2021年の夏は、コロナ禍による活動自粛で肌が焼けることよりも、シミ、シワが増えるといった肌トラブルに悩む人が多いよう。そこで、漢方薬剤師の大久保愛先生が、「老け見えを加速させない」簡単なダメージケア方法を教えてくれます!
最近、シミやシワが増えていませんか?
【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 123
今年は、オリンピックにパラリンピックと、スポーツの夏となりました。ただ、なんだか夏らしいことをしなかった人は多いと思います。その影響もあり、例年よりも日焼けで悩むということは少なかったですよね。ですが、今年は、日焼けではない違った肌トラブルに注意が必要です。
それは、シワやたるみなどによる老け顔対策です。というのも新型コロナウイルスの影響もあり、風通しの良い窓際ですごす時間が増えた人が多いからです。紫外線には種類があり、お肌が黒くなり日焼けしてしまうタイプ(UV-B)と、肌の奥まで影響し肌の弾力を低下させてシワやたるみの原因となるタイプ(UV-A)があります。
この後者の紫外線は、雲や窓ガラスなどを突き抜けて降り注ぐものです。日焼け対策をせずに窓際の換気が良好な場所で過ごしていると、今年の夏はシミやたるみを増やしてしまうことになるかもしれません。この紫外線は1年中降り注ぐものなので、今後は気をつけていきたいものですよね。
そして、すでにお肌にダメージを与えてしまった人は、体の中から対策をとり、リトリートしていくことをおすすめします。何もしないでいると私たちは日々老化していってしまいます。気がついたときからお肌のための食薬習慣をはじめましょう。ということで、今週は紫外線によるシワ、たるみ対策について紹介します。
今週は、シワ、たるみ食薬習慣
マスク生活が長期化していますが、マスクを常にしているとマスクを外したときのほうれい線など顔のシワ、たるみが気になることはないですか? 急にマスクをとらなければならない時にはちょっと躊躇してしまいますよね。
マスクをしていると顔の筋肉をあまり動かさなくなり筋力が低下しやすくもなります。さらに、室内で過ごすときには、換気の良い窓際で過ごす機会が増加傾向にあり、肌の深い部分に届く紫外線による影響が気になります。あからさまに、日を浴びて色が変わるのであれば対策をとる人も多と思いますが、じわじわとシワやたるみを増やすタイプ(UV-A)の紫外線対策は意外と忘れがちです。
このように老け顔を加速させる条件がそろってしまっています。漢方では、お肌にダメージが加わりターンオーバーを整えたい時に必要なものを『補気』や炎症を抑える『清熱』の作用があるものと考えます。そこで、今週はこれらの作用をもつ食材を取り入れることで、お肌のダメージケアを行っていきましょう。食べるとよい食材は、【キウイとアボカドのサラダ】です。
食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:アスパラとお刺身のカルパッチョ】
さっそく作り方を紹介します。サラダなので、カットしてまぜるだけで完成します。材料は、キウイ、アボカド、他は好きな野菜を使います。トマトやマッシュルーム、小松菜、ブロッコリースプラウトなどもよいですね。カットしてお皿に盛ったらオリーブオイルと塩とレモン汁をかけて完成です。
【キウイ】
キウイには、『清熱』作用と『補気』をサポートする作用があります。ビタミンCが多く含まれているため、抗酸化作用がありメラニンの生成を抑えたり、コラーゲンの生成を助けてくれます。夏の紫外線によるダメージを修復してくれます。
また、貧血気味でお肌のトーンが暗くなってしまう人もいると思います。キウイには、鉄を多く含むお肉類の消化吸収を助けるアクチニジンも含まれるため、ターンオーバーを整えるためにも役立ちます。
【アボカド】
食べる美容液ともいわれるアボカドは、栄養価が高いことでギネスにも認定されているほどで『補気』に役立ちます。また、抗酸化作用が高く、血行を促すビタミンEが多く含まれています。
さらに、ターンオーバーを整えるビタミンB群やビタミンAなども多く含まれています。ただ、カロリーは高めなので1日半分くらいを目安にとるのがおすすめです。
サラダのためにドレッシングを買うことは多いと思いますが、味に特徴のある野菜やフルーツなどを使うとドレッシングを使わなくとも塩、胡椒、レモン汁、オリーブオイルなどで十分美味しくなります。ぜひ、シンプルに味付けして素材の味を楽しんでみてくださいね。
ほかにもエイジングケアのレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。
月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。
つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。
Information
大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
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