今の時代が求めるのは“優しい強さ”のある人。その言動にはっとさせられたり、生き方に心が動かされたり…。そんなキャラクターが主人公の漫画をご紹介。週末に一気読みすれば、元気と勇気をもらえそう!
1.『ちひろさん』の主人公 ちひろ
決めつけない、責めない。その優しさに触れて心が開く
海辺の小さなお弁当屋さんで働くちひろさんのもとには、様々な悩みを抱えた客がやってくる。恋愛、仕事、家族、自分自身のことなど、それぞれ深刻だ。元風俗嬢でもあるちひろさんは彼らの声にじっくりと耳を傾け、彼女にしかできないやり方で答えを導いていく。出会ったモノや人を心で眺め、手や知恵を貸しつつ、「ここだ!」と直感できる居場所を求めて人生の海を漂う。クラゲのように、その美しさと毒で身を守りながら。
安田弘之著
秋田書店 全9巻
各748円
2.『かしましめし』の主人公 小田千春
同級生とのにぎやかな食卓からしたたかな自己を取り戻す
ある葬式をきっかけに再会した美大の同級生3人の同居生活。上司のパワハラにより退職した千春の家に、バリキャリのナカムラとゲイの英治が住み込むことに。押しつけも決めつけもない3人の食卓から、千春は再び仕事と向き合い始める。2人の存在と仕事への没頭が、自己への呪いから守ってくれることに気づく。「ただ居てくれるだけって、すごくありがたいんだよ」。弱音ではなく、素直に感謝を表す彼女の態度に凜とした芯を感じる。
おかざき真里著
祥伝社 1~4巻
990円~1012円
3.『スキップとローファー』の主人公 岩倉美津未
校内カーストを無効化するまっしろでフラットな目線
田舎町で愛されて育ち、「T大学法学部から官僚へ」を目指し、東京の進学高に入学した岩倉美津未は、成績優秀で努力家、でもちょっと天然。都会生活にドギマギしつつ、同級生たちと友情を育んでいく。彼女の目線は常にフラット。バイアスをかけがちな周囲を、素朴な言動でハッとさせる。陰口をたたかれたら素直に反省、その後「起き上がるのもムチャクチャ得意なんだから!」と速攻で復活。気持ちいいまでにポジティブな姿に救われる。
高松美咲著
講談社 1~6巻
693円~748円
取材・原文/中川 薫 ※BAILA2022年2月号掲載