【免疫力を上げる方法②】40℃のお湯に15〜20分浸かる
お風呂に浸かることは、免疫力を上げるために家庭で簡単に実践できることの一つ。温泉や普段の入浴で温かいお湯に一定時間浸かると、体内の免疫細胞を増やしたり活性化させるというデータがすでに温泉学会や大学などの研究機関で実証されています。
理想的なのは、休憩をはさんでも構わないので、トータルで15〜20分、体温より3〜4度高いくらいの約40度のお湯にゆっくり浸かる入浴方法。血行や自律神経が整い、体温が上がって筋肉も温まります。42度以上の熱すぎるお湯はNG。心臓が隠れるか隠れないかくらいの、肩より少し下の位置まで浸かるのがおすすめ。首のほうまでしっかり浸かりすぎると今度は心臓を圧迫することになるので、注意が必要です。
【免疫力を上げる方法③】週3~4回の有酸素運動や筋トレ
免疫力を高めるには、運動も定期的に行ったほうが相乗効果を得やすいです。例えば、適度な有酸素運動としてランニング、それから筋トレもおすすめ。運動をすることで自律神経のバランスも整い、免疫力アップにつながるのはもちろん、筋肉が動いて血行が良くなることで体のすみずみまで酸素や栄養がよく行きわたるようになるからです。後者の血流アップのためには、体の中でも特に大きな筋肉を鍛える運動やトレーニングを取り入れたほうが効果を実感しやすいと思います。
大きな筋肉というのは背骨や腰回り、太もも付近についているので、足腰を使うスクワットや屈伸運動、お相撲さんみたいにシコを踏む動き、そのほかにも自転車をこいだり、腹筋運動などでも鍛えることができます。
年齢や体力レベルにもよりますが、週3~4回ほど、1回20〜30分の適度な運動を長期間に渡り続けると健康効果を実感しやすくなります。
一方で、ボディビルダーのように激しい運動は、活性酸素を過剰に発生させます。体への負担が大きく、十分な休養期間を取らないと人によっては疲労が蓄積して、逆に免疫力を下げる可能性があるのであまりおすすめしません。
おすすめの運動1:一番効くのは「蹴る」動作
運動の中でも特に、「蹴る」動きが実は一番効果的なんです! 腹筋運動が苦手な女性でも、蹴る動作なら難易度がぐっと下がって実践しやすいと思います。
私自身も長年、蹴りの武道をやっていますが、前蹴りや上蹴りのキックをするだけで骨盤底筋群と腸腰筋が効率良く鍛えられます。しかも、蹴る動作は深呼吸を伴う有酸素運動でもあるので、副交感神経が優位になり、自律神経のバランスも整います。
今は女性でも通いやすいキックボクシングのジムなども増えているので、ぜひトライしてみて。ポイントは、蹴る時に上体をなるべく倒さず、姿勢を真っすぐに保つこと。そうすることで運動効果がより高まります。
おすすめの運動2:簡単にできる、トレーニングチューブを使った足の上げ伸ばしエクササイズ
足腰に負担がかかって蹴る動作がなかなか難しいという方には、トレーニング用のゴムチューブを使ったエクササイズもおすすめ。椅子やベッドに座ったまま、チューブを両手で持って足にかけ、チューブを足で引っ張る運動を左右交互に10回ずつ。引っ張るだけの簡単な動きですが、手軽に下半身を鍛えられます。座った姿勢がつらい場合は、背もたれ付きの椅子を使うとバランスがぐっと取りやすくなりますよ。場所も選ばず、デスクワークの合間や隙間時間にできるのも手軽にできるポイントです。
【免疫力を上げる方法④】ビタミンDなどのサプリで栄養不足を補う
免疫力のアップに欠かせないのが、ビタミンD。当院でもコロナ禍でアメリカからの仕入れが間に合わなくなるほど需要が高まったサプリです。ビタミンDのサプリはまだ日本では馴染みが薄いですが、患者様に処方することも多いです。
ビタミンDにはカルシウムの吸収率を高める以外にも、免疫力アップや免疫バランスの調整、腸内環境の改善など、重要な働きがあります。健康な人であれば魚類やきのこ類など、食品からの摂取で十分ですが、体調不良や炎症反応が出てしまっている人はそれだけでは不十分。確かな品質のものを個人に適した量で摂取することが大切です。
また、免疫を意識するなら、亜鉛や抗酸化作用、抗炎症作用のあるビタミンCも効果的です。
4.免疫力を上げるために、40代50代女性が特に気を付けるべきこと
免疫力の低下は、加齢による影響だけではありません。更年期特有の体調不良でお悩みの方も、ホルモン補充療法(HRT)を試す前に、まずは免疫力を上げることが大切! 免疫を落とさないよう改善に努めていただきつつ、その上でホルモン療法が体質に合う人は試す流れでもいいと思います。中にはホルモン補充療法が体質に合わず、免疫をかえって下げてしまう場合も。
漢方は体質に合ったものが見つかれば時により良い場合もありますが、漫然と同じものを長期間飲み続けることはかえって体に負担をかけてしまう場合もあります。
総じて「免疫が少し下がっているかも?」と不安を感じる方は、しんどくなる前に免疫外来を受診することもおすすめします。免疫はいろいろな不調につながっているので、不調がなくとも、病気の予防目的での受診もOK。当院のようにオンライン診療を行っている病院もあるので、気軽にまずは相談してみてください。
写真提供/PIXTA 取材/今西香月 編集/永見 理