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奇跡の空間…! オール「国宝」の展示室に圧倒される史上初の展覧会

東京国立博物館で、特別展『国宝 東京国立博物館のすべて』が開催中です。本展は、日本で一番多く国宝を所蔵する東京国立博物館(通称:トーハク)が2022年に「創立150年」を迎えたことを記念して開催。全89件の国宝を公開する“トーハク史上初”の展覧会です。プレス内覧会で取材した見どころや会場風景をご紹介します!

トーハクのすべてが見られる!

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国宝《松林図屏風》長谷川等伯筆 安土桃山時代 16世紀(展示期間:10月18日~10月30日)

【女子的アートナビ】vol. 265

特別展『国宝 東京国立博物館のすべて』では、約12万件もの文化財を所蔵するトーハクのコレクションから、全国宝89件と重要文化財27件、さらに関連資料をあわせた150件を展示。

日本で一番歴史の長い博物館として、これまで多くの文化財を保存・公開してきた東京国立博物館の「すべて」を見ることができます。

今回のように全国宝89件をひとつの展覧会で見せるのは、トーハク史上初。でも、なぜ今まで実現できなかったのでしょう?

本展を担当した東京国立博物館研究員の佐藤寛介さんは、次のように述べました。

佐藤さん 文化財は、保存と公開を両立させるため、展示期間に制限を設けて数年間のサイクルで少しずつ公開しています。一度にまとめて出すには、数年前から数年先まで調整する必要があるのですが、今回は150年という節目だから実現できました。ただ、絵画と書跡分野を中心に展示替えがあり、作品によっては展示期間が2週間のものもあります。国宝は、常時60件程度は一定して出しており、「いつ来たら損」というのはないのでご安心ください。

奇跡の空間! オール国宝の展示室

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特別展『国宝 東京国立博物館のすべて』展示風景

では、展示室の様子をご紹介。第1部の空間にあるのは、すべて国宝です!

一般的な展覧会では、多くの作品が並ぶなかで1点でも国宝が見られればラッキーという感じなのですが、本展第1部に展示されているのは全部国宝。絵画や書跡、漆工、考古など8つのジャンルから国宝に指定された作品が並び、展示室によっては360度国宝に囲まれる部屋も。まさに奇跡の空間を体験できます。

この展覧会の最初の展示室でトップを飾るのが、長谷川等伯の《松林図屏風》。毎年お正月の時期に短期間公開されている国宝で、トーハク所蔵品のなかで一番人気ともいわれる作品です。湿った空気の中に浮かび上がる松林が美しく描かれた本作品は、日本における水墨画の最高傑作のひとつ。10月30日までの限定公開なので、お好きな方はお急ぎください。

絵画のジャンルでは、今後も展示替えで狩野永徳や岩佐又兵衛の有名な屛風が登場します。

奇跡の書跡と刀剣も…!

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国宝《古今和歌集(元永本)上帖》平安時代 12世紀

また、書跡のコーナーも見逃せません。平安時代の優れた能書家の小野道風や藤原行成の美しい書が展示されています。

現存最古の《古今和歌集(元永本)上帖》も必見作。当時の装幀のまま完本として残っているのは本作品のみで、これまで尾張徳川家や加賀前田家などの錚々たる方々が所有し、最後は三井家からトーハクに寄贈されました。

本作品は、文字だけでなく紙もすごいです。料紙の表には、雲母摺り(きらずり)と呼ばれる技法で美しい文様が施され、裏面には金や銀の箔が散り、とにかく豪華。平安時代から令和の現代まで、これだけの美しい状態で残っていることも奇跡だと思います。

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特別展『国宝 東京国立博物館のすべて』展示風景

さらに、「国宝刀剣の間」も見どころのひとつ。トーハクが所蔵する19件の刀剣が集結するというのも史上初の試み。しかも通期展示なので、本展開催中にいつ訪れても貴重な刀剣を見ることができます。

「より美しく見せるために展示ケースや照明にもこだわりました。日本刀の美しさをじっくりと見てください」と佐藤研究員も力説していた刀剣ルーム。こちらも、ぜひ現地で実物をご覧ください。

なぜかキリンが…!

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《キリン剝製標本》明治41年(1908)

国宝を楽しんだあとは、第2部でトーハクの歴史を体感できます。こちらの展示室に国宝はありませんが、明治から令和までの150年を3期にわけ、各時代に収蔵された重要文化財指定の作品などが展示されています。

皇室にゆかりのある品や写楽の浮世絵版画などいろいろありますが、異色なのがキリンの剥製標本。

トーハクは、誕生した当時、博物館だけでなく植物園、動物園、図書館の機能も備えた総合博物館を目指し、美術工芸品だけでなく、動植物の標本や剥製も集めて公開していました。

展示されているキリンは、1907年、日本にはじめて生きたままやってきて、上野動物園で飼育されていたオスの「ファンジ」。死後、剥製標本にされてトーハクの自然史資料として展示されていました。

このキリンなどの自然史資料は、関東大震災後、今の国立科学博物館に譲渡され、やがてトーハクは歴史と美術工芸品をメインとした博物館となりました。

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