“引き立て役”だと思っていた友人の結婚。
その時"独身アラサー女子"の私を待ち受けていたのは、
驚きや焦り、どこか置いてけぼりにされたような気持ち。
...そして運命を変えた1つの出会いだった。
「高橋 沙織 様」
…高校の同級生から届いた招待状
繊細なレースをかたどった真っ白な封筒の真ん中に、 それを書いた彼女の心情を映し出すかのようなはずんだ字体で私の名前が書いてあった。
彼女、雅美(まさみ)は高校生時代同じグループだった中の1人だ。 大学は地元を離れ、東京へと上京を目指していた私たちは自然と話が合い、仲良くなった。 少し地味な印象の彼女のことを、正直"引き立て役"のように思っていたこともある。
そんな私達も無事東京に出て、今年で29歳。 今でも時々一緒に食事に行っては、お互いの仕事や恋の話をする仲だった。
その雅美が結婚すると聞いた時、一番最初に感じたのは祝福などではなく、"驚き"。
雅美が結婚する大手商社マンの話は聞いていたけれど、どうせ遊ばれているだけなのだろうと思っていた。 なのに、まさかあの雅美がそんな好条件な相手とゴールインするなんて。
私はその驚きと同時に、また一人同級生が結婚することへの焦りを感じていた。
仕事が恋人。
そんな女性に憧れて、何よりも仕事を優先して生きてきた。いつからだろう。 結婚しない言い訳としてその言葉を口にするようになったのは・・・。
恋愛なんてその気になればいつでもできるとたかをくくっていたけれど、 最後の彼と別れてからもう2年。
気づけば恋愛から距離をおき、 代わり映えのない毎日をただやり過ごすだけの生活になってしまっていた。
決して充実していないわけではない。
プライベートをけずって仕事に打ち込んできた成果は確実に社会での地位を上げ、 自立した女として一人で生きていくには十分な収入を自由に使うこともできる。
自由があり、欲しいものは全て手に入れられるはずなのに、 こうして同級生の結婚を目の当たりにすると、なぜかやり場のない不安やさみしさで胸がいっぱいになるのだ。
朝よりもきつくなったハイヒールで、ファッションビルの中をブラブラと歩いていた。 今日は仕事後、雅美の結婚式で着るドレスを選ぶつもりだったのだ。
色々と探してみてはいるものの、ウインドウに立ち並ぶマネキンや、 店員が着ているような鮮やかな色のドレスは今まで選んだことはない。 手に取るのはいつも無難で、当たりさわりのない"黒"ばかりだった。
いつもなら適当な黒のドレスを選んで買ってしまうのだけれど、今度の結婚式の花嫁は雅美なのだ。
彼女は花嫁だけに許される純白のウエディングドレスを身にまとい、 勝ちほこったような笑顔で私達を迎えるのだろう。
だからこそ今回は、 少しでも彼女と並んでも恥ずかしくないようなドレスを着てみたい気持ちになったのだ。
「何を着ていこうかなぁ」
結局その日、私は何も買わずに家に帰り、 同じく雅美の結婚式に呼ばれていた舞に相談してみることにした。
舞も高校時代同じグループにいた一人であり、 私や雅美と同じく大学で東京に上京してきた仲間だった。 舞は20代前半に若くして結婚し、今では4歳になる娘までいる。
…クローゼットの中に、少しでも良いドレスが無いか探す沙織
彼女が結婚した頃はまだ、私は結婚なんて考えたこともなく今のように焦ったりするようなこともなかった。
むしろ、そんなに早く結婚して自由を奪われてしまった彼女に対して同情すらしていたくらいだ。
雅美とは対照的に舞は元々ハデ好きでギャルっぽく、 ちょっと目立つファッションに関しては彼女に聞くのが一番だと、私は携帯を手に取った。
沙織「あ、もしもし舞?招待状届いた?」
私は雅美から送られて来た招待状を手にしながら、ベッドの上で舞に電話をした。
舞「うん!届いた、届いた!」
背後で彼女の子供が何やら騒いでいる声も聞こえている。
舞「ごめんね、後ろうるさくて。でもあの二人、本当に結婚しちゃったね〜!」
舞も私と同じく、 雅美は遊ばれているだけだと思っていたから結婚の報告を受けた時はずいぶん驚いていた。
…舞も同じく雅美の結婚報告に驚く
沙織「本当、ゴールインするとはさすがに思ってなかったよね!」
舞「でもあんな好条件な彼と結婚できるなんて雅美もやるよね!負けたよ〜」
舞の旦那は高校時代から付き合っていた相手で、 収入面でもそこそこあるみたいだけれど、きっと雅美の旦那には劣るだろう。 舞も舞で、彼女なりの敗北感のようなものを感じているようだった。
沙織「ね!びっくりだよ!」
舞「でもさぁ、雅美なんか最近キレイになったもんね〜」
それは私も感じていたことだった。劇的に何かが変わったわけではないものの、どこかあか抜けたような感じがするのだ。それが"恋の魔法"だと言われればそうなのかもしれないけれど。
(ー最近雅美、急にキレイになったけど・・・何でだろう?)
