「メンタル=脳の状態のこと」と教えてくれたのは、脳内科医の加藤先生。脳をよく知ることで自分の心と向き合えば、もっと生きやすくなれるはず。
日々、モヤモヤはあるけれど…
心を穏やかに保つヒント100Book
[第2章]
脳から心と向き合う
不安もストレスも、心の問題かと思っていたけれど、実は脳の使い方の問題だった⁉ 脳を知ることで、もっと生きやすくなる。
11 メンタルが落ちているときは、 脳からの「もう無理」というサイン
「元気が出ない、気持ちが沈むというのは、脳が働きたくない・やりたくないサイン。30分早く寝る、習慣を変えるなど、行動を変えると回復します」(加藤先生・以下同)
12 脳の働きに性格、行動は ほとんど依存している
「聴覚系脳番地が弱いと人の話を聞けない、突発的なことに対応ができない人は視覚系が苦手など、脳の働きに性格・行動は依存しています。苦手を知り、使う脳番地を意識すると、そこを発達させることができます」
13 脳には同じことを 何度もやりたくなる特性がある
「脳は繰り返して行うことで発達するので、一度使った脳番地はさらに使いたくなる特性があります。そのため、悪習慣もやめにくい。依存症の多くはこれが原因です」
14 ネガティブな感情には 脳の働きを悪くする作用が
「ネガティブな感情や行動は“抑制”に働くため、脳が働かなくなります。脳は“次=未来”があるから以前の記憶をもとに働くのであって、否定をされたら次にするべきことがわからなくなります」
15 生活の中で脳トレを行うと 対応力が上がる
「日常生活で脳をトレーニングすることは可能です。例えば、目標を設定して行動すると、理解系、聴覚系、記憶系の脳番地が刺激されます。楽しい経験を思い出したり、自分への褒め言葉をノートに書くと、感情系と同時に記憶系や思考系が連動されるなど、8つの脳番地をまんべんなく連携させることで脳が活性化され、対応力がつきます」
16 脳疲労をケアするには、 いろいろな刺激を脳に与えるといい
「脳は、複数の脳番地が相互に連携して機能しています。しかし、何かに集中しすぎて同一の脳番地ばかりが使われていると、そこが疲労してフリーズしてしまいます。こうなると成果は上がりません。デスクワークをしたら軽く体を動かす、音楽を聴く、コミュニケーションをとるなど、5~10分おきに違う脳番地へシフトしていきましょう」
17 自己肯定感が高い人は ストレス耐性も高い
「自己肯定感が高い人は、自分の価値観が明確なため、立ち直りや切り替えが早いです。また、思考系脳番地が発達しているため、やる気にあふれ、新しいことに挑戦するなど、次に行うことの選択肢が前向きな傾向にあります」
18 何事も他責しやすい人は、 自分の行動を言語化するといい
「他責だとあるところまでは頑張れるけれど、視野、選択肢が狭まり、その先に何か問題が生じても自分で対策するのが難しくなります。自責で“こうする”と宣言すると、次への行動に変化が。まずは行動を言語化し、自覚を」
19 脳にも周期があり、 環境にも左右されやすい
「脳は昼間と夜間の活動が異なるうえ、気圧変化や天気でも活性周期が変わります。これがわかると最適なリズムで脳の働きをコントロールすることができるように」
20 不安な気持ちが強い人は、 他人の気持ちが移りやすいタイプ
「このタイプは聴覚系脳番地が発達し、人の話をきちんと聞ける人。しかし、自己感情を作り出す左脳が未熟なため、自分自身が定まらず、感化されやすいのです」
MAQUIA 6月号
イラスト/maegamimami 取材・文/藤井優美〈dis-moi〉 和田美穂 構成/火箱奈央(MAQUIA)