どこから、どんな球が飛んでくるかわからない、ライブな会話。大人の女性として、暴言、失言などあらゆる球を、軽やかに返す技を磨きましょう。「フォロー上手」な女性になるには?
相手に緊張感を与えない、ウィットに富んだ女性は魅力的です。
「会話で和やかな時間を過ごすための心がまえとして大事なのは、相手と協力しようという姿勢。でしゃばりすぎず、かといって当てにしすぎず、初めて話す人とでもどうすれば力を合わせてこの場を楽しめるか、探ることのできる人はステキだと思いますね」(コラムニスト・石原壮一郎先生)
たとえば、相手の話が瞬時に理解できず、トンチンカンな受け答えをしたり、反対に自分の話を違う意図で解釈されて、噛み合わなくなった経験はありませんか?
「お互い内心では焦っていて、こんなときこそ失言が出やすかったりするのですが、食い違いをすかさず自分のせいにして、相手に恥をかかせない人は一目置かれます。会話において、ちょっとした事件や事故はよくあることなので、距離を縮めるチャンスだと思ったほうが気が楽です。それを逆手に取って、上手に生かしてしまえるのが大人の女性だと思います」
反応しづらいときや気まずいとき、涼しげに、あるいはユーモアたっぷりに、気の利いた切り返しやフォローで場を和ませる。すぐにできることではないかもしれませんが、ここぞという場面に使えるフレーズを覚えておきましょう。
会話が危ないそのときに、スッと言いたいひとこと
場が凍った!
たとえばダジャレ好きの上司や取引先の人など、本人はあくまでも盛り上げようと思って発した言葉ではあるものの、一瞬で場が凍りつき…。居合わせた人たちは、どう反応すべきかわからないまま、誰かに口火を切ってほしいと思っているような緊張状態。
◎すべったことを好プレーに変える。
「ダジャレを言った人は、みんなを戸惑わせてから、じわじわと笑いが広がるのが自分の芸風だと思えれば、何も問題ないわけです。なので『絶好調ですね!』などと持ち上げれば、周りも瞬時に空気を読んで同調してくれるでしょう。下手に突っ込むと収拾がつかなくなるので、ひとすべりで終わらせたほうが全員が安心できます」
反対に、自分が場を凍らせてしまったときは、他者のフォローに頼らず「あれ、今の笑うところですよ」とか「ちょっと巻き戻しましょうか」などお決まりのフレーズで早めに切り抜けましょう。誰かが突っ込んでくれたときは、「そこで拾ってもらえなかったら、今日は眠れませんでした」とファインプレーを讃えてあげて!
あきらかに間違っている…
有名人の名前や地名などを言い間違えるのは、凡ミスの範疇。しかし付き合いが比較的長い仕事相手の名前を間違えているなど、今後のためにも訂正してあげたほうが親切なときも。肝心な部分の記憶違いで、話の辻褄が合わないまま、会話が続くときも困ります。
◎間違いに同調しつつ修正。
自分の名前を面と向かって間違えられたとき、間髪入れずに訂正するのは、ムキになっているようで気が引けてしまいます。
「少し時間が経ってから『○○は忘れっぽいから気をつけろって、課長にいつも注意されるんです』などと正しい名前で返して、相手の間違いをなかったことにしてあげるのが大人の優しさでしょう」
敏感な人ならすぐに間違いに気づけるうえ、リカバリーのチャンスも。第三者の名前の間違いにも同様に使えるテクニックです。
「記憶違いなど、きちんと訂正してあげないと話が流れていかないようなときは、『最近、物忘れがひどくて自信がないんですけど』と前置きをして事実を言えば、相手にも失礼なく、角が立ちません」
悪口に巻き込まれそう
「最近あの子、部長に色目使ってると思わない?」と楽しそうに話す同僚や、「課長って、ほんとのところ仕事できないよな…」と腹立ち紛れにつぶやく先輩。こちらに意見を求めているような、悪口を含む問いかけには、どう返すのがスマートなのでしょう。
◎鈍感なふりで切り抜ける。
悪口を言っているような人には、同調した時点で“仲間”だと思われてしまいます。悪口の輪に入りたくないことを、ある程度毅然とした態度で示すのも、巻き込まれないための予防策。
「それでも懲りずに言ってくるようなら、『へえ、何それ?』とか『全然気づかなかった』など鈍感なふりをして、“打っても響かない人”になりましょう」
目上の人が悪口を言っているときは、同僚のようにはぐらかせないのが難しいところ。しかしここでも基本姿勢は、鈍感なふりを。
「『仲いいですねー』などの的外れな返事をすれば、先輩は『もういいよ』と諦めてくれます(笑)」
場合によって“ズレた返し”ができるのも、賢い大人の女性です。
いしはら・そういちろう コラムニスト。大人のあり方や素晴らしさを各媒体で発信し、日本の大人シーンを牽引。『大人の言葉の選び方』『大人の人間関係』(共に日本文芸社)など著書多数。
※『anan』2019年5月29日号より。イラスト・micca 取材、文・兵藤育子
(by anan編集部)