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[安達祐実さんインタビュー]長い間“後輩”だった安達祐実さんが、なりたい“先輩”像とは

安達祐実さんが考える素敵な先輩ってどんな人?

幼少期にキャリアをスタートさせ、昨年でデビュー40周年を迎えた俳優の安達祐実さん。

「長い間“後輩”の立場が当たり前になっていたのに、気がついたら、現場で自分が“先輩”であるシーンが増えていた」。屈託のない笑顔でそう話す彼女に、素敵な先輩像について語っていただきました。

穏やかな心で相手の気持ちを受け止められる人でありたい

子供の頃から俳優のお仕事をさせていただいているので、現場ではずっと“後輩”の立場だったんです。でも、年齢を重ねるにつれて“先輩”の立場になることが増えてきて。

私としては年下の俳優さんと共演していても“後輩”だと思って接することはないんですけど、「今度お話し聞いていただいてもいいですか?」と声をかけられることがちょこちょこあって。「もしかしたら私、“先輩”なのかもしれない」と自覚するようになりました。

自分のことを客観的に見たときに、何も考えてなさそうであまり頼りにならなそうなキャラクターに見られていると思っていたので、すごく意外だったけど、うれしい気持ちもありました。

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私自身は性格的に、何か戸惑うことがあっても先輩に相談するより一人で解決することがほとんど。そのせいか、相談してくれる後輩の話を聞きながら「私で本当に頼りになるのかな……?」と心配になることも。

基本的に白黒はっきりしているタイプなので、時々スパッと「それならこうするのがいいと思う」と言ってしまいたくなることもあるんです。でも、それが相手への押しつけになるのは違う気がするので、グッと堪えたり。「もっと頑張ってみよう」みたいなことも言わないようにしていますね。

だって、私に相談しようと思ってくれている時点で相手はもう頑張っていると思うから。

年下の人からのお悩みの中には、年齢を重ねたら実感できるけど、今の経験値だと受け入れるのが難しいかもしれないと感じることもあるので、そういう内容のときは共感することに重きを置いています。

よく考えてみたら、誰かに話を聞いて欲しい時って必ずしも答えを求めているわけじゃないですよね。そのときに抱えている事実や気持ちを共有してもらえるだけで、心がふわっと軽くなることもある。だから「私に胸の内を打ち明けることで少しでも相手の気持ちが軽くなったらいいな」と思いながら話に耳を傾けることが多いかもしれません。

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穏やかで優しい空気を纏う人 それが私の目指す素敵な先輩です

昔は42歳ってすごく大人だと思っていたけど、いざ自分がなってみると全然そんなことないんです。かわいい後輩もいるけど、尊敬できる先輩もたくさんいるちょうど“中間”くらいの感じ。俳優としても人としてもまだまだ成長していけたらと日々感じています。

いろいろな撮影の現場に行かせていただいて憧れるのは、「何がどうなっても大丈夫だよ」という佇まいの方。もしかしたら役と向き合う中でナーバスになっているかもしれないのに、そういうピリッと感を出すことなく穏やかに過ごしている先輩は、器が大きくて素敵だなって思います。

光石研さんがいつお目にかかってもそんなムードで、本当にカッコいいんです。この人の背中についていきたいと思う何かがあるんですよね。光石さんの素晴らしいところは、いつもは柔らかいのに年長者として緊張感を持たせないといけない瞬間は引き締めてくれる緩急もあるところ。私も還暦を迎えるくらいまでには、あんな風になれたらいいなって思います。

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好きなことを好きと表現できる素直なスタンスも大切にしたい

これは、先輩後輩にかかわらずなのですが、パッと顔を合わせたときに、自分の気持ちに素直に生きてる空気感を纏っている方が好きです。わかりやすいところで言うと、大人になっても自分の好きなファッションやメイクを楽しめる“先輩”って素敵ですよね。

大人としてTPOを意識することはもちろん大切だけど、限られた条件の中でも自分なりにおしゃれを楽しんでる人ってかっこいいと思います。

例えば、私たちが足を運ぶ映像の現場のスタッフさんは、全身カジュアルなオールブラックコーデでいらっしゃることが多いんです。そんな中でネイルだけ好きな色やデザインにしてる方を見かけたりすると「みんなちょっとずつ楽しみを見つけていていいな」って思います。一世代前は「そんなことしてる余裕あるの?」みたいな空気感が漂っていたけど、今は周りもそれを受け入れる体制ができていて、それも快適だなって(笑)。

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私自身、高校生の娘とファッションやビューティの情報を交換したりしますし、コスメは娘とシェアすることもよくあって。女子高生のトレンドへのアンテナってやっぱりすごいので教えてもらうことがほとんどだけど、「おしゃれ!」って思ったら、若い子に人気のメイクも躊躇なく取り入れているかも。ラメやビビッドカラーが大好きなんです。

世の中にはイエベ、ブルベみたいな話も飛び交っていて、私は完全にイエベなんですけど、結局パーソナルカラーに似合う、似合わないとかはあんまり気にしないタイプ。自分がそのとき着たい気持ちやメイクに使いたい気持ちを優先するのをモットーにしています。そうする方が自分もごきげんでいられて、周りに感じてもらう空気も明るくなる気がして。

とか言いつつ、20代の頃は人の目を気にして無難なファッションで過ごしていたこともありました。子どもらしくいることを勝手に期待されている気がして、大人っぽい格好は自分には似合わないんじゃないかと思ったり。でも年齢を重ねるごとにどんどんそんな気持ちは薄れていったんです。

100人いて100人に好かれるのはほぼ不可能じゃないですか。それより、自分のことを認めてくれるほんの数人を大事にする方がずっと素晴らしいと思うから、いつでも自分らしさを大切にしていけたらいいのかなって。これからもそんな風に軽やかに人生を歩んでいけたらと思います。

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撮影/嶌原佑矢〈UM〉(人)、魚地武大〈TENT〉(物)  ヘア&メイク/NAYA スタイリスト/佐藤佳菜子 モデル/安達祐実 取材・文/石橋里奈

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