“引き立て役”だと思っていた友人の結婚。
その時"独身アラサー女子"の私を待ち受けていたのは、
驚きや焦り、どこか置いてけぼりにされたような気持ち。
...そして運命を変えた1つの出会いだった。
(前回のおはなしはコチラ)↓
「このドレス着るの久しぶりだな」
この歳になって、まだピンクのドレスに袖を通す機会が訪れるなんて考えもしなかった。
それも誰かに無理やり着させられたのではなく自らこんな可愛らしい色のドレスを選んで着ているのだ。
なぜそんな勇気が出てたのか。
全てはこの間舞に言われた"一言"が始まりだった。
「カラコンつけてみたら?」
カラコンというだけで偏見があったものの、あの後偶然コンタクトショップで見つけたカラコンを試してみると、裸眼のように自然であるにもかかわらず印象がガラリと変わったのだ。
メイクはほとんど変えていないのに顔立ちにメリハリができ、似合わないと思っていたファッションもなぜかしっくりくるように思えた。
そのカラコンをつけて、初めての外出。
今日の自分は自分であって自分でないような不思議な感覚がする。まるで魔法をかけられたシンデレラが不安と希望を胸に舞踏会に向かう時のような、胸のドキドキを感じていた。
東京青山。彩が結婚式場に選んだのは、立派な大聖堂が有名な式場。あたかも"勝ち組"の聖地のように思えた。こんな場所で式を挙げるというだけで旦那の収入レベルがにじみ出ているようだった。
まるで幼い頃から憧れた"お姫様の結婚式"だ。
式場に着くと、その豪華でキラキラした世界観に思わずため息がもれる。羨ましい、それが素直な感想だった。
ふと、舞が先に着いているのが見えて私は急いで駆け寄っていった。 昔ギャルだった彼女はママになっても相変わらずハデな髪色に厚メイクでどこにいても目立つのだ。舞が私に気づき手を振っている。
…黒いドレスを身にまとった舞は相変わらず華やかだ
舞「わっ沙織、そのドレスすごい可愛いじゃん!」
舞は私を見るなり、開口一番にそう言った。
沙織「本当?ちょっと挑戦してみたんだけど・・・」
私はまだ少し照れながらも、ドレスの裾をつまんでひろげてみせた。
舞「すごく似合ってる!それになんかいつもと雰囲気違うような・・・」
舞はまるで間違い探しでもするようにジロジロと私を眺めながら言う。
沙織「実は、カラコンつけてみたんだ!」
…いつもより自分に自信が持てる沙織
舞「え?それカラコンなの?すごい自然だね!」
舞は私の瞳を覗き見ながら、関心深げに言った。
沙織「これくらいなら私でも使えると思って!」
舞「自然だけど、言われてみればなんか瞳がキレイに見えるね!可愛い!」
そういう舞の目には、明らかにカラコンだとわかる派手なレンズが着けられている。
(舞もそろそろナチュラルなカラコン試してみたらいいのに・・・)
ウエディングドレス姿の雅美は今までで一番輝いて見えた。かっこよくて紳士的な立ち振る舞いの新郎の隣で、雅美は幸せそうに微笑んでいる。
(雅美、すごく幸せそう。昔は絶対雅美より先に結婚するって思ってたのに、今となっては結婚どころか私は相手もいないなんて・・・)
人の幸せを前につい自虐的になってしまうのは、今の自分に余裕がない証明だった。
29歳。何かと悩みが多くなるこの時期、特に“結婚”はしてる、していないで未来に大きな差が出てくる時でもある。
こんなことならもう少し積極的に出会いを探しておけばよかった。幸せそうな雅美を見つめながら私はひとり、"出遅れた"ような気がしていた。
「今日は来てくれてありがとう!」
式からの披露宴も無事終わり、見送りに出てきた雅美がにこやかに微笑みながら私と舞に声をかけた。
舞「すっごく綺麗だったよ!」
沙織「本当に綺麗だった!」
悔しいけれどこれは本音だ。
雅美「ありがとう!」
ふと、今日初めて近くで見た雅美の瞳を見て、私はハッと目を開いた。
なぜなら、私が今日デビューしたばかりの"カラコン"と同じものを、雅美もつけていたからだ。
(雅美が可愛くなった理由ってもしかしてこれ!?)
自分でつけてみるまでわからなかったけれど、雅美は今日の私と同じようにバレずに可愛く見せる方法をすでに知っていたのだ。
雅美が最近急にキレイになった理由はどうやらそのせいのようだった。
(・・・ってことは、私もこのカラコンつけてたらいいこと起きるかなぁ。)
思わず、そんな淡い期待を抱いてしまった。
とはいえ、自分が積極的に出会いを求めていかない限り、この歳になって良縁に出会う機会などあるわけもない。
「結婚、かぁ」
結局恋愛も結婚も、自ら努力したものだけが手にいれる幸せなのかもしれない。
舞「ねえ、沙織」
突然、隣にいた舞が私の耳元でささやいた。
沙織「ん、どうしたの?」
舞「あの人さ、さっきからずっと沙織のことチラチラ見てるよ!」
舞がこっそり視線で示した先に、スラッと背の高いスーツの男性が立っていた。
私が彼の方に視線を送ると、彼もまた私の方を見つめてきて、そして目があったのが合図のように、彼が私の方に向かって歩いてきたのだ。
私が戸惑っていると、舞はそれを楽しむかのように私の背中をぐいっと手で押してきて、私は2、3歩彼の方に歩み寄ってしまった。
水谷「あの・・・」
案の定彼は、私の目の前まで来ると私に声をかけてきた。確か、披露宴のとき新郎側に座っていた人だ。イケメンがいるな、と思って私もちょっと気になっていたまさにその人だった。
水谷「実はずっと気になっていて…」
沙織「え、私をですか?」
水谷「はい、俺は新郎の同僚で水谷って言います。式の時からすごく綺麗な人がいるなって思ってて、近くで見ると瞳も綺麗なんですね」
水谷は爽やかな笑顔を浮かべながら、私を見つめていた。
(え、何この急展開!もしかしてこれってカラコンを入れたおかげかも♡)
この胸のトキメキはいつぶりだろうか。長らく恋愛を休んでいた私にとってこれは願っても見なかったチャンスだった。
カラコンをつけただけで出会いが向こうからやって来るなんて驚きだ。
軽い会話を交わし、とりあえず水谷と連絡先を交換して舞の元に戻ると、彼女はにやけながら肩を突いてきた。
舞「モテますね〜!」
沙織「別にそんなことないけど・・・」
とは言いつつ突然、舞い込んできた"幸運"につい私まで顔がニヤケてしまうのだった。
(もしかしたらこれが運命の出会いになっちゃったりして・・・♡)
次回 「モテ期到来!?昔のオトコと再会して…」
↓沙織が着けていたコンタクトはこちら
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LOCARI初!連載コラム
「結婚できない女」の共通点
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[Staff]
撮影/飯岡 拓也 ヘアメイク/只友 謙也(P-cott)
[Model]
yu.i.k.a kiyoko1207