EriさんとMintoさんが暮らすのは、築約40年、約40㎡の1LDKマンション。建築の仕事に携わる2人は、その変形間取りに魅了され、この空間に自分たちの色を吹き込んでいます。賃貸でありながらも“自分らしさ”を存分に表現し、日々の暮らしを楽しむ工夫や、住まいへの愛着を語っていただきました。
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変形間取りを活かしてつくった秘密基地
築約40年の1LDKマンションで2人暮らしをするEriさんとMintoさん。建築の仕事に携わる2人がこの住まいを選んだ理由は、その“変形平面”にあります。
「寝室とリビングの間に設けられた柱の関係でリビングの一角に狭く異形なスペースが生まれています」
一般的には扱いにくいとされるこの形状に、お二人は「変形した平面をどう活用するか、その余白に魅力を感じた」と語ります。
その余白を最大限に活用したのが、“秘密基地”と呼ぶ小さな空間です。
3D計測データをもとに自作したレコードラックやターンテーブル、アンプが集まるこの場所は、Mintoさんにとって癒しの空間。
好きな本やレコード、CDがぎっしりと詰まったラックに囲まれて過ごす時間は、まさに趣味に没頭する贅沢なひとときです。
「お気に入りのレコードを選んで、アンプから流れる音に包まれている時間は、住まいで欠かせない時間になっています」とMintoさん。ラックには、長年集めたジャズやクラシックのレコードが並び、その中には友人から新居祝いとして贈られたマイルス・デイビスのLPも。
さらに、秘密基地の先には広いバルコニーがありました。東京の空が少しだけ広く感じられるのも魅力のひとつだそう。
Eriさんは「時間のある朝にバルコニーで朝食をとるのは特別な時間」と、その自由な開放感も住まいを楽しむ時間のひとつとして話してくれました。
アンティークのアイテムから感じる味わい深さと愛着
玄関からリビングに繋がる細長い廊下も、2人のお気に入りのスペースのひとつです。ここには、日本橋馬喰町にあるヴィンテージショップ「HYST」で見つけたアンティークの棚が置かれています。
限られた空間をしっかり測って、この棚もサイズ感にこだわって選んだ一点もの。ガラスの扉がついたこの棚には、2人が集めた酒器や食器、そして本が並び、日々の生活に彩りを添えています。
「ここには、二人の本や、お気に入りのグラス、カメラなどを置いています。狭いながらも、この限られた空間をどう活用するかを考えるのが楽しいですね」(Eriさん)
棚に並ぶのは、Mintさんの実家から譲り受けた器や、彼が誕生日にEriさんに贈ったイッタラのアールトグラス、4年前のクリスマスにプレゼントしたマグカップなど、2人にとって特別な思い出が詰まったアイテムたちです。
ただの飾りではなく、実際に日常の食事やティータイムで使われることもあり、実用性とデザインのバランスが絶妙でした。
アンティーク棚の先には玄関にもともと付いていたシューズボックスがありました。偶然ではありますが、シューズボックスの木の質感もこの住まいのアンティークな雰囲気にマッチしています。
廊下からリビングまでがひと繋がりになっているため、冬の寒さ対策としては賃貸でも設置可能な伸縮式のカーテンレールを活用。カーテンを閉めることで冷気を遮断し、少しでも暖かく過ごせるよう工夫されているそう。「限られた空間をどう最大限に活用するか」という問いに対する2人の答えが、この廊下の空間に詰まっていました。