京都・三条で地元民や観光客に長年愛されてきた「イノダコーヒ三条店(いのだこーひさんじょうてん)」が2024年10月にリニューアルオープン。これまで親しまれてきたオーバルのカウンターやネルドリップにこだわったコーヒーなどはそのままに、オリジナルスイーツや贅沢モーニングのメニューが刷新して登場。その魅力をご紹介します。
銀幕のスターも通った「イノダコーヒ」のレトロな魅力
「イノダコーヒ」は、昭和15年(1940)の創業以来京都で愛される喫茶店です。創業者の猪田七郎が10代の頃に輸入食品業者で働いていた際にコーヒーに魅了され、現在の本店にてコーヒー豆の卸売りをスタート。
戦後、コーヒー豆がなかなか手に入らない時代に、「イノダコーヒ」は本物のコーヒーを出すことで一躍人気店になったのだとか。
京都で人気の喫茶店としてその地位を築いたイノダコーヒは続々と支店を広げていき、「イノダコーヒ三条店」を昭和45年(1970)に京都文化博物館の斜め向かいにオープンしました。建物の老朽化により2022年から休業していた三条店ですが、2024年10月にリニューアルオープン。創業以来、初めてのリニューアルということで、地元でも話題になっていました。
以前のクラシックな雰囲気やイノダコーヒのマークはそのままに、向かって右側に入口が移動し、一階席二階席ともに大きな窓が作られ開放感いっぱいになりました。夏場や雨の日でも並びやすいように、入口前には屋根付きの待機場所が新しく誕生。ベンチも3つ用意され、待つのが苦にならないように配慮されていますよ。
奥の席は以前の雰囲気を残したローズウッドの壁をはじめ、シックな設えで重厚感が増しました。隣との距離がゆったりとしていて、落ち着く空間。
手前の席は白を基調として明るくカジュアルな雰囲気に。若い世代でもお気軽に入れる雰囲気です。
創業当時から訪れる人たちに愛されていたのが、店内奥の方にあるオーバルカウンター。リニューアル後も以前と同じ場所に設置されています。クラシックなカウンターは昭和・平成を代表する名俳優たちもよく訪れくつろいでいたそう。店員さんとの会話も楽しく、常連客の中でも憧れの席なのだとか。人気の席なので埋まっていることが多いですが、運がよければ空いているので気軽にのぞいてみてくださいね。
吹き抜けの階段を上がると大きな窓に面した明るいテーブル席もあります。一人でゆっくりするもよし、友人や家族と一緒に過ごすのもおすすめのリラックスできる設えです。
ネルドリップで淹れるコーヒーはコク深い味わいが特徴
オーバルカウンターの中央では常に寸胴鍋にいっぱいのお湯が沸いています。ペリカン容器と呼ばれているピッチャーにネルのフィルターをかぶせ、そのお湯をお玉で注ぎます。
ネルドリップと呼ばれるこの淹れ方では、ネルの起毛でコーヒーが対流することで成分がまんべんなく抽出できます。職人の勘でタイミングよくフィルターを引き上げたコーヒーは雑味が少なく、コク深いのが特徴。コーヒー通にも人気の一杯です。
アラビアの真珠750円
創業時から提供しているアラビアの真珠は、モカコーヒーをベースとした深煎りのブレンド。香り、コク、酸味のバランスが絶妙で一番人気のコーヒーです。ミルクと砂糖を入れての提供が基本ですが、注文の際に確認してくれるので、ブラック派という方はミルク&砂糖なしをリクエストしてくださいね。
三条ブレンド 時~とき~880円
三条店限定の一杯は、重厚なコクの中に強い甘みが広がる特別ブレンド。インドネシアのマンデリンをベースに、グアテマラとブラジル豆をブレンドした深煎りタイプ。深い味わいが特徴ですがあっさりとした香りで、スイーツや食事とのマリアージュも楽しめますよ。
三条店限定のメニューのご紹介
リニューアルして刷新されたフードメニューもご紹介します。以前から人気があった期間限定のあんバタートーストが定番化したほか、三条店でしか食べられない限定メニューが新登場。人気のモーニングはじめ、こだわりのフードやスイーツなど、目移りしそうなメニューが目白押しですよ。
三条モーニングセット1480円
イノダコーヒといえば、贅沢なモーニングが有名ですよね。若い世代や観光客の多い三条店ではカジュアルに楽しめるワンプレートのモーニングを提供。京都で創業70年を誇る「丸善パン」のパンを使用し、濃厚なチーズにふわふわのスクランブルエッグ、北海道産のスタッフドベーコンが添えられたリッチな一皿。オープンサンドにしていただくのもおすすめです。モーニング目当てで開店前から並ぶ人が多いので、絶対に食べたい人は早めに訪れるのがベターです。