読書の秋が到来! とはいえ、子育て真っ只中の今、腰を据えてじっくり読書に没頭するのは難しいですよね。そんなママたちにおすすめしたいのが、さらりと読めて読書欲も満たされる「大人絵本」。今回、VERY本誌でも紹介された注目の書店「ニジノ絵本屋」の代表・いしいあやさんに、ママたちにおすすめの「大人絵本」を選書していただきました。
夜中にくすっと笑える
『たまごのはなし』
「本から話しかけてくる感覚で、とにかく出てくるキャラが魅力的! たまごが主人公ですが、マシュマロが出てきたり、ナッツ同士のケンカが起こったり…キッチンを舞台に繰り広げられるお話は哲学的な含みもあってシュールさがクセになる面白い一冊です。暗めのトーンのイラストもレトロなムードで世界観に浸れます。‶絵童話″というジャンルで、48Pと絵本にしては長めですが、文字も大きく3章構成なので読める時に1章ずつ、と区切って読むのも◎。秋の夜長に不思議な世界に没入するのもおすすめです」
注目の絵本作家、しおたにまみこ初の絵童話。ある日とつぜん目をさましたたまごがはじめて歩き、はじめて話す。マシュマロを起こして、キッチンの台を降り、探検にも出かけます。読めばよむほどに引きこまれる不思議なお話を3話収録。インテリアとして飾りたくなる、おしゃれな装丁も魅力!
『たまごのはなし』の続編!
『いちじくのはなし』
「‶こんにちは。私はたまご″から始まる不思議な世界線はそのままに、いちじくが自分の体験した冒険談をたまごやビスケットに披露していきます。いちじくの、どこまでが本当?とくすっと笑ってしまうような大袈裟な話が面白い! 楽しい‶おはなしかい″に参加したくなるストーリーは、眠れないときや、夜起きてしまったとき(育児中の方であれば授乳時など)にこそ、読んでほしい一冊です」
子どもも大人も虜にした、不思議な絵童話『たまごのはなし』第2弾。おはなしかいを舞台に、ほらふきいちじくが大活躍!「こよいはなすは、まことのぼうけんものがたり。どうぞごゆるりとおたのしみください。」3話収録。第16回 MOE絵本屋さん大賞2023 第9位。
誰もが知る名作を絵本で楽しめる
『モモ(絵本版)』
「私が子どもの頃から家の本棚にオレンジ色の『モモ』が並んでいたのですが、実はなかなか読み進めることができずに大人になりました。そしていざ大人になってみて読んでみたときも途中で挫折してしまい…。けれど今回の絵本は全ページにカラーのイラストがあるので、文章だけで想像していた世界が可視化され、ワクワクして読み進めることができました。今にも動き出しそうなきれいな色彩のイラストなので、‶この絵にはもしかして、メッセージが込められている?″など考えながら『モモ』の世界に浸かるのも楽しかったです。大人になった今、絵本で読み返してみると新しい気づきがあり、読書のきっかけにもなりそうです」
ミヒャエル・エンデの名作刊行50周年を記念して企画された絵本版。「町のはずれ、こわれかけた野外劇場に住んでいるという女の子。最初はあやしいと思われていたものの、たくさんの人たちがモモに会いにきました。それはモモが人の話を聞くことが得意だったからです。モモに話を聞いてもらうと、自分のしたいことがはっきりとわかったり、間違いに気づいたりします…」
誰かに話したくなる
『12の星のものがたり』
「美しい切り絵と共に綴られる12の星座の誕生秘話。見開きで各星座について解説があり、図鑑ほど身構えることなく気楽に星の世界について学べます。楽しみながら知識を得られるのがうれしい! 自分の星座はもちろん、家族の星座について知るのも面白いし、読むと誰かに話したくなります。最後のページには星座の図解付き。忙しく生活していると星を気にすることもないですが、絵本が星空を見上げるきっかけなるのもすごくいいですよね。表紙の銀の箔押しと絵本の見返しもとっても素敵な一冊は、クリスマスなどのギフトにぴったりです」
ギリシャ神話を基にした12の星座のものがたりを人気絵本作家・tupera tuperaが繊細な切り絵と簡潔な文章で描いた美しい絵本。「時をいくつもいくつもこえたはるかむかし、ギリシャの国のものがたり。神は天と地上を行き来して人とともにくらしていた。わらったりないたりおこったり、ときには恋をしたりして…今も夜空にかがやいている12の星のものがたり」
いい夢が見られそう!
