言い方を工夫すれば、相性が良くなる!? 誰もが一度は経験がある、日常生活にある気まずいシーンをピックアップ。ふたりの関係を好転させる、絶妙な言い回し術を徹底レクチャー。
実践! シーン別言い回し術。
遅刻してしまった時→「遅刻して本当にごめん! 電車が遅れちゃって…」
開口一番、「電車が遅れた!」と言い訳することは、自分に非がないことを伝える自己弁護が働いているから。まずは謝罪してから、その後に遅れた理由を述べましょう。「遅刻は仕方がないことでも、相手に迷惑や心配をかけたことに変わりはないので、まずはお詫びから。遅刻の理由を先に伝えると言い訳がましく伝わります。お詫びの仕方は人間性が問われます。もちろん自分がミスや失敗をした時も同様。自分の落ち度を認め、それを素直に伝える勇気を持ち、しっかりと謝罪することができれば、他者から評価されます」(“伝わるコミュニケーション”をテーマに講演を行う戸田久実さん)
忙しい人に話しかける時→「××についてご相談したいのですが、5分ほどよろしいでしょうか?」
最初の一言めで、何のことで話しかけているのかを明確に伝えること。「それがわかれば、相手は今の作業を中断してでも、すぐに時間を割いて話に耳を傾けるべきか、あとでじっくり時間を取るべきか、優先順位を瞬時に判断することができます。『ちょっといいですか?』だけだと、その『ちょっと』が何を指しているのか全くわからず、忙しいのに注意をそらされたことで、イライラを助長させるだけ。何の件で話したいのかに加えて、どのくらいの時間を要するのかを一緒に伝えられれば、気遣いができる人だと思われて、グッと距離が縮まるはず」(戸田さん)
仕事を引き受けられない時→「ほかの案件に追われており、これが終わり次第お手伝いします」
仕事が手いっぱいで、泣く泣く相手の要求を断らなければならない時は、「無理です」「できません」と結論だけ伝えてしまうと、信頼関係にヒビが入ってしまうことも。「どうしてできないかの具体的な理由と、力になりたい気持ちがあることを伝えれば、次に繋がります。またその時に『その代わり』を付け加え、代替案を用意すると、グッと好印象。たとえば資料作りをお願いされたのなら、作る時間はないが、資料集めやコピーなど、ささやかでも、今の自分にできることを無理のない範囲で提案してみるんです。そうすれば誠意が伝わります」(戸田さん)
飲みの誘いを断る時→「誘ってくれてありがとう。でも今日は外せない用事があって…」
「断ることに罪悪感を抱いて、ついつい謝ってしまいがちですが、まずは誘ってくれたことに対して感謝の気持ちを伝えること。そして行けない理由をクリアにすれば、相手に気を使わせずに済みます。また翌日に『昨日楽しかったですか?』など、相手に寄り添った言葉を投げかけると、またすぐに誘ってくれるでしょう」(キャリアカウンセラー・関下昌代さん)。できれば参加したくないという人も多いが、飲み会は相性を良くするチャンスがたくさん転がっているので、参加しないのはもったいない。「飲み会は情報収集の場、ネタが増えるので会話が弾みやすくなり、伝わる力が高まります」
戸田久実さん アドット・コミュニケーション(株)代表取締役。アンガーマネジメントをベースとした、言葉がけに特化したコミュニケーション指導に定評がある。『〈イラスト&図解〉コミュニケーション大百科』(かんき出版)。
関下昌代さん キャリアカウンセラー。亜細亜大学で、ビジネスマナーやコミュニケーションの講師も務める。『先輩に可愛がられ、同僚に疎まれず、後輩に慕われる女子になる職場で幸せになる45 のコツ』(中央公論新社)。
※『anan』2019年9月4日号より。イラスト・徳丸ゆう 取材、文・鈴木恵美
(by anan編集部)