緊急事態を切り抜ける、最適な謝り方とは? 国語講師の吉田裕子さんに、状況別の謝り方を聞きました。リアルな状況設定に合わせ、言葉をイメージしてみて。
CASE1 納得していないけど…。
上司のお説教は理不尽なことが多いので、うまく謝れず、火に油を注いでしまうことも。たとえ自分では納得していなくとも、とりあえず謝って、その状況を打開するにはどうしたらいい?
【解答例】
「ご期待に沿えず、申し訳ありません」
「今後、十二分に注意いたします」
自分の力不足を認める言葉を選択。“期待に沿えず”は、私は頑張りましたが上司の期待に沿えなかった、という意味。“十二分”は十分以上に頑張る、という決意表明。
CASE2 約束に間に合わない!
乗っていた電車がトラブルで止まってしまい、約束していた時間に間に合わないのは確実な状態です。アポイントをとっている相手に、どういう謝り方をすれば問題ないでしょう?
【解答例】
「ご迷惑をおかけして恐れ入ります。電車が遅れ、○分頃の到着となりそうです」
電車のせいにせず、まず謝ること。その上で具体的に、冷静に対処法を伝え、今後のダメージを最小限に。この場合、到着時間は想定より少し遅めに伝えるのがポイント。
CASE3 相手の間違いかも?
必要な書類が送られてこないと取引先から連絡が。でも、送ったはずなんだけど…。とりあえずその場は謝ってから至急確認したい。そんなときはどういう言い方をするとスマート?
【解答例】
「失礼いたしました。すぐに確認いたしますが、念のため◯◯様におかれましても、改めてご確認のほどよろしくお願いいたします」
謝ってはいるけれど、自分の非は認めない言い方。後のことも考え、送っていないとも言わず、相手のイライラを収めるよう、いったんワンクッションを置くための表現。
CASE4 心から謝りたい…。
後輩のミスが原因で、大切な取引先の方に、私まで怒られてしまいました。でも明らかにこちらに非がある内容。今後の取引に支障が出ないよう、心から謝りたいんですが。
【解答例】
「ひとえに私どもの不徳の致すところです」
「この度は監督不行き届きで、大変ご迷惑をおかけしました」
「私は存じませんでしたが」などと先に言い訳をすると余計問題に。相手から見れば、後輩もあなたも同じ組織の人間なので、まずは連帯責任として誠心誠意謝るべき。
CASE5 客の怒りを収めたい。
取りつく島のないほど激昂しているお客様の対応を、私一人でしなければいけない状況に! クレーマー気質の人かな、とも思いますが、一体どう謝ったら相手の怒りが収まりますか?
【解答例】
「私どもの不手際がありましたこと、心よりお詫び申し上げます」
「せっかくご利用いただきましたのに、ご不快な思いをさせてしまいました」
人の間違いを指摘したい、クレーマー気質の人の欲求を満たすことを最優先に。相手の傷ついた気持ち、邪険にされた気持ちをこちらも理解している、と伝えて。
吉田裕子さん 国語講師。古典、近代文学、歌舞伎に精通。古典などを塾で教えている。著書に『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など。
※『anan』2018年4月18日号より。イラスト・伊藤ハムスター 取材、文・板倉ミキコ
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