サステナブルやSDGsが推進されるいま、地球環境に配慮した商品を開発するショップが増え、製菓業界でもその傾向が加速しています。
でも「環境のことを考えたいけれど、具体的にどんなことをしたらいいか分からない」という方も多いかもしれませんね。そんなときは、サステナブルに向き合ったショップのスイーツを買ってみることから始めてみてはいかがでしょうか。
美味しさだけではなく、見た目やシェアしたくなる焼菓子をご紹介するこの連載。第47回目は、うんてん洋菓子店から「めぐるクッキー缶」をご紹介します。
沖縄県でサステナブルなお菓子作りをする洋菓子店
うんてん洋菓子店は「持続可能な菓子作り」を信条に、市場に出せない規格外の素材を積極的に取り入れて菓子を作っているショップ。
そのコンセプトに多くの人が共感し、沖縄県豊見城市にある店舗に続き、2022年4月に「うんてん洋菓子店BAKE SHOP」が宜野湾市に新たにオープンするほど支持を得ています。
サトウキビの搾りかす“バガス”をクッキーに
今回ご紹介する「めぐるクッキー缶」もサステナブルな仕様で作られていて、沖縄県の人々の生活には欠かせない作物の一つ・サトウキビを搾汁する際に出る残渣を加工することで生まれるバガスが使われています。
バガスは紙原料やプラスチックへ再利用されることが多いのですが、食物繊維を豊富に含んでいることから、食品への利用が進められていました。そんななか、栄養価はそのままに無味無臭のパウダーに加工することを実現させたメーカーが、うんてん洋菓子店に連絡をとったところから「めぐるクッキー缶」の構想が始まります。
「二次活用することで産業廃棄物の削減に繋がり、生産者も喜び、お客様にも栄養価の高いお菓子を提供することができる」と確信し、バガスが入ったクッキー作りに着手。
バガスのお菓子への利用は前例が少なく、水分の吸着率が高い性質で入れすぎると生地が固くなるため、何度も原材料の分量を微調整したそう。
試行錯誤の末に完成したクッキーは、全粒粉とグラハム粉を入れることでザクっとした食感も加わり、サクサク小気味よい食感がたまりません。白糖は使用せずにきび砂糖を使って、さらに体に配慮。宮崎県産高千穂バターなど原材料を厳選し、素材の味わいを大切に作られています。
沖縄県ならではの素材を使った3種のフレーバー
「めぐるクッキー缶」を開けると、バターの香りがふわっと漂い、整然と並んだ32枚のクッキーからは丁寧な手仕事を感じられます。
素朴な粉の風味に伝わってバターが香る「プレーン」はホッとするような温もりがあり、シンプルで食べ飽きません。
黒糖のカリッと砕ける食感がやみつきになる「黒糖」は、噛み締めるたびに深いコクと甘味が広がります。
紅芋の甘い香りと味わいがほのかに漂う「紅芋」は、ほっこり和やかな気分に。
ずっと使い続けたくなるシンプルなデザインの缶
シンプルな白い缶に描かれたロゴは「生産者さんが大切に育てた素材を受け取り、その思いをお菓子に込めてお届けする」というモットーを表現しています。
サステナブルやSDGsと聞くとハードルが高く感じられる方がいらっしゃるかもしれませんが、「めぐるクッキー缶」をいただくことが誰かの笑顔や幸せに繋がっていきます。丁寧に作られたクッキーの背景にも想いを巡らせていただいてみてください。