仕事で大成功を成し遂げたいとか、そんな大それた野望はないけど、なんとなくうまくやりたい。いつもの働き方を小さくアップデートする「お仕事ハック」を紹介します。
今回のお仕事ハックは「仕事の完成度の基準が合わない」とのお悩みについて、コラムニストのヨダエリさんがアドバイス。
仕事に求める“完成度”が同僚と合わない
いつも最終チェックは上司が行っているため、とりあえず仕上げればいいというスタンスの人が周りに多く、完成形を目指している私はモヤッとすることが多いです。皆の意識を変えたいです……。(30代/事務系専門職)
モヤっとする気持ち、とてもよく分かります。たぶんあなたは完璧主義なところがあって、周りはそうではない。あなたからすると「なぜこれで出そうと思えるの?」と納得がいかないですよね。
完成形を目指せば、上司の手を煩わせずに済むし、やり直しにかける時間も短縮できます。きっと上司もあなたの仕事ぶりを評価しているはずです。
一方で、こういう考え方もできます。あなたが周りの人と同じくらいの完成度で止めて上司チェックに出せば、その分の時間を別の仕事に使うことができます。新たな企画を練って提案することもできるかもしれません。
え、でも、手を抜きたくないし……と思う場合は、こう考えてみてください。
「この仕事の主人公は誰だろう?」と。
あなたが主人公の仕事、つまりあなたがメインとなって進めている仕事なら、完璧を目指していい。むしろそれが望ましいと思います。
ただ、人の時間やエネルギーは有限。長く仕事を続けるためには複数の仕事に対してどのように力を配分するかが大切で、そのためには手を抜くことも必要です。
この考え方は、以前、日本経済新聞で『頑張り過ぎない仕事術」という記事を執筆した時に得たものです。
私自身、完璧を目指して頑張りすぎてしまうタイプで、これでいいのだろうかと自問自答していました。そこで、ビジネスの達人たちを取材。そのうちのひとり、医師で経営コンサルタントの裴英洙さんに、“手抜き”の大切さを伺いました。
そして、どこで力を入れ、どこで手を抜けばいいか。それを見極める原則の一つが、「自分が主人公の仕事では手を抜かない」ことだ、と裴さんは語っていたのです。
これは逆に言うと、全ての仕事で完璧を目指さない方がいい、ということ。全てに頑張り過ぎた結果、体調を崩し、仕事を続けられなくなってしまう人は多いです(私も過去に体調を崩しました)。健康な心身で長く仕事を続けたいなら、頑張りすぎは禁物。
もちろん、あなたが完璧主義なのではなく周りの人たちがなまけすぎている可能性もあるでしょう。ただ、とりあえず仕上げて上司がチェックするスタイルが成り立っているということは、その仕事に関してはそれくらいでOK、と上司が考えているのかな、とも思うのです。他の仕事でエネルギーを使ってくれ、と。
あるいは、あなた以外の全員が「仕事は全てほどほどでよし」という考え方である場合、皆の意識を変えることに尽力するよりも、転職をした方が良い可能性もあります。
でも、まずは、自分が仕事において常に完璧を求めすぎかも? と考えてみてください。同じ完璧主義タイプの人間として、長い目で見てきっと損にはならないと断言しますよ!
Point.
・人のエネルギーは無限ではない
・「この仕事の主人公は誰?」と考えてみよう
・自分が主人公でない仕事では、手を抜くことも大事
・長く働くためには、常に完璧主義になりすぎない方がいい
(※1)参考:『頑張り過ぎない仕事術』(日本経済新聞)
(文:ヨダエリ、イラスト:黒猫まな子)
※この記事は2022年04月26日に公開されたものです