作家という職業は、ともすると、家を出なくても成立してしまう。通信や輸送の手段が発達した現代は、その傾向が一層強く、机に向かったままパソコン上で選んだ商品が自宅に届けられるお取り寄せと、作家との相性はすこぶるいいようだ。
マンガと小説による往復書簡!? 作家の楽しいお取り寄せライフ。
「私たちも、もともとお取り寄せが好きで、あげっこなんかもよくしていたんです」(榎田ユウリさん)
マンガと小説のリレー形式で話が進んでいく『先生のおとりよせ』は、公私ともに仲のよい中村明日美子さんと榎田ユウリさんによるコラボ作品。オネエの美少女マンガ家・中田みるくと、巨乳好きの官能小説家・榎村遥華がコラボ作品でタッグを組むことになり、性格は真逆ながら、お取り寄せという共通の趣味をきっかけにコンビ力を発揮していく。現実とフィクションが混在しているのが興味深いが、最初に決めたのは作家ふたりのキャラクターくらい。話がどう転がっていくのかは、中村さん、榎田さんもまったくわからなかったというのがユニークだ。
「リレー形式の難しさは特に感じなかったですね。たとえばお見合いの話があるよっていう終わり方で振ってみて、榎田さんがどんな見合い相手を出してくるのか、私としても楽しめたので」(中村さん)
「お互いに挑まれたらやってやろうじゃんっていうタイプで、相手のさじ加減もなんとなくわかっているので安心でしたね」(榎田さん)
登場するお取り寄せは、実際に両氏のお気に入りなので、ガイドとしても使える一冊になっている。
「最近はお取り寄せの可能なお店がすごく増えているので、話題性だけでは決められないんですよね。自分用は特に、過剰包装ではないかなども気になります」(中村さん)
「今後も日常化しすぎず、ご褒美やプレゼントとして利用するのが、個人的には理想ですね」(榎田さん)
なかむら・あすみこ マンガ家。2000年デビュー。青春モノからサスペンス、BLまで多彩な作品を執筆。代表作は『Jの総て』『同級生』『鉄道少女漫画』『ノケモノと花嫁』『王国物語』。
えだ・ゆうり 作家。2000年デビュー。代表作に、『カブキブ!』、魚住くんシリーズ、妖琦庵夜話シリーズなど。ラノベ、キャラノベ、BLと、多岐ジャンルで作品を発表。
新感覚のお取り寄せグルメ作品。屈折したイケメンふたりのハイテンションな反応も見もの。作家のこだわりもチラリと見え、お仕事マンガとしても楽しめる。リブレ 845円 ©中村明日美子/榎田ユウリ/リブレ
※『anan』2018年4月18日号より。写真・大嶋千尋 インタビュー、文・兵藤育子
(by anan編集部)
#料理記事をさらにチェック!
#漫画をさらに覗いてみる!