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一級建築士が絶対におすすめしない! 「1人暮らしの部屋」

初めての1人暮らし。新生活を気持ちよくスタートするためにも、部屋選びは後悔したくないですよね。そこで、編集部に寄せられたお悩みや失敗談をもとに、一級建築士のリクドウさんが「おすすめしない1人暮らしの部屋」をお伝えします。今回のテーマは、おしゃれだけど寒くて暑い物件、です。

一級建築士がおすすめしない! 1人暮らしの部屋

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ーーさっそく、寄せられた失敗談をご紹介しましょう。

「部屋の壁がコンクリートでオシャレだからと、メゾネットタイプのデザイナーズマンションに住んだことがあるのですが、寒くて死にそうでした」(31歳・無職)

リクドウさん(以下略) コンクリ打ちっぱなしの壁(以下、コンクリ壁)は、今も昔もおしゃれなイメージがありますよね。モノトーンの家具を合わせれば洗練されたスタイリッシュな空間に、木目のインテリアを置けばモダンかつ温かみのある雰囲気に仕上がります。男女問わず、誰かを招きたくなるような自慢の部屋作りのベースとなる役割をしてくれるんですね。

ですが、けっこうタチが悪いコンクリ壁もあるんです。そうしたコンクリ壁のいくつかあるデメリットのなかでも、最大なのは断熱性の低さ。外気にかなり左右されやすいんですよね。ですから、冬は寒く夏は暑い。しかも、コンクリは一度熱を持つとなかなか冷えないという特性があり、夏は灼熱地獄に近い状態になり得ます。この方は、運悪くこのタイプだったのではないでしょうか。

ーーイケメンと付き合ったら、性格が超悪かった! みたいな感じですね。

言い得て妙ですね~。さらに言いますと、冬も悲惨なんですよ。ヒーターでようやく部屋が暖まったとしても、外気との差で結露が発生しやすく、つまるところカビが好む環境になりやすいです。カビは研究者の方など一部の方々を除けば、多くの人にとって不快極まりないイヤな存在ですよね。健康を害する恐れも出てきます。とまぁ、光熱費はかかるし、快適性もかなり低い。ここまで書けば、デメリットだらけじゃん! って思いますよね。私も自分で言いながら、ホントいいところがないなぁと改めて思っています。でも、それは先述した、タチが悪いコンクリ壁に限って言えることなんです。ある条件をクリアしているものであれば、話は別なんですよ。

ーーさんざんこき下ろしといて、一気に持ち上げる作戦ですか。

デメリットだらけだったら、コンクリ壁の部屋なんてとっくに消滅していますよ。でも、いまなお根強い人気を維持している。それはですね、断熱施工の有無にかかっているんです。しっかり施工してあるものは、先述したデメリットを心配する必要はありません。しかも、コンクリには防音性が高いというメリットがあるんです。集合住宅の悩みのひとつに、騒音がありますよね。それも難なくクリアです。但し…!

ーー再び急降下?

コンクリ壁の断熱施工はおもに外壁側で行うことが多いですが、見た目ではわかりにくい。ですから、必ず不動産屋さんに聞いて、絶対にきちんとした回答をもらってください。ここをうやむやにしてしまい、もし外断熱されていない物件に住んでしまったら…その先の未来は暗いですよ、絶望しかありません。部屋に誰かを呼ぶどころか、自分が帰りたくない空間になってしまいます。また、外断熱は年月が経つと効果も低くなるので、メンテナンスの確認もしましょう。それが面倒なら、築浅物件がベターでしょうね。

ーーなるほど、コンクリ壁とひと口に言っても、住んではいけないものが存在しているんですね。最後に、デザイナーズマンションについても教えてください。デザイナーズって何ですか?

定義は決められていませんが、建築家がデザインしたものでそれをウリにしている物件、ということですね。デザインを重視して、機能性や安全性はさほどなのでは? という声も聞きますが、一般的なマンションと同じように定められた基準に則って建てられていますので大丈夫です。ただ、例えば“巾木(はばき)”がない場合もありますけどね。巾木とは、床に接する壁の下部につける帯のような横板のことです。壁の汚れ防止や、壁と床の隙間をカバーするために設置しますが、1人暮らしの賃貸であれば、部屋はそこまで汚れないでしょうし、一生住むというわけでもない方が多いでしょう。あまり重要視しなくてもいいと思います。それくらいなので、予算内で気に入ったデザイナーズがあれば、それは運命の出会いとして受け入れていいと思いますよ。

では、コンクリ壁の部屋に戻りましょう。まとめますとズバリ、

「コンクリ壁の部屋でも、外断熱されていないものは絶対におすすめできません!」

ーー以上、一級建築士がおすすめしない! 「1人暮らしの部屋」でした。参考にしてくださいね。

「コンクリ壁の部屋」注意点をおさらい

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教えてくれた人
リクドウさん 一級建築士。設計事務所の管理建築士。普段の仕事は、公共、商業施設の設計がメイン。住まいに対するモットーは「自分らしくいられる、憩いの空間であるべき」。

©Carlina Teteris/Getty Images

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