これまでに海外旅行のべ30回、海外留学3回の経験を持つライター・志村がお送りする「実録!トラブルトラベラーMasamiの事件簿」。前回は食あたりについてのエピソードをお届けしましたが、今回は少しさかのぼってトラブル満載だった旅行中の恐怖体験についてご紹介します。それは……。
見知らぬ人に連れ回された in ベトナム!
【実録! トラブルトラベラーMasamiの事件簿】vol. 9
女子2人旅を満喫していたある日。街中で用事を済ませようとしていた私たちに、突然現地の男性が「写真を撮ったるで」と謎の関西弁で話しかけてきたのです。日本語を話せるというだけで親近感がグッと増し、しかもシャッターを押してくれるというので迷わずお願いしました。
しかし、これがすべてのはじまりだったのです……。
そのあとは別々の方向に行ったはずでしたが、しばらくしてカフェに行こうとしたら、なんとさっきの男性と再会。「わー、すごい偶然だね!」という感じで盛り上がり、おじさんのおごりで一緒にお茶をすることに。
いま思えばおそらく最初の段階からターゲットにされており、偶然を装って私たちのあとをつけてきていただけだと思いますが、疑うことを知らない私たちは無邪気にはしゃいでいたのでした。
ところがその後、カフェを出て別れようとしたら、なぜかおじさんも私たちと一緒のタクシーに乗り込み、「フォーを食べに行こう!」と提案。半ば強引ながらも、お茶をおごってもらったせいか断りきれない私たちは、気がつけばおじさんと3人でフォーを食することに。
そして、今度こそお別れを告げようとしたら、「おいしいベトナムコーヒーを買えるお店を知ってるから行こう!」と押し切られ、おじさんオススメのお店へ。何となく買わないといけない雰囲気になり、コーヒーやお茶を買うことになりますが、もうそろそろいいだろうと別れを告げようとしたとき、まさかの……。
「今度はマッサージに行こう!」
「いやいやいや」と思いながらも言われるがままの私たち。そんなこんなで町外れの美容院にたどり着いてしまったです。「ここでマッサージ?」と思いつつ、彼の案内についていくと、なぜかどんどんと店の奥へ。そこで私たちが見たものは……。
まるで刑務所のような薄暗い階段!
うっすらと光がある程度で、どんよりとした階段は上へとつながっており、先の見えない展開に恐怖心が急上昇! 頭の中では、「階段を上がるとベトナムマフィアが待ち構える→着ぐるみを剥がされて品定め→どこかの国へ売られる→日本へは二度と帰れない」という妄想がどんどんと広がり、階段を上る足も重くなるばかり。
と、ここで「なぜ逃げ出さないのか?」と疑問を抱いている人もいるかと思います。事実、私たちもなぜこんなにも素直について行ったのだろうかと、いまは不思議に思っているくらいです。
ただ、相手が男性だと抵抗したときに何をされるかわからない怖さに加え、軽いパニック状態で判断能力が低下していると意外と何もできないもの。そうこうしているうちに、2階へ到着し、殺風景な暗めの部屋で待ち構えていたのは……。
簡易ベッドとマッサージ師の女子たち!
「あれ?マフィアじゃない?」ととりあえずひと安心するも、次の瞬間! おじさんがシャツを脱ぎ始め、上半身裸になろうとしているではないですかっ! 「ついに本性を見せたな!やばいー!」と思ったのもつかの間、慣れた感じでベッドに横たわるおじさん。
「普通にマッサージ受けるんかーい!」と心のなかでツッコミながら、ようやくひと息つくことに。同じように荷物を置いてベッドに横になるように指示された私たちは、おじさんと川の字になって寝ていたのですが、どんなマッサージが始まるのかと、いろいろな意味でドキドキしていたところ……。
いきなり髪の毛を洗われる!
「まさかのヘッドスパ的なやつ?」と思いながらも、乱暴に髪を洗われてビビる私たち。もはや抵抗することもできなくなっていたところ、続いては……。
いきなり顔を洗われる!
「次はフェイシャル的なやつ?」と思っていた矢先、そんな気持ちのいいものではないことが判明。なぜか彼女たちは全員ツメを伸ばし、しかも鋭く尖らせているのですが、そのツメで顔中をそっとひっかきながらのマッサージがスタート。
画力が足りなくてうまく伝わらないかもしれませんが、イメージ的にはまるで「とんがりコーン」をすべての指先につけているかのような形のツメのため、とにかく痛いし、何よりも背中がゾクッとするような気持ち悪さ。そんな不気味なマッサージをドヤ顔で続ける彼女たちと格闘しながら、私たちにはもうひとつ気がかりなことがあったのです。それは……。
部屋の窓際に置いた貴重品入りの荷物!
頭のなかをよぎるのは、「洗顔中に目をつぶらせておいて、そのすきに盗む作戦か?」という不安。そのため、どんなに顔に水をかけられても目をつぶることができず、必死にまばたきをしながら応戦し、横目でカバンをチェックし続けるはめに。
おそらく人生でもっともリラックスできないマッサージ体験であったことは間違いありませんが、とりあえずフルコース(?)が終了。いったいどれだけの時間が経ったのかもわからないまま、行きは死刑囚のような気持ちで上った階段も、帰りは心なしか明るく見え、何とか無事に地上へと戻ったのです。と、そのとき! 入り口付近の美容室スペースにあったの大きな鏡に映る自分を見てびっくり。