STORY3月号「Junior STORY」企画では、謎解きクリエイターの松丸亮吾さんに「子どもがタブレットを一生触っている問題どうする」へのアドバイスをいただきました。松丸さん自身も初めて買ってもらったゲームを肌身離さず持っていた…というご経験も。小学校低学年からゲームにハマり、尚且つ勉強嫌いだった松丸さんが、都内難関中学・麻布中学を目指したきっかけは、お母さんからのある一言だったそう。誌面でお伝えしきれなかった“子どもを変える松丸母の神テクニック”をWEBで特別公開です。
▼あわせて読みたい
松丸亮吾さんprofile 千葉県出身。1995年生まれ。イベント・放送・ゲーム・書籍・教育など、様々な分野で一大ブームを巻き起こしている”謎解き”の仕掛け人。バラエティ番組や謎解きクリエイターとしての個人活動も活発で、その発想力を活かして謎解きのみならずドラマの脚本・トリック監修数多くの脱出ゲームや問題制作にも携わる。
【INDEX】 ★ ゲームの虜になってしまった僕に母は?
ゲームの虜になってしまった僕に母は?
兄が3人いて、4人兄弟の末っ子。みんなゲームをすごくやっていて兄たちからは「亮吾にはまだ早い」と言われていた中でやっと自分のものが手に入ったので、僕は嬉しくて肌身離さずゲームを持っていました。小学校2、3年生のときは中学受験なんて全く考えておらず、帰宅したらずっとゲーム…なんなら勉強嫌いだったくらいです。流石に親がこれじゃいけないと思ったようで、3年生になって1回ゲームを没収され、「勉強しなさい」と。でもそれは全く効果なく、家族が寝ている夜中にこっそり起きてテレビに接続されている家庭用ゲームをやって…バレてめちゃくちゃ怒られましたけど(笑)。家庭用ゲームもできなくなってからは、今度は外遊びにハマって、いずれにせよ勉強はしない…。僕、反抗心がすごかったんですよね。結果的に勉強はせず、親の作戦は全滅となった時に、「そんなにゲームしたいなら分かった、けれどせめて勉強はしてほしい」と、逆のルールになったんです。ゲームを没収するのではなく、3時間勉強したらゲームをいくらでもやっていいと言われました。実はそのルールの1つ前に、ゲーム1日1時間までというルールもあったのですけれど、勉強をすることには繋がりませんでした。1日無制限といっても、日付が終わった瞬間に終わりです。その結果どうなったかというと…、僕はもともと早起きが苦手だったのですが、早めに勉強したほうが放課後のゲーム時間をより長く確保できると考え、朝起きてまず勉強して「30分やりましたー」と母に見せるようになりました。ちゃんとやっているか内容チェックはしっかり入りましたね。3時間の勉強時間は区切っても大丈夫で、学校から帰ってきたら即勉強して、母に「はい2時間半やりましたー」と言って、もうそこからはゲームをノンストップに。ご飯以外は寝るまでずっとゲーム三昧でした。
勉強の負のサイクルと正のサイクルは紙一重
すごい作戦だなーと思ったのが、これをやっていたら、当たり前ですけれど勉強を3時間毎日必ずやることになるんです。そしたら成績がどんどん上がりました。できるようになって初めて勉強が楽しくなったんですよね。そこから自信が持てて、僕いい学校に行けるかも?なんて気持ちも起こってきたんです。大人になってからですが、勉強は負のサイクルがあるなと思ったのが、勉強…やらないと絶対できないんですよね。天性の才能で急に算数ができるようになるわけじゃないし、努力がものをいうんですけれど、やらないとできないし、できないと楽しくないし、楽しくないとやらないから…。これ、もう一生抜け出せないループなんです。親は、とりあえずやるっていうところから僕を変えてくれて、勉強なんてできないし楽しくないけれど、やったらゲームやらせてくれるから、やらないという部分がやるに変わって、やったらできるようになって、できるようになったら楽しくなるから、楽しくなった結果、自分からすすんで勉強をやるようになる。実は小学校5年生くらいにこのゲームのルールは消えました。勉強が楽しくなって、自分の行きたい中学も決まってましたから、時間の使い方がすっかり変わったんです。
読書にも、母のテクニックが光った!