『トーメイくん』
「遠い国の古いお屋敷を舞台にした、ファンタジー冒険ストーリー。何百年も前に建てられたお屋敷の屋根裏に住んでいる‶トーメイくん″は、住人たちの夢を集めている、なんとも不思議な存在。お屋敷の外には出られず、みんなの夢を通して外の世界を知る彼がある日、ビバという子と仲良くなって…。ワクワクする話の展開と、全ページにカラーの挿絵が入っていて、絵本のように読み進められます。ベッドサイドストーリーにぴったりな一冊で、一晩一章ずつ読み進めると、大体1週間で読み終わります。作者がお母さん、絵を娘とお父さんが担当、家族3人で創りあげた童話というのも心が温まります」
フルカラー96pのクラシック絵童話。絵本としてはボリュームがあるものの、すべてのページにイラストが記載。「遠い国の古いお屋敷に小さな住人‶トーメイくん″がひっそりと暮らしています。悪夢に悩まされる住人たちを助けようと、夜になると忘れさられた屋根うらべやから、笛を手に降りてくるのですだれにも見えないはずのこの小さな姿、ビバという女の子だけには、なぜか見えてしまい…」第6回鹿児島市児童書出版助成作品。
ちょっと物知りになった気になれる
『石の辞典』
「クリスタル、ターコイズ…、身近にあるけど意外と詳しく知らない‶石‴にフィーチャーした手のひらサイズの辞典。辞典というと絵本とは違う気がしますが、ストーリーになっていないのでどこのページからでも楽しめるのがいいところ。せっかく本を読むのなら何か得たいと思ってしまう大人(笑)が、ちょっと得した気持ちにもなれるのでおすすめです。鉱石の色や産地、化学名、石の持つ意味などが学べて、その都度へえ~!となるのが面白い! 例えば、‶ターコイズは古代人が魔除けの石として使っていた″など、石にまつわる物語はどれも、鉱石の魅力を掘り下げて教えてくれます。天然の石の美しいイラストも癒し効果抜群、繰り返し読みたくなる一冊です」
地球の奥深くに眠るキラキラした結晶―――鉱物。その魅力を、内田有美さんによる描きおろしのイラスト115点で、余すことなく楽しめる一冊。石の個性をもっと身近に感じてもらうため、‶モース硬度(ひっかいたときの傷つきにくさ)″と呼ばれる硬さの尺度を採用、ページをめくるたびに紹介する石が硬くなっていく仕掛けもあり。鉱物を愉しむための知識、コラムも充実。手のひらサイズにぎっしりと詰まった鉱物の世界に引き込まれます。
お菓子の歴史を楽しく学べる
『菓の辞典』
「辞典シリーズでもう一冊おすすめなのが、古代、中世、近世、と歴史に沿ってお菓子を紹介してくれる、目にも楽しいお菓子の辞典。‶チーズケーキはなんと、紀元前からあった″や、‶ガレット・ロワの模様に込められた意味は?″、‶ヴィクトリア女王が大好きだったトライフルは、実はつまらないものという意味″など、目から鱗の豆知識も楽しい辞典です。辞典だけど決して単調な説明に終わらず、歴史的背景などがストーリー仕立てでまとめられていて、読み終わると必ず甘いものが食べたくなる(笑)! 食欲を刺激する美しいお菓子のイラストは眺めるだけで幸せな気持ちに」