからこそ。依頼人の話を細かすぎるくらいに聞いて、常に全身全霊で依頼人と向き合うヨンウが頼もしくてかっこいい!
また、依頼人に脱北者の母、知的障がいのある女性、激化する学歴社会から子どもを解放しようとする誘拐犯などを登場させ、差別や偏見といった社会問題を描いているところも本作が高く評価されているポイント。特に、重度の自閉スペクトラム症の男性を弁護する第3話は、ヨンウや被告人が生きるうえで避けられない厳しい現実にフォーカスした名作回となっています。
ヨンウの奮闘を感動物語で終わらせるのではなく、さまざまな事情を抱えるマイノリティたちのリアルにも目を向けた構成が、Netflixの非英語テレビ部門世界1位を記録する大ヒットに繋がったのでしょう。
4.胸キュンあり♡ 仲間たちとのケミも見どころ
そして、ヨンウを取り巻く仲間たちもこれまた魅力的。訴訟チームのスタッフのイ・ジュノを演じたカン・テオは、本作で大ブレイク。ヨンウを優しくサポートするジュノとはロマンスも展開され、少しずつ近づいていく2人の恋模様がほっこりとしたときめきを届けてくれます。
ヨンウの上司となるシニア弁護士のチョン・ミョンソクも、最初こそ“普通じゃない弁護士”のヨンウを雇うことに否定的でしたが、その実力を見てすぐに反省をし、ヨンウを受け入れるいい人。過剰に優しくすることもなく、フラットな目線でヨンウを導く理想の上司です。演じたカン・ギヨンはコメディ演技に定評があり、ヨンウ×ミョンソクのクスッとくる掛け合いも見どころです。
また、ヨンウと同じチームで働くクォン・ミヌ弁護士役には、今年1月に放送された松たか子主演『スロウトレイン』への出演が記憶に新しいチュ・ジョンヒョク。本作では、優秀なヨンウに嫉妬し、「健常者である自分たちが差別されている」と何かと嫌がらせをする腹黒なキャラクターを演じています。人気シリーズ『コンフィデンスマンJP』の韓国リメイク版『コンフィデンスマンKR』にも出演し、今年日本でも注目度上昇中の彼。あの子か! とピンと来た方はぜひ、彼の出世作である『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』を追いかけてチェックしてみてください。
最後に、気になる続編に関する情報を。2023年6月に韓国で「脚本家のムン・ジウォン氏がシーズン2の執筆契約を結んだ」との報道ありましたが、最近韓国メディアのインタビューに応じたパク・ウンビンは「シーズン2は、シーズン1を超えるという確信ができてから」と答えており、もう少し時間が必要そう。しかし、パク・ウンビンが1年かけて出演を決意したように、俳優も制作陣も誠実で、慎重に丁寧にドラマを作り上げていくところが本作の最大の魅力。
いつまでも待つので、一人前の弁護士になったヨンウの物語を見せてほしいです!