美STに初登場した35歳からまもなく10年の女優・菅野美穂さん。ずっと変わらない明るく素敵な人柄と礼儀正しさに加え、内から満ち溢れる類いまれな透明感にピュアな笑顔は健在。女優として不動の地位をしっかりと築きながら妻となり母となっても、その悩みは私たちと一緒です。子育ての苦悩をありのままに語ってくださり、その一生懸命な姿に、元気と勇気をもらいました。
▼あわせて読みたい
艶やかさと潤いに満ちた笑顔は多忙な中でも、無理しない、でも諦めないのバランスで
お話を伺ったのは……女優・菅野美穂さん
《Profile》
’77年埼玉県出身。’93年女優デビュー後ドラマ「イグアナの娘」で話題に。エランドール新人賞大賞受賞など受賞多数。ドラマ「働きマン」「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」、映画『大奥 右衛門佐・綱吉篇』『明日の食卓』など幅広く活躍。映画『仕掛人・藤枝梅安』で梅安が心を許すおもん役を演じ第1作は’23年2月3日、第2作が同年4月7日より公開予定。
毎日の美顔器や「白米は薬味程度」の意識でプレ更年期の変化に対応します
長年通っている中国マッサージに行くと、「漢方、ちゃんと飲んでる?」と聞かれます。先日、「やめちゃった」って答えると、「体が硬いよ。飲んでいた時は柔らかかったから、1カ月間の服用を年3回続けなさい」と言われました。最初に飲んだのは数年前の子育てマックス期。1日中体がだるく、朝は起き上がれないほど背中が痛くて、そのうえ夕方になるとイライラが。まるでプレ更年期のような症状が続きました。それで漢方を処方してもらい、1日3回飲むと玉ねぎの皮を剝くみたいに辛さが減り、ラクになりました。なのに多忙を理由にやめちゃって。再開しようと思っていますが、すでに2週間経っています(笑)。
妊娠中に血糖値を気にするようになってから、毎日の白米は薬味程度と考えるように。明太子やカレーを存分に楽しむ時だけ1ポーションいただきます。卵かけご飯なんて最高の贅沢! 私にとってキャビアと同等の扱いです。それ以外、特に食事制限はせず、体型維持は諦めてますが、ご飯の量を減らすと体が軽くなります。
コロナ禍で、ヨガの太陽礼拝を1セット程度再開しました。ヨガは20年間続けているので細く長く続けていきたいですね。とはいえ、抱っこが原因で、肩もものすごく凝ります。ほんと年齢には勝てません。普段のメンテナンスに、マッサージガン「セラガン」でほぐしますが、肩凝りがリリースすると顔周りもスッキリ。今朝もやってきました。
40歳すぎて美顔器の効果も感じるように。人並みに肝斑もあるし、たるみも感じ、毎朝、子供が起きる前、荷物をセットする時に片手に持ち〝ながら美顔器〟しています。メークは子育てが始まってから、以前よりきちんとするようになりました。先生との会話は結構距離が近く、肌状態が伝わるのが気になり、朝5分でファンデ、アイシャドウ、アイライン、アイブロウを描きます。メーク直しはしないので、パンダ目になりがちなマスカラはつけないことのほうが多いです。年齢的なこだわりはアイラインを濃いめに引くこと。仕事でプロのメークさんに引いてもらう方がナチュラルなくらい(笑)。
美容院にも通えず、カラーリングは褪色してますがニュアンスってことに。前髪はヘアメークさんに教わった方法で自分で切ります。2層に分け、顔に近い方を短めに切り、上側を被せるように長めに切ると3日後に馴染みます。今はヘアもメークも特別な自分になろうではなくて、戻す感覚。変えたいと思わなくなりました。
以前、ヨガの先生に「魂の器である体に終わりはくるけれど、今日できたことを明日もできるように続けましょう」と教わり、前向きになれました。何事も無理せず、でも諦めずに私なりに続けることが目標! だって笑顔でいたいから。
ブラウス¥16,500(セルフォード/セルフォード ルミネ新宿1店)パンツ¥35,200(アール ジュビリー/ショールーム セッション)ネックレス¥57,200、バングル[ツイスト]¥93,500[シャイン]¥101,200、リング〈左手〉(オレンジカーネリアン)¥269,500、〈右手〉[ターコイズ]¥156,200(すべてマリハ/ショールーム セッション) その他(スタイリスト私物)
人生は細く長くいいことの積み重ね!どんな時も幸せは自分で意識しなきゃ
長男が6歳、長女が3歳になりました。ただでさえ初めてのことばかりの時期にコロナ禍真っ只中。子供と向き合えるかけがえのない時間だと思う一方で、正直、うんざりするような辛いことの方が多かったです。
40歳になった時、10年間女優業とどう両立するかを考えてみたけれど、上手くいっているなんてとても言えなくて。毎日怒ってるし、バランスが取れているとは言えない状態です(笑)。自信を持てるようなやり方にはまだ行き着いていないですね。
実は、30~35歳は仕事が大変で、充実はしていましたが、インプットとアウトプットのバランスが悪く、絞っても何も出てこないボロ雑巾状態。それでも根性で乗り切り、いつかいいお母さんになるための練習だとぼんやり思っていました。その後結婚、子供を授かり、「どんとこい、どんな困難でも全力で頑張る」なんて言うかつての決意は、甘っちょろいものだったと、育ててみた今、実感。
女優業は大変ですが、子育ての方が圧倒的に大変。お母さんは、24時間営業、呼ばれたらいつ如何なる時も無報酬で飛んで行きます。仕事も家族も自分で望んだことだけど今は子育てとの両立が大変なことも多くて、100%幸せだと感じられない時もありますよね。私、謙虚じゃないのかなと落ち込んだ時、辛いことばかり見がちだけど、幸せになりたいなら、もっと物事のいいところを見て、自分が幸せだと思わなきゃいけないことに気づきました。幸せは自動詞だから。それでも「大変」とよぎると、今は上り坂だと思うようにしています。
記憶すら残らなかった頃から見れば、心身ともにラクな日もあって、楽しむ気持ちも生まれてきました。だからと言うわけじゃないけれど、大きな買物もしたいです。黒柳徹子さんがブチェラッティのジュエリーをつけていらっしゃるのが素敵で。常々あんなステキな大人になりたいと思っているので、いつか欲しい。つけて行くところもないし、なかなか手が出ないのですが。今、好きなジュエリーは、ニットを脱いでも取れないTASAKIのイヤリングやティファニーのリンクシリーズ。
今夏は、行けるなら静岡県のヒリゾ浜やジンベイザメと泳げる沖縄に行きたい。結局は子供が楽しめる場所ばかり浮かびます。子供の初めての瞬間を見るのが幸せ。初めての場所で、子供と一緒に景色を見るよりも「こんな表情をするようになったんだ」と眺めてる子供の顔を見ていたいのです。10年後お互いが撮った写真を見せ合って乾杯できたら幸せだな。
こちらの記事もおすすめ
2022年『美ST』8月号掲載
撮影/曽根将樹(PEACE MONKEY) ヘア・メーク/岡野瑞恵(STORM) スタイリスト/青木千加子 取材/安田真里 編集/漢那美由紀