甘く刺激的な男性同士の愛とダンスの物語『10DANCE』で、ぶつかり合いながらも惹かれ合っていく二人の「信也」を演じた竹内涼真さんと町田啓太さん。 ダンスシーンでは互いの美しさに思わず見とれ、ストイックな練習では支え合い、励まし合いながら挑んだ日々があったといいます。撮影現場で“心が動いた”瞬間や、ささやかなやり取りまで語ってくれました。
美しい立ち姿は努力の結晶
——お二人のダンスシーン、とても美しかったです。お互いに美しいと感じた点をぜひ教えてください。
竹内さん:横顔かな。町田くんの横顔はもう「S級」ですから(笑)。
町田さん:本当に?
竹内さん:自覚ないの? めちゃめちゃ綺麗だよ!
町田さん:竹内くんは彫刻のようですよね。顔が小さく手足が長い。等身バランスが美しすぎます。
——お二人は、役に向けてのボディメイクをどのように行われましたか?
竹内さん:僕はずっとお願いしているトレーナーがいるので、その方に相談しました。役のイメージをお伝えし、的確に計算しながら進めていきました。
町田さん:撮影に入る前に、全部採寸して燕尾服を作ってもらったんです。燕尾服ってピチピチなんですよ。それが着られなくなったら大変なのでプレッシャーはありました。ただ、僕が演じる杉木信也のキャラクター的にもう少し迫力が欲しいよね、ということになり。「帝王感」といいますか。なので肩や腕には筋肉がつくようトレーニングしました。あと、ダンサーらしい立ち姿をとれるように意識しました。
竹内さん:そうそう。先生方を見ていると、一流になればなるほど、立ち姿だけで伝わってくるものがあるんです。
町田さん:Netflixシリーズ「グラスハート」でギタリスト役を演じていたので、前のめりの姿勢のクセがついてしまっていて。美しく、そしてボールルームダンスの王者としての姿勢を作るのには苦労しました。
——役作りが大変な役が続きますね。
町田さん:Netflixさんには、試練をいただいております(笑)。
竹内さん:「頑張ったで賞」が欲しいね。
町田さん:我々は『10DANCE』を演じきれたので、もっと次なる壁が欲しいくらいじゃない?
竹内さん:さすが!
——劇中では、町田さん演じる杉木が、竹内さん演じる鈴木のダンスを見て「彼の圧倒的なエネルギーが僕を突き動かした」というセリフがあります。お二人には何かに突き動かされた経験はありますか?
町田さん:今作でありましたよ。本当に。まず竹内くんの作品に向かう姿勢に、心を動かされました。冒頭のダンスシーンにも、「これはすごい」と、刺激をもらいましたね。
竹内さん:町田くんは僕よりあとから本作に合流したんです。僕より練習する時間がないのに、僕より先に腹をくくっていて。それに頼もしさを感じました。ダンスほぼ未経験者がラテンダンスの日本チャンピオンを演じるなんてすごく怖い旅でしたけど、町田くんを見ていると、「やるしかない」と強く突き動かされました。
町田さん:お互いがお互いを突き動かしていたのかもしれないですね。僕も竹内くんからたくさんモチベーションをもらいましたし。毎日練習していると、何も上達しない日があるんですよ。僕は「うわ、どうしよう」ってなってしまうタイプなんですが、竹内くんはカラッと明るくいてくれる。そこに救われました。
お互いの体調に気を配りながらトレーニングと撮影に励んだ日々
——体調のことでも、お互いに気遣いながら声を掛け合っていたそうですね。
竹内さん:そうですね。相当ハードなトレーニングだったので、体調を崩さないように気を配り合いました。
町田さん:自分たちがお互いを一番よくわかっているから「もうちょっと練習しておきたいけど、今日はやめておこうか」と話すこともあったね。阿吽の呼吸みたいなものはあったかもしれません。あとは、メディカルチームがサポートしてくれたのも大きかったです。不意にどこかが痛くなってもすぐに対応してくださって。
竹内さん:一歩間違えたら、ケガをしてしまうかもってところまで根詰めて練習していたから、本当に心強かったです。毎日踊りまくっていたので、僕らも集中しすぎてハイになってしまうこともあって。メンタルもコントロールしてくれていました。
町田さん:先生たちがいなかったらと思うと……イギリスでの撮影も出来なかったかもしれない。
——ぶつかり合いながらも強く惹かれ合うという関係性を演じるにあたり、お二人はどのようなコミュニケーションを重ねていったのでしょうか? 実際に今お話をお伺いしているととても仲が良さそうです。
竹内さん:「このシーンのこの芝居がどうだ」みたいな話は全くしていないですね。ダンスに関する話はめちゃくちゃしてたけど。
町田さん:芝居に関しては、事前に相談とかしなくて良かったかもしれない。いいサプライズになって。
竹内さん:演技に関しての相談は、大友監督が個々にやってくれていたのも大きかったです。それも雑談のようにフランクに話してくれるから、こちらも身構えずに意見を交わせました。気づかないうちに大友さんに手綱を引かれていたのかも。大友監督が目の前で起こったこと、自分の目で見ているものを信じるところや、いつも撮影直前まで正しい選択をしようとしている姿勢に心を打たれました。
町田さん:直前まで二人で練習していて、どこから撮影されているのかわからないこともあったよね。完成したものを観て、「ここ使われてるんだ!」というところも結構あります。
竹内さん:「こんな顔してたんだ」って自分自身驚くシーンもあります。二人の様々な感情が捉えられているので、ぜひ観て確かめてもらいたいですね。