免疫を担う白血球を正常に働かせるには、自律神経を整えることが大切。そのためには呼吸法が強い味方に。ストレスを感じたとき、睡眠が浅いときなど、場面に合わせた呼吸をマスターすれば、免疫力アップだけでなく、メンタルの安定など大きなメリットが。
シーンに合った呼吸で自律神経をコントロール。
「免疫力を高めるには、自律神経をコントロールすることが大切。自力で自律神経にアプローチできるのが呼吸法です」
と言うのは、医学博士の根来秀行先生。自律神経とは、呼吸や消化器官、体温調節など、全身の機能を司る神経のこと。おもに日中に行動を活発化する交感神経と、おもに日が暮れる頃から優位になり体をリラックスさせる副交感神経の2つがある。
「免疫は、血中の白血球が担当しており、なかでも大きな役割を果たすのが顆粒球とリンパ球。交感神経優位のときに増える顆粒球は大きな異物や細菌に、副交感神経優位のときに増えるリンパ球はウイルスやがん細胞などに立ち向かいます」
自律神経が正常に働いていれば、顆粒球とリンパ球もしっかり働き、病気などにもかかりにくくなる。
「ストレスなどが多いと交感神経が優位になり、自律神経のバランスが崩れます。それを調整できるのが呼吸法。正しく行うことで、自律神経だけでなく、脳内ホルモン、心拍数、血管、心の状態にも影響を与えることができます。回数やタイミング、呼吸の仕方、深さなどによっても効果が変わってくるので、そのときどきで使い分けて、免疫力を強化しましょう」
自律神経整え呼吸法
まずはこれを習慣に! ベースの呼吸法
副交感神経のスイッチを入れる呼吸法。「吐く息を長く」を意識すればよいだけなので、気がついたときにこまめに行って、疲労を軽減しよう。
HOW TO
1、鼻から軽く息を吐く。
2、お腹をふくらませながら、ゆっくりと4秒間かけて鼻から息を吸う。お腹が数cmふくらむようにしっかりと息を吸い込んで。慣れないうちは、おへその上に手を当てて確認しながら行おう。
3、お腹を絞るようなイメージでへこませながら、鼻からゆっくりと8秒間かけて息を吐く。
2と3を落ち着くまで続けよう。
METHOD1 ストレスを感じたら4・4・8呼吸法
不安やストレスを感じたときに交感神経が優位になるのを食い止める呼吸法。心拍数や血圧の上昇を防ぎ、頭もスッキリ!
HOW TO
1、楽な姿勢で椅子に座り、おへその上に軽く手を置く。
2、2~3回、腹式呼吸をし、息を吐ききる。
3、4秒かけて息を吸う。
4、4秒、息を止める。
5、お腹を絞るようなイメージで8秒かけて息を吐く。
3~5を4回繰り返す。
METHOD2 お風呂上がりにリンパ呼吸法
おへその裏にある、リンパ液が溜まっている「乳び槽」にほどよい圧力をかけられる呼吸法。リンパがスムーズに流れ、疲労やむくみが解消。
HOW TO
1、全身の力を抜いて膝を軽く曲げた状態で、仰向けに寝転がる。
2、息を軽く吐ききる。
3、ゆっくりと鼻から息を吸い、お腹を大きくふくらませる。
4、お腹をへこませながら、吸った時間よりも長めにゆっくりと鼻から息を吐く。
METHOD3 眠る前に10・20呼吸法
じっくりと心と体を癒す呼吸法。1分間に2回の深い呼吸を10~20分行うのが理想的。照明を落として行うと効果アップ。
HOW TO
1、姿勢を正して座り、下腹部をゆっくり絞るようにして息を吐ききる。
2、下腹部と肛門の力を抜いて、下腹部をゆっくりふくらませていき、10数えながら自然に息を吸い込む。
3、首から胸にかけてゆっくり力を抜きながら、自然に息を吐く。そのまま下腹部をゆっくり絞りながら20数えて、さらに息を吐いていく。同時に肛門もゆっくり閉じていき、そのまま息を吐ききる。
2~3を20~40回、自分のペースで行う(20回で約10分)。
METHOD4 睡眠が浅いときはマインドフルネス呼吸法
雑念を払い、「吸って、吐いて」に集中することで、脳を休めてクリアな状態に。睡眠中に目が覚めてしまったときなどにもおすすめ。
HOW TO
1、背筋を伸ばして座る。
2、目を閉じて、体の感覚に意識を向ける。
3、呼吸をコントロールしないで、あるがままに息をしながら空気の出入りや胸・お腹の動きなどの感覚を意識する。
4、雑念がわいてくるのは当然と考えてとらわれず、すぐに切り上げ、呼吸に注意を戻す。全身で呼吸をするイメージで、体全体に意識を広げる。