沙織「私もそろそろ結婚したいけど出会いがないんだよねぇ。 舞はさっさと結婚しちゃって、もうママだもんね!私なんかあいかわらず仕事が恋人だもん」
結婚した時は正直早過ぎでしょ!なんて思ってたけど、 なんだかんだ幸せそうに暮らしていて、今となってはうらやましいとさえ感じるようになっていた。
舞「でも子育てやら、家事におわれて全然自由がないもん!私は働いてる沙織がうらやましいよ!」
結局、"ない物ねだり"ってことなのだろうか?
けれど家に帰って、迎えてくれる人がいることの温かさは、 やはり何者にも変えられないような気もした。
沙織「舞は結婚式、何着てくか決めた?」
舞「うん!買いに行く時間もないし、家にあるドレス着て行こうかなって思ってる!沙織は?」
沙織「今日買うつもりだったんだけど決められなくて。 いつも黒ばっかりだからたまにはカラードレスでも買ってみようなって思ったんだけど・・・」
舞「いいじゃん!買ってみたら?」
沙織「でもなんとなく似合わない気がして・・・」
舞「服なんてメイク変えればいくらでも似合わせられるよ! 沙織はメイク映えする顔なんだからもっと化粧すればいいのに!」
私は舞のようなハデなメイクをするタイプではない。 目鼻立ちがはっきりしている舞とは違い、 メイク映えするとはいっても、だからこそちょっと濃くするだけでやたらとケバく見えてしまうのが悩みだった。
舞「あ、そうだ!カラコンしてみたらどう?」
突然、思い出したように舞が言った。
沙織「え、カラコン?」
私は思わず聞き返した。
舞「 そう!今は自然なものもいっぱいあるし、カラコンなら簡単に印象変わるよ!」
沙織「う〜ん・・・でもなぁ・・・」
今時、29歳で"カラコン"なんてつけてる人はいるんだろうか。
(正直、バレたら恥ずかしいし・・・)
舞「意外と皆、バレずにこっそりつけてるよ!」
沙織「え、そうなの?」
舞「うん、一回試してみたら?私はガッツリ系のカラコン愛用してるけどね!」
確かに舞は昔から色んな色のカラコンをつけていた。
ハッキリした顔立ちの彼女だからこそ、それでもハーフ顔のような仕上がりになるけれど、 私にはやっぱりハデすぎてしまう気がして、あまり乗り気にはなれなかった。
「考えとく」とは言ったものの、今更"初カラコン"なんてちょっとハードルが高すぎる。その時の私はあまりカラコンに興味を抱くことはなかった。
『…カラコン、ね』
翌日、私はいつも使っている普通のクリアコンタクトを買い足しに、 駅ビルの中のコンタクト専門店へと足を運んでいた。
ふといつものコンタクトの隣に、 可愛らしいパッケージの商品が並べられているのが目に入った。
…見慣れない可愛いパッケージ
(こんなのあったっけな?)
パッケージにひかれ、何気なく手に取ってみるとそれは初めて見るタイプのカラコンだった。
すごく自然なフチ取りで、私がイメージしていたような派手なカラコンとは全く違っている。 私はそれを見て、軽い衝撃を受けた。
沙織「何これ、今のカラコンってこんなに自然なの?しかも、度ありもある!」
…ふっと、舞が言っていたことを思い出す沙織
その時ふいに、こないだの舞との電話を思い出した。 あの時は全然乗り気ではなかったけれど、これなら自然に見えそうな気がする。
(カラコンってそんなに印象変わるのかな・・・?)
まだ少し悩んではいたものの、今こうして手に取っているのも何かの縁なのかも知れない。
(それに皆こっそりつけてるって舞も言ってたし・・・。)
沙織「・・・これならナチュラル見えしそうだし、試しに買ってみようかな」
まさかこの選択が"未来を劇的に変える"ことになるなんて、 この時の私は思ってもみなかった・・・。
次回「カラコンを手に取った沙織、これが未来の奇跡に...!?」
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撮影/飯岡 拓也 ヘアメイク/只友 謙也(P-cott)
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