美ST1月号に登場してくれたジェーン・スーさん。ポッドキャスト番組でパーソナリティを共に務めるフリーアナウンサーの堀井美香さんと一緒に、50代になってからの美容や健康、これからの生き方などを語ってくださいました。この記事ではジェーン・スーさん自身が経験した恋愛についてお聞きしました。
お話を伺ったのは…ジェーン・スーさん(50歳)
《profile》
1973年生まれ。コラムニスト、ラジオパーソナリティ、作詞家 。TBSポッドキャスト番組「OVER THE SUN」での真っ正直な発言や脱力トーク、堀井美香さんとの面白可笑しい掛け合いにハマるリスナー続出。著書『死ぬとか生きるとか父親とか』(新潮社刊)はドラマ化され話題に。美STでの連載をまとめた『きれいになりたい気がしてきた』(光文社刊)も。趣味はインディー・プロレス観戦。
大好きだった男に振られて25㎏も痩せてしまいました
31歳の時、2度目の転職をして仕事も恋愛も順風満帆と思っていた矢先、同棲していた彼氏から突然振られたんです。まさに青天の霹靂、あまりに予想外のことだったし急に住む家もパートナーも失ったので、人生終わりのように感じちゃって、ショックで25㎏減。人生初の大失恋を経験し、身も心もズタズタでした。
それでも転職した会社で規則正しい会社員生活を続け、定時に出勤して退勤後は買い物に行ったり友達とご飯食べて…みたいな健康的な毎日を送っていたら、徐々に元気を取り戻してきたんです。ありがたいことにそのあと彼氏もできて、出会ったり別れたりを繰り返しながら、38歳頃からは徐々に、ペンネームだったジェーン・スーとしての活動の場が広がっていき、ラジオや執筆のお仕事のオファーが来るように。仕事は波に乗り順調だったのですが、今度は40歳のときから8年間付き合った彼と別れることに。またしても引っ越しからのスタートでかなり応えましたが、この時は31歳の頃のような自分勝手な落ち込み方はせず、「まぁ、がんばるしかない」と意外と冷静で大人になった自分がいました。ぜんぜん痩せなかったし!(笑)
美ST「50代」特集で堀井美香さんと
元カレとまさかの再会。最高の男友達であり同志です
なんと昨年、31歳で大失恋した相手と再会し、再びお付き合いすることになったんです。約20年ぶりに再会したら恨みもつらみもなくなっていて、「やっぱりこの男とはウマが合うな」と、素直に思ったんですよ。お互い色々な経験をしてきたから大人になっていて、私が何したって引いたり制したりせず、いつもご機嫌だから一緒にいて楽しい。同じものを見て同じところにツボったり、バカ笑いできる。男と女というより、同志に近いかな。
遠距離恋愛なので頻繁に会う機会はありませんが、だからこそ会える時間を大切にするし、会えた時は思いっきり楽しもうって思いますね。昔のように恋の駆け引きみたいなことは全くしなくなったし、お互い心が安定しているからラクです。
24歳で母が逝去。事業に失敗した父と暮らした30代
大失恋よりもっと前の話ですが、レコード会社に就職してすぐ、両親がともに体調を崩し入院することになったため、半年間介護休職することに。その後、父は回復し退院できたものの、母は私が24歳の時に亡くなりました。まだ64歳でした。最愛の母を突然失い、悲しみや喪失感や孤独感に打ちひしがれていましたが、唯一の家族である父と、激しくぶつかり合いながらも母を悼むことで、そういった感情も少しずつ薄れていきました。
ですが、私が35歳の時に父の事業を手伝うために実家に戻ってからが壮絶でした。私が背負わなくちゃいけない借金はないと聞いていたのですが、借金がない代わりに売上もあまりなかったんです。つまり、生活していくためのお金がぜんぜん足りない。気づけば子供の頃から住んでいた家は既に人手に渡っていました。賃貸料を支払って住んでいたのです。古い家で維持費もかかり、賃貸料も結構な金額だったので、結果的に私の貯金を切り崩すことも多々ありました。悲しくて情けないといった感情と抑え切れない怒りが同時に込み上げてきて、父との対立は激化しました。このままでは生活も立ち行かなくなると思ったため、2人で実家を退去し、それぞれ別々の場所で暮らすことにしました。本当にハチャメチャな父親ですよ。まぁ、これが本やドラマになったから結果オーライでしたけどね!
そんな父親も齢85歳。先日急に倒れて救急で運ばれたと病院から連絡がきたので、真剣にヤバイと思ったのですが、単に何も食べてなくて空腹でフラッっと座り込んだだけ。どこもケガしてなかったんですよ!何とも人騒がせな!でも、何でもなくてよかったです。別々に暮らしているので心配はいつもしてますが、お世話をして下さる方がいるようなので助かってます。
35歳からは後ろ向きでも下向きでもいいから自分の人生に責任を持て
お若い方たちに偉そうなことは言えないけど、アドバイスできることがあるとしたら「自分がやりたいって思ったことは、自信がなくてもやったほうがいいかも。ただ、35歳からは自分で選んだことに自分でちゃんと責任を持つべし!!」ですね。明るく前向きに突き進んだ方がいいとかは思ってなくて、前向きでも後ろ向きでも下向いてようが上向いてようが何向きでもいいから、とにかく、自分に正直に生きて、したいことをしてみればいい。自分の人生なんだから、自分で決めて自分の意思で歩んでいいんですよ。結局、自分の人生は自分しか変えられない、他人がどうこう言うことじゃないからね。あとは、物事をいいように捉えるのも悪いように捉えるのも自分だから、気の持ちようでどうにでもなる部分もあるってことかな。
撮影/芦澤 周 ヘア・メーク/RYO スタイリスト/槇 佳菜絵 取材/山田正美 編集/矢實佑理