結婚したいと願っている人へ、そのための婚活を頑張っている多くの人へ、大人気の占い師・しいたけ.さんが、今いちばん伝えたいこととは…?
今という時代に結婚を願うこと。
だいぶ昔の話になるのですが、懐かしい友達数人とご飯を食べに行って、その後「もう一杯何か飲もう」という話になって、街の中華料理屋さんに入ってビールと餃子を頼んだのです。当時、僕も含めて友達が25歳~27歳で、社会に出て色々経験を積ませてもらって、大変だけど仕事もやりがいを感じ始め、顧客や周りの方に信用されるようになってきた。でも、女性の場合は特にお正月やお盆に実家に帰ると、それとなく親や親せきに「いとこの○○ちゃん結婚したんだってよ」と、プレッシャーをかけられる話になりました。
その時、女友達のひとりがビールを飲みながら、少し怒りを込めてこう言ったのです。「私達、いつまで頑張らないといけないのかな」と。「頑張って受験勉強をして、そして良い大学に入ったら今度は頑張って就職活動をして、自分と合う会社を見つけなければいけない。そして、なんとか頑張って毎日の生活を続けて、自分なりに信用も得てきて、そしたら今度は良い旦那を見つけなければいけないって。知らねーよ」とビールのコップをタン!と置いて言い放ちました。横に置いてあった餃子が少しだけ「ビクッ」としました。
受験も、就活も、仕事も、婚活も、我々が頑張って、自分を磨き続けなければいけない理由。それは誰かから認められ、あなたじゃなければダメだと言われ、そして、選ばれていく人材になるためです。でも、今この社会に生きる多くの人達が「誰かに認められ、選ばれるために頑張り続けなければいけないルール」に疲れてしまう時もあると思います。飲んでいるビールをタン!と置いて「そんなに選ばれる人間が偉いのかよ」と言いたくなる、真夏の蒸し暑い夜もあるはずなのです。
「誰かから認められなければいけない」という強迫観念。
これまでお伝えしてきたように、受験も、就活も、仕事を始めてからも、そして婚活も、それらは「誰かから認められ、選ばれるために頑張らなければいけない」というルールが根底にあります。そして、おそらくどの人もそうなのですが、今の世の中で、暗黙の了解の内にも「幸せ」というものは「誰かから認められ、特別な相手として選ばれること」というふうに定義されているものだとも言えると思います。
その結果何が起こっているか。
それは「誰かから認められなければいけない。選ばれなければいけない」という感覚が、少し強迫観念的に多くの人の心の中にあることなのです。
具体的に「認められなければいけない。選ばれなければいけない」と考えている人たちは、占いの現場でどういう質問をしてくるのかというと「今特に好きな人がいないのですが、私は結婚できるのでしょうか?」というものです。
「私結婚できますか?」問題。
餃子が「ビクッ」とした夜から数年経ち、奇縁としか言いようがないのですが僕は占いの技術を勉強し、いつの間にかそれが仕事になっていくようになりました。「自分のライフワークとして占いをやっている」という自己紹介をすると、その後たまに行く飲み会でも、そしてお仕事でも、必ずと言っていいほど初対面の人から「私結婚できますか?」という質問を投げかけられることになりました。
ここで一般常識として、「え、結婚って好きな人ができて、それでお付き合いしていくうちに自然に二人にとってそういう答えが出てくるんでしょう?」と聞き返すことはしません。だって、そんなことはこの質問をされる人はとっくにわかっているのだから。そういう形になるのがベストだとはわかっている。でも、そのベストに近づくためにどうしなければいけないのかまったくわからない。だから切実な気持ちでヒントを聞きにきている方が多かったです。
ここから先は占いをやってきた人間として「結婚」というものについてどう考えるか、そして、現代ではどういう人が結婚しやすいか、ということについての考えをお伝えしたいと思います。
少しいい加減な人の方が結婚に向く。
最初に結論から言うと、僕は今の時代の結婚って、「多少いい加減な性格の持ち主の方が上手くいく」と考えています。ここで言う「いい加減」とは「遊びに行って家に帰ってこない」「複数の人と付き合っている」「約束をひとつも守る気がない」とか、そういう極端に破たんしている人のことを指しません。
そうではなくて、「適度にいい加減」な人、もしくは「自分が神経質なことを知っているから、多少自分がいい加減に、のびやかに生きていくことを自分で心掛けている」という人なのです。
真面目で責任感が強い人と、いい加減な人の差ってどこに出るのか?
それは、いい加減な人の方が「好き」とすぐに言えるのです。ここであなたの「いい加減チェックテスト」をしたいです。面倒くさいかも知れませんが、ちょっとだけこのテストに付き合ってください。
“今自分の好きなこと、好きな人、好きな時間をパッと5個言ってください”
大体20秒以内に5個言えたら、おめでとうございます。あなたは「幸福ないい加減人間」です。でも、ひとつひとつ「う~ん」と考えて20秒以内に出なかった人は、「好きなものに対して責任感があり過ぎる人」かも知れません。
結婚を求めるなら。そして、今婚活をしている方に伝えたいことがあります。それは、今好きなこと、今好きな人、今好きな時間に対して即座に「好き」と言える人になっていってください。ですから、先ほど紹介したチェックを「今の私バージョン」で気がついたらやって欲しいのです。「大好きな餃子を食べる時に、お酢とお醤油の配合が上手くいって、そしてさらにラー油がお店の手作りだったりしたら最高!」とかですね。
多くの人が結婚を求めている理由。結婚というものが合理的ではなくて、ひとりで生きていくよりも楽なことばかりでもなくて、独り身でいる時よりも責任感を持たなければいけない。そういう非合理的な結婚を引き受けたい理由って、誰かに自分を「大好きだよ」と言われたいからかも知れません。そして、自分自身も誰かに「大好きだよ」と伝えたいからかも知れません。強迫観念的に責任を背負い過ぎるのは辛いけど、でも、一生懸命働いたり、一生懸命生きていく理由って、好きな人や、好きな時間、そういうものに「会いたい」と思うから頑張れていく。もちろんそれが全てじゃないけど、「自分で自分を認めることができる。そこまで強くは求めていないけど、でも、自分のことを好きでいてもらえるのはありがたい」という感覚。
結婚への第一歩。あなたが好きなものに「好き」と伝えてあげてください。
特別な「好き」を発見しようとするのではなくて、「このコンビニの店員さんのちょっと肩の力が抜けた対応好きなんだよなぁ」とかから始めてもらって充分なのです。
好きなものに「好き」と伝えていくと、本当に不思議な話なのですが、「この人は好きなものを歓迎する人なんだろうな」という雰囲気が勝手に出てきます。
誰かと一緒にご飯に行って、「あー、ここね」と言う人と、「あー、こういうお店一回来てみたかったんですよ。こういう雰囲気好き」と言う人のどちらにまた「私の好きなもの」を紹介したいか。
結婚って、「私の好きな時間を、願わくば、大好きなあなたとこれから先も共有していきたい」という切実な願いです。
だから、「好き」をバカにしないこと。
特別な「好き」ではなくて、身近な「好き」に、「好き」を伝えていくことを忘れないでいてください。