寒さでカラダが縮こまると血流が悪くなり、肩こりや頭痛を引き起こす場合も考えられます。最近、これらが酷くなっていると感じていませんか。漢方薬剤師の大久保愛先生が、血行を良くして肩こりを解消する方法を教えてくれます!
最近、肩こりが酷くなっていませんか?
【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 140
太陽が一年でもっとも低い位置を通り、日照時間が1年で1番短くなる冬至を迎えました。明るい時間に外を歩くチャンスが少なくなってしまうのもこの時間の特徴です。朝早く出社している人は太陽を眺める時間がかなり短くなっていることと思います。
太陽の恩恵は、気温を温かくすることだけではなく、心と体にも影響を与えます。意識的にお昼にお散歩することも心と体を整えるために大切なことですよ。ただ、夜に外を歩くと街並みをキラキラと彩るクリスマスイルミネーションが至るところを照らしていますよね。寒くてもきれいな景色と白い息が冬の楽しい気分を作り出してくれますね。
澄んだ空気と冬の雰囲気が心地よく感じる一方で、寒くて血流が悪くなったり、体に力が入り肩こりが悪化したりと、我に返ると不調が続々と出てきていることに気がついてしまうかもしれません。そこで、今週は冬至の冷えた体を温め肩こりの対策にもなる食薬習慣を紹介します。
今週は、肩こりの対策となる食薬習慣
さすが冬至前後の気候という感じで、今年も寒さをつらく感じるようになりましたね。寒い時には、体が縮こまって身震いしてしまうこともありますよね。ただ、そんな状態を続けていたら肩こりや頭痛など血行不良やコリがどんどん悪化していきます。
特に重たい頭部を支えている首周りは、デスクワークなどが多く、パソコンや携帯を長時間見て前かがみになって過ごす私たちにとって常に負荷が加わりやすい部分です。寒さによって、根深い血行不良やコリへと進行させてしまうことは避けたいですね。
頭部の血流が悪いと肩こりや頭痛などの痛みだけではなく、眼精疲労、シミやくすみ、頭皮や毛髪などの見た目の問題に派生してしまうこともあります。これを漢方では『瘀血』と言います。そこで、今週は血流を促進し『瘀血』を解消して肩こりの対策となる食薬習慣を紹介します。食べるとよい食材・メニューは、【カボチャのピリ辛きんぴら】です。
食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:カボチャのピリ辛きんぴら】
作り方は、カボチャを皮ごとスライスして両面焼きます。醤油、みりん、七味唐辛子で味付けして、仕上げにたっぷりの胡麻と七味唐辛子をかけたら完成です。
【カボチャ】
血流を促し『瘀血』を改善するビタミンEを豊富に含みます。また、喉や鼻なの粘膜を強くするβカロテンや抗酸化作用の高いビタミンCも多く含まれています。特に皮やワタや種に多く含まれるので、丸ごと食べましょう。種は乾煎りして、おやつにしてもよいですね。
【七味唐辛子】
七味唐辛子は、体を温め血流を促す漢方薬のような調味料です。唐辛子、麻の実、陳皮、紫蘇、海苔、芥子、黒胡麻、山椒、トウガラシなどメーカーによって種類は違いますがスパイスがたっぷり含まれています。この時期、年越しそばやおでんなどに入れて食べることが多いと思いますが、きんぴら、炒め物、お味噌汁などさまざまな料理にちょい足ししてみてはいかがでしょうか。
今年もとうとう終盤です。食薬習慣をとりいれて不調をスッキリ解消して、楽しい年末を過ごしたいですね。ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。
月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。
つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。
Information
大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
『1週間に一つずつ 心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。
『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)
体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。
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