スイーツライターのchicoさんがおすすめスイーツを紹介する「お菓子な宝物」。今回は『Comme’N MERINGUE(コム・ン メレンゲ)』のエスピエーグルです。
クロワッサンラスクにカラフルなメレンゲがこんもり。なんて楽しい光景だろう! 『Comme’N MERINGUE』は、パンの世界大会で日本人初優勝を果たした大澤秀一さん率いる人気パン店、『Comme’N』が始めたメレンゲ専門店。幼い頃、パン職人の父が作ってくれたメレンゲの思い出。さらには、パリで見かけたメレンゲがもりもり積まれたショーウィンドー。そうした記憶の断片に、日々のパン作りで卵白が余る現状が混ざり合い、生まれた店だ。
ショーケースには、パリでお馴染みの大きなメレンゲや、ナッツやフルーツをトッピングした板チョコみたいなメレンゲが所狭しと並ぶ。とりわけそそるのが、世界一に輝いたクロワッサンがベースのこの「エスピエーグル」。齧るとカリカリのメレンゲに、クロワッサンラスクはザクザク。軽快に響く音と歯触りは気持ちよくすらある。「昔から卵ボーロが大好きで。メレンゲに片栗粉も混ぜることで、サクッと消える卵ボーロ食感を目指しました」と大澤さん。確かにクリスピーなのに一瞬でしゅわり、嘘みたいに消えてしまう。口溶けの後に残るのは香りの余韻。ストロベリーのエスピエーグルなら甘酸っぱいイチゴに、生地の香ばしさとバターの乳味も重なって、イチゴミルク的優しさがふわり。食感も幻のような残り香も、初めてなのにどこか懐かしいのだった。
「エスピエーグル」1個¥648。写真は「ストロベリー」「抹茶」「コーヒー」、季節限定の「ブルーベリー」。甘みは一般的なメレンゲの半分ほどに抑えていて、フレーバーの香りもくっきり鮮やか。まさかのヴィーガンタイプ「エスピエーグル ヴィーガン」(¥756)には大豆バターやじゃがいもプロテインなどを利用。赤ちゃんせんべい的な優しい風味の「お米」や「プレーン」のほか、あずきやピスタチオフレーバーもある。
Comme’N MERINGUE 東京都世田谷区奥沢7‐18‐5‐1F TEL:非公開(問い合わせはWebサイトhttps://commen-mg.jp/から) 7:00~18:00 無休 7月に『Comme’N TOKYO』内にオープン。
チコ スイーツライター。大人気のガイド本『東京の本当においしいスイーツ探し』(ギャップ・ジャパン)シリーズ監修。
※『anan』2023年9月6日号より。写真・清水奈緒 スタイリスト・野崎未菜美 取材、文・chico
(by anan編集部)