働く30代が抱える日々のもやもやを、一見冴えない(!?)アンガールズの田中卓志先輩にぶつける連載【隣の部署の田中先輩】第31回! 今回は「友情が長く続かない」という悩みに田中先輩が的確アドバイス!
《今月のお悩み》相手の嫌なところが見えて、友情が長く続かない(30歳・事務)
出会った最初は楽しい人だなと思っていたのに、仲よくなって相手のことを知っていくにつれ、だんだん嫌なところが見えてきて、嫌いになってしまいます。仲が深まれば深まるほどケチだなーとか、センス悪いなーとか、悪いところばかりが目につき、友情が長続きしません。自分が悪いのはわかっていますが、どうしたらいいのかわかりません。
田中先輩の答え…悩み多き30代だからこそ、友達をどんどん許せなくなる
友達関係がうまくいかない原因は自分にあるのかも
まず、相手の悪いところばかりが見えてしまうのは、自分の価値観を相手に押しつけているからなのかもしれない。たとえば、ファッションひとつにしても「ブランドにこだわる」人もいれば、「プチプラアイテムをセンスよく着こなしたい」人もいる。高級料理が好きな人、B級グルメが好きな人、贅沢旅が好きな人、貧乏旅行が好きな人……それはもう、世の中は様々な価値観を持った人であふれているわけで。自分と価値観が違うだけで、いちいち相手に不満を抱いていたら、そりゃあ友達はできないよね。
友達と長くつきあえば「合わないなぁ」が出てくるのは当たり前のこと。ただ、たまに、その「合わないなぁ」をまったく感じない友達に出会うことも。僕にとってのそれが、ドランクドラゴンの鈴木拓さんなんです。拓さんとは本当に驚くほど価値観が似ていて。話題も尽きないし、飽きないし、何時間でもしゃべっていられる。また、「やりたいことや行きたい場所がある」僕に対して、拓さんは「なんでもいいよ」の人で。その凹凸もうまい具合にハマるというか。お互いに不満があればそれもズバッと言えちゃうしね。拓さんはヘルニアで腰に爆弾を抱えているから。たまに「痛い、痛い」とかがみ込むことがあるんだけど。そんなときは腰を優しくトントントン。その姿を見て「ダサいな」「カッコ悪いな」と思ったことなんて、たったの一度もありませんからね。
ただ、友達全員とそんな関係になれるわけがないし、ならなくていいと僕は思ってます。自分と友達の間に「合わないなぁ」が存在するのは当たり前。だったら、飲みに行くならこの人、旅ならこの人、買い物ならこの人って、ジャンルごとに「合う」友達をセレクトしてつきあってもいいというか。一人の友達に完璧を求めなくてもいいわけですからね。
相手のいろんなことが気になる、そんなときは自分に原因がある可能性も。僕には、山根という相方がいるんですけど。もともと彼は仲のよい友達だったんですよ。でも、仕事のパートナーになってからは、次第に嫌なところが見えてくるように。最終的には、山根が楽屋で弁当のお漬物をポリポリ食べている、その音を聞くだけでイライラするようになってしまったりして。でも、よくよく考えたら、それってすごく変じゃないですか。お漬物を食べれば音がするのは当たり前。なのに、自分のイライラが正解と言わんばかりに山根を責め立てる……もはや狂気の沙汰ですよね。今振り返ると、その原因は自分にあったんだと思う。あの頃の僕は忙しい日々の中で未来への不安も抱えていて、「もっと頑張らないと、テレビから消えてしまうんじゃないか」って、いつもピリピリしていたんだよね。
もしかしたら、この相談者さんもあの頃の僕になっているのかもしれない。30代は悩み多き時期ですから。仕事を続ける自信がない、恋人のいる友達がうらやましい、彼氏がプロポーズしてくれない……心に渦巻くモヤモヤが自分をピリピリ人間にしているのかもしれない。相手にとやかく言う前に、まずは自分の心を整えてみる。そうすることで友達関係は意外と楽になるのかもしれない。僕自身、心にゆとりを持てるようになった今は、山根のお漬物のポリポリに癒されていますからね。いい音だなぁって(笑)。