僕、今でこそ本を読みますが、子どもの頃、読書が苦手でした。それでも国語の成績は良かったのは母のおかげ。東大の現代文の試験も、再現答案といって、自分が書いた答案を出すと塾の先生が採点してくれるというものがあるのですけれど、現代文はほぼ満点でしたね。幼い頃から母は僕に読書してほしいと、本をたくさん買ってくれたのですが遅々として進まず。母としては活字を読むことに慣れてほしいと思っていたようで、苦肉の策で字幕映画を積極的に見せてくれたり、ゲームだったらロールプレイングゲームを勧められたりしました。本を読む行為はイヤだけれども、楽しみがあるなら子どもはやるもので…。実はロールプレイングゲームは1回のセリフで2行くらいの文章が出てるのですが、ゲーム内のセリフを全部トータルすると本10冊分くらい…すごい量になるんです。読むのが早くないとゲームに追いつかないので、僕は読む速度も上がりました。読書を通さずして、読書で培いたい力を母親がうまくつけてくれたと思います。「本を読んで」と母から言われても、「やだ、絶対読みたくない」って反抗していましたから。子どもって難しいじゃないですか。親にやれって言われたことって、ほぼやりたくないことばかり。嫌なことはやりたくないし、やるべき理由を正確に理解することも難しい。だからやっぱり楽しみにもっていくしかないのだと思います。
短期的報酬が決めてになる
もし僕が親になったら、“ゲーム何時間ルール”は絶対やりたいなと思っています。ものすごく理にかなっていますから。僕、子どもに対するご褒美は、長期的であればあるほど理解してもらえないと思っていて、例えば「いい大学に入ったらいい仕事に就けて将来安泰だよ」と言っても子どもには響かないんじゃないかと。10年後20年後にやってくる報酬のために20年間頑張るってすごく難しいものです。けれども目の前にすぐ報酬がくると嬉しいですよね。そしてこのルールの素晴らしいところは、勉強しない限り絶対ゲームが手に入らないこと。全て自分の責任なんです。あとは、子どもが想像しやすい報酬というのも大切です。僕にとってはゲームでしたけれど、ケーキが食べられる…とか、晩御飯がお寿司とか、そういう簡単なものでいいんですよね。
短期報酬テクは大人にとっても効果大!
ちなみに、僕はいまだにこのルールを実践しています。やりたいこととやらなきゃならないことを列挙して、一つずつ線を結び、短期的報酬ルールを自分に作るんです。僕の場合、やりたくないけれどやらなくてはいけないことにダイエットがありました。体重が増えて顔が丸くなったからダイエットをしなくてはならない。やりたいことに、『ハンター×ハンター』のアニメを観たいというものがあり、その二つを線で繋いで、ランニングマシーンでランニングしている間だけ『ハンター×ハンター』が観られるというルールを作ったんです(笑)。これをセットにしたらめちゃめちゃ痩せたんですよ。ゲームのログインボーナスに近いですよね、これをやったらこれが手に入ります…みたいな。でもこのルールのおかげで、仕事の納期も早まりましたし、子どもだけでなく大人にもおすすめしたいテクニックですね。母の神テクニック、さすがの一言です。
Information 松丸亮吾さん率いる謎解きクリエイター集団 RIDDLERが謎解きで遊べる店舗 #リドラスタジオ を池袋にNEW OPEN!
住所:東京都豊島区東池袋1-2-3-9 3F
チケット購入や開催日など詳細は HPにてhttps://st.riddler.co.jp/seedbomb/
衣装協力:ジャケット¥39,600パンツ¥24,200(ともにアンヌ/バート)カットソー¥5,000(バナナ・リパブリック)シューズ¥20,900(パラディウム/エスエスケイ お客様相談室)
撮影/清水将之 ヘアメーク/大室愛 スタイリスト/小川真央 取材/竹永久美子
おすすめ記事はこちら
プロサーファー【五十嵐カノア】さん、重圧との向き合い方「安心できる場所があるから、負けるのが怖くない」
プロサーファー五十嵐カノアさん(27)大会で優勝したときと同じくらい嬉しくなることとは?
【幼少期・高校時代の写真アリ】男子バレーボール日本代表・高橋藍選手の秘蔵写真をお届け!